代表取締役 石井 悠夏氏 東京にある大学出身のビジネスマインド旺盛な経営者。在学中からインターンとして働く。社会人2年目で、同期入社の知人と起業。会社では主にビジネスサイドを担当。趣味はサウナと筋トレとマンガを読むこと。

起業したきっかけは？

私が物心が付いた時には、日本経済は失われた10年といわれ、それが20年・30年と延長されて、40年になるのはほぼ確定でした。今の若い世代にとって、日本は「期待を持てる国」とはいえないかもしれません。残念ながら、私の周りにいる優秀な方々も将来的には「海外」で働くことを視野にいれています。 そんなことを考えているうちに、日本の未来を作り替える仕事がしたいと考えて、2019年に前職の同期だった内海と一緒にIndustry Technologyを立ち上げました。ソフトウェアの力を強く信じており、ソフトウェアの力を使って日本の産業を維持・発展可能な形に変革していきたいと考えています。

『レジマネ』の開発に至った経緯は？

Industry Technologyを立ち上げて、事業を作る段階でキーワードに据えたのが、少子化による「人口減少」です。労働人口が減ることにより社会インフラの維持も危うい未来が想像されています。 最初にチャレンジしたのは、現場労働者の技能継承。AI・XRを用いて熟練者の技術をクラウド化し、必要な作業をAIが指示することで、研修時間の短縮や業務効率を改善する『OYAKATA.ai』というサービスです。3～5年の経験者と同じ業務を新人が遂行することが可能になり、人材不足課題を解消することができると考え開発しました。 『OYAKATA.ai』の営業の過程でビルメンテナンス企業の方々と話しているうちに、マンション管理業務にIT化の大きな課題が眠っていることを発見し、技術軸でソリューションを考えるのではなく、ドメイン軸でソリューションを捉えなおし『レジマネ』の開発を始めました。

ビジネスにおいて大切なことは？

「産業構造の課題を解決すること」です。起業したきっかけでもお伝えしたように、日本の未来を作り替えていくことはスタートアップとして非常に重要だと考えています。もちろん、開発したサービスを収益が上がる事業にすること、顧客の課題解決をすることが前提にはなりますが、それだけではビジネスとして片手落ち感があります。 産業課題の解決・顧客の課題解決・収益を上げる、それぞれを等しく非常に重要だと考えております。 その意味では、前々職の会社に大きな影響を受けているといえるかもしれません。目の前のユーザー課題を解いて収益を上げながら、産業の構造的な課題も解決する。会社が利益を得て、同時に各ステークホルダーに価値提供しています。同じようなことを自分もやってみたいというのが、起業理由の一つでした。

ご自身をどんな性格だと思っていますか？

とても「厳密マン」だと思います。議論を進める前に言葉の定義をはっきりさせたいタイプの性格です。お互いに言葉の定義が曖昧では、コミュニケーションは成立しないと考えています。また、同じ言葉の定義が双方でズレが生じていると、これまたコミュニケーションは成立しません。だから、言葉の定義をはっきりさせてから議論やコミュニケーションを進めたい。よって、話している言葉の厳密な意味を問うことがあります。 人間は育った背景が違えば言葉の定義は異なります。それを前提に、言語コードや価値観の擦り合わせをしてコミュニケーションがスムーズになるように努めたいと思っています。 言葉を変えれば、二人ともロジカルともいえるかもしれません。ロジカルに考えるためには、ロジックを組み上げる言葉の定義が大前提になります。エンジニアはロジカルな人が多いから、当社の社風はエンジニアにはマッチするかもしれません。

これまでの経歴を教えてください。

東京大学に理科二類で入学。しかし、文学部に転籍して倫理学を学びました。大学在学中からインターンで働いており、ビジネスの現場で働くのが楽しくて学業が負担にならない学科に転籍しました。大学受験では理系科目のが得意だったのですが、将来、研究職に就く希望もなかったのも一因です。 また、在学中はインターンで働くことに精を出しました。スタートアップやコンサルティングファーム等、数社で働きました。当初は自分でもビックリするくらい仕事ができなくて、周囲に迷惑ばかりかけていましたが、それでも、先輩達に教えてもらい何とか仕事ができるようになってきました。