株式会社CREiST

株式会社CREiST（以下同社）は、2013年に設立した総合ITサービス企業である。総合エンジニアリングサービス会社のミライト・ホールディングスグループ（東証一部上場）の一員として、業務アプリケーションの開発・インフラ基盤の構築・運用保守等のSES事業および自社ソリューション事業を展開している。また近年は、SES事業を通じて信頼を得たお客様から請負案件を小規模ながら受注している。

同社の自社ソリューションの原動力になっているのは、電子棚札『InforTab』だ。電子棚札とは、値札や物流ラベル等の情報をデジタル化して店舗DXを促進する製品であり、同社は海外の電子棚札メーカーの国内代理店として360万個以上の導入実績を持つ隠れたNO.1企業だ。この事業においては、エンドユーザーの業務に踏み込んだコンサルティングから、電子棚札を既存の基幹システムに連携させる導入開発、導入後の運用保守までを一貫して手掛けており、大手家電量販店の全国50店舗に導入した実績を誇る。代表取締役社長の飯田治己氏は、同社の組織的な強みについて次のように述べている。

「当社が展開する電子棚札ソリューションは、大きな受注規模になると50億円を超えることがあります。一般的には100名に満たない規模の会社が、これだけの規模の案件を大手企業から直接受注するのは、信用リスク・人的リソース等、様々な観点から鑑みて容易ではありません。その点、当社の経営バックボーンにあるミライト・ホールディングスグループが強力な後ろ盾になっています。大手家電量販店様の案件においては、グループが持つ日本全国の事業拠点と連携しながら、全国展開する店舗へのシステム導入を行いました」（飯田氏）。

同社の社名はイタリア語の「CREA（創造する）」と英語の「ist（～する人）」を組み合わせた造語で、その名のごとく根底には強いチャレンジ精神が込められている。同社の電子棚札ソリューションも、決して豊富な成功実績があるわけではない。ただ、同社は裸一貫で新規マーケットに挑むベンチャー企業とは確実に一線を画している。グループ売上高4,637億円の安定した経営基盤をバックボーンにチャレンジしているのである。

同社は設立してから着実に事業・組織規模を拡大し、ある年度は売上高に占める自社ソリューション事業の比率が50％に達したとのこと。リスクヘッジという観点でもバランスの取れた事業構成の企業として成長を遂げている。

ソリューション事業・SES事業ともにさらなる強化を図る同社は、エンジニアの積極的な中途採用および技術力のボトムアップを図るという。人材戦略担当を務める執行役員の東英彰氏は、事業展開を進める上では特にクラウド系の経験・知見を持ったエンジニアの採用が課題だという。

「電子棚札ソリューションのシステムはAWS環境で動いており、SES事業においてもAWSやAzureを使った構築案件が増えています。現在約80名のエンジニアが在籍していますが、クラウドを使った構築案件をしっかりとコントロールできるのはまだ10名程度。上流に強い中堅・ベテランエンジニアは豊富に揃っていますが、この技術分野に関しては、まだまだ全社的にボトムアップが必要です」（東氏）。

エンジニアにとって、技術・キャリアの幅を広げやすいのは同社の環境面の魅力だという。その理由の一つに、ソリューション事業ではシステム導入の川上から川下までを、SES事業ではアプリ開発・インフラ構築・運用までカバーする等、対応領域が広いことが挙げられる。領域の幅が広いメリットとして、同社は次のように付け加える。

「まずは担当プロジェクトをまっとうするのが前提ですが、ずっと同じ領域に留まっている必要はありません。アーキテクト技術を突き詰めたい人もいるでしょうし、PM/PLとしてマネジメント能力に磨きを掛けたい人もいるでしょう。あるいは事業・組織の裾野が広がることを見据えて、新規事業のプロジェクトリーダーや人材育成担当等を目指しても良いかもしれません。当社はチャレンジを応援するカルチャーがありますから、現在社内にないポジションをつくりたい人も大歓迎です。どんどん会社に働き掛け、自分が描くキャリアを形にしていってほしいと思います」（東氏）。

クラウド系のテクニカルスキルは、同社が必要とする素養の一部分にしかすぎない。安定した経営基盤を土台に思いっきりジャンプしたい―。そんなタイプのエンジニアが、同社の今後の発展のキーを握っているのである。

企業経営を語る際に「人こそ財産」という言葉はよく耳にする。これは同社の掲げる経営理念に通じる。財産である社員の成長から始まり、顧客満足の向上による業績の拡大⇒企業ブランドの向上⇒良質な人材の確保によるパフォーマンスの向上⇒社員のさらなる成長といったサイクルを生み出せると考えている。こうした人材戦略に対する本気度は、90名という決して大きくない規模の会社でありながらも、2021年4月に経営ボードの東氏が自ら旗を掲げて「人材戦略室」を立ち上げた事実にも表れている。

「経営層とエンジニアを繋ぐ存在として人材戦略室を機能させ、昨今のSES契約でも多く見られるテレワークなどの働き方改革をはじめとする社員エンゲージメントの向上や、新しいスキルを身に付けるリスキリング機会の提供、エンジニアの様々な個性を引き出すタレントマネジメントに力を入れていきたいと考えています」（東氏）。

今後の事業成長を見据えた本格的な人材戦略は、第一ステージに立ったばかりといったところ。エンジニアにとっては、学びの場・人事評価制度・キャリア支援・福利厚生…あらゆる面において、自身のスキルを存分に発揮できる働きやすい環境が一つひとつ着実に整っていくだろう。

最後に職場について。特にSESで常駐するようになると、自社内の人間関係が希薄になってしまう会社も少なくない。テクノロジー推進&品質管理室のシニアマネジャーを務める菅原氏は、エンジニア同士のコミュニケーションについて次のように述べている。

「当社のエンジニアは常にグループチャットで横断的に繋がっており、それぞれの案件で行き詰まった時に相談し合ったり、効果的に仕事を進めるためのツールや便利技を教え合ったりしています。また、個人が持っている強みを勉強会等で発信するエンジニアも多いですね。最近もハンズオン形式で流行りのJavaScriptフレームワークやAWS等をみんなで勉強したことも。学習意欲が高く、コミュニケーションを大事にする人が多いので、周りから刺激を受けたい人には良い環境かもしれません」（菅原氏）。

自身も大手メーカー系の情報システム会社から同社の目指す理念に共感して入社した菅原氏であり、その言葉には実感がこもっており、確かな手応えを感じているようだ。

経営層と現場の距離が近く、社員同士の繋がりも強い同社であれば、自分のやりたいことや考えも発信しやすい。新しい環境でチャレンジする醍醐味もひと際大きくなるはずだ。