ジュノー株式会社

全国92の結婚式場と提携し、写真・映像・演出・ビデオアルバム・エンドロールムービー・音響等、ウエディングシーンの様々なニーズを叶えるサービスを展開するジュノー株式会社。契約フォトグラファーおよびビデオグラファーは500名。支社・営業所を全国13ヶ所に構え、年間約19,000組に上る結婚式施行実績を誇っている。

1983年にウエディングの記録映像からスタートした同社は、ウエディング業界での評価を着実に高めてきた。現在、その評価は業界の枠を超え、百貨店等の流通業界、音楽レーベル等のエンターテインメント業界、旅行業界等、様々な顧客の開拓を実現。企業ブランディング、商品、イベント、プロモーション、コマーシャル、広告撮影やアートディレクション等、年間約100案件を手掛けるクリエイティブカンパニーとなっている。

改めて同社の強みを整理すると、以下の三つが挙げられる。

【1】一生に一度のウエディングを彩る、高いクオリティー
ウエディングは一生に一度の大切なイベントだからこそ、写真・映像・演出等のクオリティーが重視される。その期待に、同社を創業した代表取締役 飯岡大学氏をはじめクリエイティブのトップが応えることで、現在のポジションを確立している。

【2】全メンバーに浸透している「サービスマインド」
大切なイベントだからこそ、失礼があってはいけない。「お客様のお役に立つこと」をコンセプトに掲げる同社では、サービスおよびクリエイティブに関わる全メンバーに、「大切な一日をおもてなしするサービスマインド」を徹底させている。外部のフォトグラファーやビデオグラファーには契約時にそのコンセプトを説明。必要に応じて研修も行い、同じ思いで案件に臨んでもらっている。

【3】豊富な情報量に裏打ちされた提案力
上記のとおり、同社のクリエイティブはウエディング業界以外の様々なニーズに応えている。百貨店のプロモーション案件がノウハウとして結婚式にフィードバックされ、さらにミュージックビデオに活かされ…という形で同社は豊富な情報量をストックしている。その情報量が、顧客への提案力を高めている。

特に【3】と連動するが、同社は今後ウエディング以外の案件にも、本格的に事業を拡大していく。その事業展開をダイレクトに担うのが、今回フォーカスする同社の企画部である。既に展開中の新サービスも含め、企画部が果たすミッションや運営体制、求める人物像について話を伺った。

ウエディング以外への事業拡大に関する重要なキーワードは「BtoC」である。今まで同社の事業は基本的に「BtoB」である。ウエディングであれば結婚式場やホテル、プロモーションやブランディングであれば百貨店…というように、法人顧客に対してサービスを提供してきた（厳密には「BtoBtoC」と言えるが）。しかし今後は、ウエディングという大きな柱は今までどおりキープしながら、BtoCにも事業を広げていく。

例えば、2021年9月、同社は大阪市にアンティークフォトスタジオ『Sappurete Studio（サピュルテスタジオ）』をオープンした。ウエディングはもちろん、マタニティ、七五三、バースデー等の様々なライフイベント用に写真・映像撮影を行うこのスタジオは、明らかに「C」、つまりエンドユーザーを対象とした新サービスである。

また、翌10月には東京・品川駅高輪口のショッピングセンター内に、動画配信スタジオ『STUDIO JUNO（スタジオジュノー）』をオープン。プロユースの機材と映像クリエイターによるフォロー体制を整え、誰でも「手ぶらで、気軽に」利用できるこのスタジオは、急拡大中の動画配信マーケットに対応する空間をエンドユーザーに提供している。

このようにエンドユーザーとのタッチポイントを増やし、ジュノーブランドのファンを増やすことで、BtoCを成功に導こうと同社は考えている。そしてその先に、看板ビジネスであるウエディング向けの事業の強化も見据えているようだ。

「ジュノーブランドの写真が好き。ジュノーのフォトグラファーに撮ってほしいから、この式場で挙式したい。そんなエンドユーザーを増やすことが一つの理想ですね」（飯岡氏）。

そんな新しい事業展開を担うのが同社の企画部だ。グラフィック（紙）・映像・Webの3ジャンルを効果的に組み合わせ、顧客に寄り添ったフレキシブルな提案を行っている。同部のメンバーは16名＋撮影チームという体制だ。先ごろ部門長が卒業したので、新たにそのポジションに就く候補を含め、企画部の増員を進めている。

同社にはない新しい事業を手掛けていくというミッションから、「新しい部門長にはウエディング業界以外の知見を是非発揮してほしい」と飯岡氏は語る。具体的にどのような人材に、どのようなパフォーマンスを期待しているのか詳しく説明していく。

企画部の部門長は、プレイングマネージャーとして、メンバーも束ねつつ自ら企画・提案を行うことが期待されている。前項で触れたように、グラフィック（紙）・映像・Webの3ジャンルを効果的にミックスし、自ら提案するための知見を持っている人であること。さらに言えば、「そういう提案を楽しめる人」ということになるだろう。

また、プレイングである以上、メンバーとのコミュニケーションが必ず生まれる。同社は20〜30代のメンバーが中心、新卒・中途入社の温度差もなく、社内派閥等とも無縁の風土なので、コミュニケーションの取りやすさという点で心配はないだろう。

自分の上司となる部門長への期待を、企画部1課課長 木下奈美氏はこう語る。

「メンバーはみんなウエディングに関わる仕事が好きです。でもそれ以上に、ゼロから企画を立ててお客様に提案したり、モノを作ったりすることが好きな人が集まった職場です。職種や社歴等の境界線を超えてお互いの能力を持ち寄り、お客様にとって良いものを提供することに価値を見出しているのです。新規事業はまだ手探りですが、やったことがないというゼロの状態を面白がれる人に、部門長を担っていただければと思います」

なお、新規事業については、既に大手企業との案件がいくつか動いているが、同社は全て代理店を通さない直接取引を行っている。プレイヤーの多さに煩わされることなく、アイデアや意見をどんどん発信できることは大きな魅力だ。また、任される裁量も大きい。例えば顧客の年間プロモーション計画の立案や予算組みについては、自らの裁量で顧客と進められる場合もあるという。部門長ならではのやりがいと言えるだろう。

一方で、部門長は経営に近いという側面もある。代表取締役、取締役に次ぐポジションの一人として、会社全体の運営に関わる場面も多い。特に企画部は、BtoCを軸とした新規事業を推進する部門だ。その部門長はBS/PL、予算等の数字を把握し、同社の方向性を理解した上で、経営層と二人三脚で新規事業の行方を冷静に見ていなければならないだろう。

ただし、「スクラップ&ビルドは積極的にやっていく。BtoCを成功させる以前に、面白い仕掛けをすることが第一だから」と飯岡氏は語る。

「ネガティブなニュースが多い今だからこそ、私達がポジティブな空気を作りたいと考えています。面白い仕掛けをすることで、世の中を元気にする、一日を楽しく過ごせるようにする、人生を楽しいものにする…そんなきっかけ作りができたら最高です。言い換えれば、それができればコンテンツは何でも構いません。上手くいかない新規事業は見切りを付け、また新しい何かを始めればいいのです」（飯岡氏）。

面白い仕掛けを一緒に考えて、世の中を楽しいものに変えていける。そんな仲間を、同社は求めているのだ。