株式会社ファンチップ

ナレッジ共有クラウドサービス等のWebシステム開発を担うSES事業、自社サービスの新規開発を行うソリューション事業という二つの軸によって、自社のビジネスを展開している株式会社ファンチップ。SES事業においては、顧客企業のニーズに応じたクラウドサービスを開発するほか、既存システムの機能追加や保守運用という領域までをカバーする等、幅広い業務によって高い評価を得ている。また、ソリューション事業部が手掛ける自社サービス『タイピングplus』は、2022年3月にテストバージョンをリリース、同年12月の製品版のリリースを目指した開発が進められている。

「『タイピングplus』は、法人向けサービスとしてリリースするサービスで、タイピングの練習はもちろん、ユーザーである自社スタッフの成果管理、継続的なスキルアップを実現するための機能を備えています。タイピングという要素は、社員がそのスキルをアップさせることで企業にメリットを生むものであり、その効果として生産性を約10%向上させるというデータも存在します。ソリューション事業部では、そのような取り組みを支援するようなサービスの自社開発を、これからも続けていく予定です」

そう語るのは、同社の代表取締役・白濱伸幸氏だ。白濱氏自身、エンジニアとして長年の経験を有する人物であり、その開発力や技術的なサポート力に高い評価が寄せられている。その評価が同社への業務依頼へと繋がり、SES事業へのニーズが多く寄せられているというのが、現在の同社の状況だということだ。

「私自身のキャリアや技術力もそうですが、クラウドサービスの新規開発に関するノウハウを豊富に有している部分が、多くのお客様からの高い評価に繋がっています。そして、社員にとってメリットとなっているのは、エンジニア目線での経営を行っているという当社の特徴だと思っています」（白濱氏）。

自身の経験を基に、エンジニアにとって最適な環境を整えることで意欲的な取り組みを可能にし、そして業務サポートやフォロー体制を充実させる。そんな経営スタイルが社員にメリットを生み、その成果のクオリティーを高める結果にも繋げているのが同社の特徴、そして強みとなっているということだ。

同社では、2021年9月からエンジニアの採用を積極化させ、今後の飛躍を目指した活動を活発化させている。今後の事業展開については、ソリューション事業部では『タイピングplus』のほか、自社サービスの新規開発にも注力し、提供先となる顧客数を拡大させた後の株式上場も視野に入れた活動を行うという。同時に、その活動の基盤を構築するためにSES事業の拡大にも取り組み、事業部間の人材流動等を促進することで、自社の開発力を成長に直結させたいというのが同社の考えだ。SES事業で活躍したエンジニアが、技術者として得た力を自社サービス開発にも還元できるという部分に、同社の大きな可能性が秘められていると言えるだろう。

「SES事業部では、今後独立した採用制度を設ける等、現場で業務に当たるエンジニアの判断を重視しながら権限を付与していく体制を整えていく予定です。その権限とは、新たな採用計画だけではなく給与や賞与に関する決定権であり、リーダーとなるエンジニアの下で新たな事業部を立ち上げる、といったチャレンジも可能にする体制を構築していきたいと、私は考えています」（白濱氏）。

こうした取り組みが可能になるのも、白濱氏が自身の経験を基にした“エンジニア・ファースト”の経営コンセプトを持っているからこそだと言えるだろう。エンジニアを大切にし、そのキャリアパスを真剣に考える社内体制こそが、同社の最大の魅力だと、白濱氏は断言している。今後、自社で採用したいエンジニアの人物像については、白濱氏は次のような理想像を語ってくれた。

「何よりも、色々なことに興味を持てる人材が、当社にはマッチすると思っています。チャレンジする意識を大切に、自身のやりたいことを積極的に発信しながら、新しいことにも進んで手を挙げながら取り組める。そんなエンジニアを応援する企業でありたいと思っていますし、生き生きとしたエンジニアが多く在籍するという魅力を、自社の強みとし続けたいですね」（白濱氏）。

自社の利益を追求することはもちろん、その環境で働くことがエンジニアの人生にとってプラスになるような会社にしたい。それこそが白濱氏の目指す企業像であり、転職が当たり前の時代においてもエンジニアに選ばれ続ける企業として必要な姿勢だということだ。働くエンジニア達が、最大限のメリットを得られる環境をつくり出すということこそ、白濱氏のこだわりなのである。

現在は、白濱氏を含めたエンジニア3名体制となっている同社だが、今後は20名規模の体制へと拡大することを目指している。その同社の文化として挙げられるのは、裁量を持ったエンジニアに仕事を任せる、というものだ。この文化は、現場で業務に当たるメンバー自身が能動的に考えながら行動できる体制をつくりたいという、エンジニア経験者としての白濱氏の考えが反映されたものだと言えるだろう。

「指示をもらって業務を進めるというスタイルは、もちろん“楽”という側面はありますが、自主的に行動できなければ一歩先を行くエンジニアや優秀なビジネスパーソンにはなれないと、私は思っています。そのポジティブさを発揮してもらうために、当社ではエンジニアを信頼し、また人事評価等も加点方式を徹底しながら、失敗してもマイナスにならない環境で能動的な活動ができるように心掛けているんです」（白濱氏）。

白濱氏によれば、同社の行動理念は「自分の親や子供に誇れる行動をすること」というものだという。そのために、社員一人ひとりが自分自身を信じ、その思いを能動的な活動で表現してほしいと白濱氏は考えているのである。その根底には、企業の活動に人材を当てはめるのではなく、人材が持つ思いを基に企業としての成長を目指すという考えがあると言えるだろう。

「私は、“その人材がどんな技術レベルにあるか”ということよりも、“何を成し遂げたいか”を重視したいと思っています。やりたいことができるため、そしてなりたい姿になるための手段として、当社の環境を選んでほしいと思います。その結果として、人材の人間力を高め、その力を企業としての力として発揮したいというのが、私の考えなんです」（白濱氏）。

エンジニアとしてのこれまでのキャリアは、決して順風満帆ではなかったと語る白濱氏。理想とするエンジニアとしての姿と、現実の業務に求められるものとのギャップに悩む。そんなエンジニアの気持ちに寄り添う企業の代表として、白濱氏は転職を目指す人材に対して次のようなメッセージを送っている。

「私もこれまで様々なことを経験し、もちろん自分の活動に悩むこともありましたが、それらを経験したからこそ今の自分があると思っています。現在の仕事が上手くいっていないエンジニアの方々にも、その経験は必ず生かせると伝えたいですね。身に起こる全てのことをポジティブに捉えながら自分の人生を楽しんでほしいですし、その人生に欠かせない“仕事”をする環境に当社がなれたらいいと思います。自分の力で貢献する会社としてではなく、エンジニアの方々の“楽しい人生のパートナー”として、当社を選択肢の一つにしてもらえたら嬉しいですね」（白濱氏）。