株式会社ビーブイエムコンダクター

1989年に設立された株式会社ビーブイエムコンダクターは、上流SEの仕事に特化している。設計・開発だけでなく維持管理、運用においてもプロジェクト管理業務・システムの提案・コンサルティング等の案件に携わっている。

同社が手掛ける案件の8割以上が、某大手SIerの案件。創業者である代表取締役の田中康寛氏が、長年にわたって大手SIerで営業支援をしてきたこともあって、現在もプロジェクト管理業務と並んで営業支援も受託している。

「システムインテグレーションの会社ですが、システムの構築や開発はあまり手掛けていません。設立当時からプロジェクトの管理業務をメインにしています。システム構築のプロジェクトにおけるPMOや上流工程、運用・維持・管理プロジェクトのリーディング、営業支援が当社の仕事です」（田中氏）。

大手SIerとの太いパイプがあり、ビーブイエムコンダクターでは、他のシステム開発会社では経験できない大規模プロジェクトの上流工程に参画できる。大手SIerとの直取引は“奇跡の口座”と呼ばれているという。確かに、会社の規模を考えれば、普通は直取引等考えられない。しかし、長年かけて田中代表が築いてきた信頼が奇跡を現実のものとしている。

「いわゆる下請け仕事ではなく、大手SIerの担当者に近いポジションで、ベンダーの選定や管理をする役割です。PMをバックアップしてシステム開発を成功へ導くPMOという、プロジェクトの成功を大きく左右する重要なポジションです」（田中氏）。

PMOの主な役割は、品質管理・進捗管理・課題管理の三つ。それに付随する仕事を幅広くこなす。実際の開発は下請けのベンダーが担当。ベンダーをコントロールして、クライアントに逐次報告する。

「PMOのキャラクターは様々です。飴と鞭を使い分けてベンダーを管理する人もいれば、コロコロとベンダーを上手く転がして『YES,YES But NO』で管理する人もいます。当社で働けば、上流工程に参画できるだけでなく、プロジェクトマネジメントのスキルも付きます」（田中氏）。

ビーブイエムコンダクターで働けば、プロジェクトを俯瞰的に見て動くエンジニアになれる。PMOを経験すれば開発プロジェクトのプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーの素養を身に付けることができる。

大手SIerの案件で上流工程に特化した仕事を手掛けているビーブイエムコンダクター。設立当初から開発ではなく、コンサルティングや設計等の上流工程に特化してきた。

同社が創業した1989年は、ITの黎明期といえる時代。システム開発は、汎用機からオフコンになり、クライアント・サーバ型のシステムが興隆していく、その渦の中で同社は誕生した。

「2019年に設立30周年を迎えましたが、激動のIT業界を生き残れたのは、上流工程に特化していたからかもしれません。開発の現場では技術の進歩が目まぐるしく、気付けば“枯れた技術”となってしまうリスクもありました。しかし、上流工程は技術の移り変わりに左右されません。技術の変遷にキャッチアップしていれば、パートナー企業が持つ技術を上手く活用することができます」（田中氏）。

上流工程をメインに手掛けてきたビーブイエムコンダクターだが、創業30年を超えて、一つの問題に直面した。それは、メンバーの高齢化。平均年齢が50歳を超え、会社を受け継いでくれる次世代の育成に乗り出した。

「上流工程の仕事をしてきたことから、少数精鋭の組織でこれまで会社を運営してきました。正社員が10名前後に同数のパートナー会社の人やフリーランスの人材で仕事を回してきました。社員は、全員中途採用で、大半がリファラルです。仕事をする中で繋がった人達が集まってできた組織でした。しかし、今後を見据えて採用を強化していきます」（田中氏）。

2021年には、ビーブイエムコンダクターのクライアントの現場で長年働いてきた立花憲一氏が、田中氏と並んで代表取締役に就任。ビーブイエムコンダクターは、新しい会社に生まれ変わろうとしている。

「今までのビーブイエムコンダクターは、田中を中心に個人の力でクライアントに貢献してきた会社です。今後は、若手の人材を増やしてチームプレーでクライアントに貢献できる会社を目指します。評価制度や教育制度を充実させ、若い人材が活躍できる組織にしていきたいと考えています」（立花氏）。

メンバーの若返りを図り、新しい組織に生まれ変わろうとしているビーブイエムコンダクター。タイミングよく大手SIerから5年にわたる長期のプロジェクトを受注。経験の浅い人材でも、現場で育てることができる。

「人材を育成するには、単発の短期案件ではなく、腰を落ち着けて働くことができる長期のプロジェクトが最適。5年間でしっかり経験を積んでもらえば、次のプロジェクトではメインの人材としてマネジメントも任せることができます」（田中氏）。

上流工程、マネジメントにステップアップを目指すエンジニアは、ビーブイエムコンダクターで開発の現場から離れたセカンドキャリアを構築することができる。

「開発や運用・保守フェーズだけでなく、上流工程やプロジェクトマネジメントを経験すれば、システムエンジニアとしてスキルアップができます。大手SIerの立場でPMを経験できる機会は多くありません。IT業界での経験豊富な人材なら、40代も大歓迎。定年の年齢を迎えても、上流なら仕事を続けられますし、先の長いセカンドキャリアを構築できます。開発の現場からマネジメントにステップアップしたい若手の人材にも活躍できるチャンスがあります」（田中氏）。

ビーブイエムコンダクターは、規模の小さな組織ゆえ、自由な働き方を維持できている。クライアント先で常駐する働き方のスタイルだが、勤務報告さえすれば、オフィスに行く必要はない。帰社日も設けていない。副業も自由なのでパラレルキャリアで働くメンバーもいるという。

「執筆活動をする傍らで、大手SIerで営業支援の仕事をしているメンバーがいます。クライアントと相談して、忙しくなると彼女が呼ばれます。メンバーそれぞれのライフスタイルを大事にしたい思いがあり、クライアントにそれぞれの事情を説明して理解を得ています。本人次第でキャリアを縦にも横にも広げられます」（田中氏）。

クライアントが大手SIerなので、働き方も整備されている。

「働き方は基本的にクライアントに合わせます。クライアントが大企業だから、ほぼ残業がありません。30時間を超えることはありません。休みも取りやすく、現場で調整してもらえれば自由に有休を取れます。就労環境は客先に準ずるため、リモートワークも取り入れています。クライアントから絶大な信頼を得ているため、現場での居心地もいいと思います」（田中氏）。