ビットスター株式会社

「ITで、こまったを、よかったに。」をミッションに掲げる、ビットスター株式会社。さくらインターネット株式会社（東証プライム上場）60%出資のグループ企業である。同社は、札幌を本拠地として東京、大阪、福岡に拠点を展開し、MSP事業、インフラ構築事業、Web制作事業、ソフトウェア開発事業を提供。強みは、これらの諸サービスをラインアップすることで、ITインフラのライフタイムを一貫して提案・提供することを通じて、クライアントの事業を継続的に支援できるところにある。

同社がラインアップしているサービスは、次のとおりだ。

●MSP事業
・システム運用監視サービス：監視サーバを通じて24時間365日有人監視を行う。システムの稼働状況は月次で報告すると共に、安定稼働のための改善項目も提案。
・『Joe's レンタルサーバ』：2万社以上の利用実績がある共用レンタルサーバ、専用サーバ、VPS（仮想専用サーバ）。専門知識不要の使いやすいコントロールパネルや信頼性・安全性の高さが特長。
・『Joe's SSL市場』：全6ブランド・22プランの証明書を取り扱い。

●インフラ構築事業
・クラウドインテグレートサービス：オンプレミスからクラウドへの移行、およびクラウドで運用中のサーバを用件に合わせて他のクラウドへ移行。さくらインターネットグループの強みを生かし、同社クラウドと他社クラウドの利点を生かしたハイブリッド/マルチクラウド環境構築も提案可能。

●Web制作事業
PCやスマートフォンのあらゆるWebサイトやアプリ、およびWeb業務システムのUI/UXの設計からインフォメーションアーキテクチャ/デザインを提案。札幌のWebデザインスタジオであるGEAR8社と業務提携し、エッジの利いたデザインも提案可能に。

●ソフトウェア開発事業
様々な技術に習熟し幅広いスキルを備えたエンジニアが、Web業務システムからtoC向けITサービス開発まで対応。次の自社独自サービスも展開している。

『PiPit登園』：保育業界向けの登降園管理システム。アナログで煩雑であった当該業務をデジタルに効率化。約30園に導入。
『D-ReMu』：文教市場向け仮想デスクトップリソース管理システム。履修学生の数だけライセンスと実習ソフトウェアを導入することで、BYOD化により大学等のPC教室を廃止しムダの削減に貢献。国立大学等に導入している。
『remowa』：Webブラウザを用いて遠隔地のPCが操作できるサービス。

そのほか、同社は東京・銀座と大阪・梅田の一等地でバーチャルシェアオフィス『Busico.』を運営。住所登録、会議室利用、セミナー開催、郵便物の保管・転送、IT相談等でスモールビジネスを支援。500～600社のユーザーが登録している。

同社は、2008年3月、代表取締役社長CEOの前田章博氏によって創業された。前田氏は、SIerの技術営業に従事する中で、当時まだWeb化されていなかった業務システムが近いうちにWebシステム化する未来を予測した。
「当時の業界では、業務システムはネット上で動くことはないという概念が支配的でした。しかし、Webシステム化されることによる使い勝手の向上は間違いなく、そのような保守的な概念を超えたいと思うようになります。そんな話を周囲にすると、親しいお客様から『出資するから起業せよ』と勧められたのです。起業するつもりはありませんでしたが、この事業には大きな可能性があると確信していたので、当社を設立することにしました」と前田氏は述懐する。

ユーザーがWebシステムを稼働させるために発生する、サーバやラックをレンタルするニーズを捉えて提供するビジネスからスタート。その直後から、前田氏の予測どおり時代はWebシステム化の方向へまっしぐらに進み始め、同社はWebサイト構築やWebシステム開発も次々に手掛け始める。最初に受託したのは、ベビーシッター会社の業務システム。ベビーシッターとユーザーをマッチングし、請求までの一連の業務プロセスを管理するものだ。

さくらインターネットとの出合いは、2011年。さくらインターネットが北海道石狩市に国内最大級のデータセンターを建設し、「さくらのクラウド」の提供をスタートしたことを機に知己を得た。
「同社のビジネスはサーバレンタルが主目的ですが、クライアントはサーバでシステムを動かすことが目的なので、アプリケーションとのインテグレーションが必要となります。そこで当社に協業要請が入った形です。いわば、さくら社がスケルトンのマンションを提供し、当社がそこに内装を施すといった協業体制ができました」（前田氏）。

これを機に、さくらインターネットが同社に60%を出資しグループ入りする。経営基盤をより強固なものにして、よりアクティブに事業展開する体制を整えた。

そして、2014年には新たなMISSION、VISION、VALUEを策定。

●MISSION：ITで、こまったを、よかったに。
●VISION：ビットスターに関わるすべての人を幸せにする

「システム開発業界では、お客様の課題解決に対して得てして自らの商材ありきのスタンスを取りがちですが、それが本当に良い解決策なのか疑問になるケースが非常に多いと思っています。そうではなく、本質的にお客様が困っていることの解決を第一義とし、心から『よかった』と言っていただけるサービスに徹します。そして、そのことを通じて、お客様はもちろん、お客様の先のお客様、当社の社員や家族等、当社に関わるあらゆる人が幸せになることを目指します」と前田氏はそこに込めた思いを述べる。

2022年現在、約100名の社員を束ねるVALUEは、次の5項目を掲げている。

●VALUE
1. お客様のことを考える
2. チームで仕事をする
3. 仕事を減らす仕事をする
4. 仕事や趣味で遊び心を持つ
5. ITで課題を解決する

「このVALUEは2021年度から稼働させ始めたばかりで、現在は役員レベルが率先垂範している段階。浸透策は目下検討中です」と前田氏。その一方で、「日本一遊べる会社になる」とのスローガンを掲げている。その真意を、前田氏は次のように説明する。
「VALUEの4項目目にもありますが、遊ぶような感覚でポジティブに仕事をしてドライブをかけ、結果的にいい成果に繋げようという意味と、オフタイムも同様に充実させて相乗効果を高めようといった思いがあります。仕事で我々が楽しそうにしていなければ、お客様も仕事を頼みたいとは思わないのではないでしょうか」

そうした考え方を具現化させたものに、札幌本社のオフィスがある。札幌市中心部のオフィスビル4階の一般的な執務スペースのほかに、以前飲食店が入居していた地下1階の店舗スペースをオフィス空間に改装。リビング感覚のソファやテーブルを置き、フリーアドレスで仕事ができるだけでなく、ランチタイムや終業後の “ユルい” コミュニケーションスペースとして、社員が自由に使えるようにしている。「奥には業務用のキッチンが残してあるので、ケータリングを取るにしてもバリエーションが一気に広がる」と前田氏は話す。このスペースを活用し、TGIF（Thank GOD, It's Friday）や年1回、全国から全社員が集まってのオールハンズミーティングも行っている。

同社の組織としては、①新規サービス立ち上げ、②サイト更新等の定常的メンテナンス、③24時間365日の保守サービスという業務領域に分化。それと共に、3カ月ごとに全体をアトランダムにシャッフルする“ホームルーム”も設けるマトリクス組織にして、それぞれの組織において毎日ミーティングを開いている。
「これによって、全社員が縦横に交わることができます。リモート体制でも週1回30分程度のティータイムを設けて“雑談タイム”としているので、社内コミュニケーションはかなり活発だと自負しています」（前田氏）。

そんな同社が求める人材像について、前田氏は次のように期待を寄せる。
「技術力は後からいくらでも身に付けることができるので、明るく元気で健康な方、知的好奇心が高く吸収力の高い方に、是非ジョインしていただきたいと願っています！」