「これがいい」ではなく「これでいい」・・・今、無印良品はこんなことを考えているという。<br />自分のこだわりを持ってモノを選ぶ「これがいい」という態度ではなく、エゴを捨て去った謙虚な心で選びとる「これでいい」。それは、生活に本当に必要なエッセンスと機能だけを慎重に選ぶ行為だ。物質的に豊かになり、無駄を多く出すようにすらなった日本人だが、昨今は無印良品のこのような価値観に共感し、立ち返ろうとしている気がしてならない。<br /><br />「これでいい」に含まれる不満のニュアンスが少しでも減り、より積極的な選択になるように、無印では「これでいい」の「で」のレベルを上げようとしていると言う。これまで無印が不変にもち続けてきたモノ作りの基本、「素材の選択」「工程の見直し」「包装の簡略化」をはじめとした様々な施策で、これを実現しようというのだ。<br /><br />また、お店で買ったものを家に持ち帰った時、それが家の風景にとって「ノイズ(悪目立ち)」になるようでは、ずっと使ってもらえないから、無印のデザインの基本は、「かっこいい」ではなく、「使い心地」と「調和」で統一されている。<br /><br />こういった無印の考え方に共感した世界中の「才能」が、実は無印を影で支えている。「才能」とは、著名な建築家やデザイナーの面々。「私がデザインしてきたものは、無印そのものだ」と言って、無印への助言や協力を惜しまないという。こういったアドバイザリーボードをバックに持った経営陣の確固たる信念の下、それに共感する3000人の社員やパートナーが集まって、無印の商品は作られているのだ。