はじめに、AVILENの概要について教えてください。
AVILENは「データとアルゴリズムで、人類を豊かにする」というパーパスのもと、テクノロジーとビジネスの両方の知見を活用し、クライアントのデジタル・AI変革を一気通貫で支援している企業です。 2018年の創業からわずか5年1カ月という短期間で東証への上場を果たし、取引社数はすでに900社を超えました。継続率は80%を超えており、現在も急成長を続けています。
AVILENの創業経緯についてお聞かせください。
私は大学で統計学を学んでいました。大学4年生のときに1年間ほど米国留学したことがきっかけでAIの存在を知り、学問としてのAIを学ぶために大学院に入りました。そこで知り合った仲間と立ち上げたのがAVILENです。 当時の自分たちに共通していたのは、AIの可能性が見えていたことでした。「AIには時代を変えるほどの大きな力があるのに、日本ではそれを担う人材が全く足りていない」、そんな課題感からAIを開発するだけではなく、AIの活用を担う人材の育成が必要だと考え、「AIソリューション事業」と「デジタル組織開発事業」の2本柱で会社を運営していくことにしました。それが現在のAVILENのビジネスモデルにつながっています。 ちなみにデジタル組織開発事業の売上は、現在全体の約4割に達しており、二つの事業がまさに二本柱となってAVILENの経営を支えています。
AIソリューション事業、デジタル組織開発事業の詳細についてお聞かせください。
AIソリューション事業部は、AI時代の環境の変化を見据えて、事業変革の方向性や課題の解決方法などについてのコンサルティングをしつつ、その実現に必要なAIを一気通貫で作る事業部です。データサイエンティストを中心に、AIエンジニア、デジタル・ITコンサルタントなどが所属しています。 一方、デジタル組織開発事業部は、企業や組織のあるべき姿に関する相談に乗りながら、そこに至るまでのロードマップや、eラーニング(研修)などの人材育成に必要なコンテンツを提供する事業部です。組織開発コンサルタント、eラーニングのコンテンツ開発メンバー、カスタマーサクセスのメンバーなどが所属しています。 これらに加えて、セールス(アカウントリード)やマーケティングチームなどは、両組織を横断する形で設置されています。
数多くのAI企業が存在するなかで、AVILENの強みは何でしょうか。
テクノロジーとビジネスの両方に長けていることです。業務プロセスとは、その企業の価値そのものであり、それをテクノロジーの力だけで変革することはできません。ビジネスにも精通していることではじめて、その企業に本当に必要な最適なプロセスを生み出すことができると考えています。AVILENはこの両方の知見を活用することによる本質的な課題解決ができる点を強みとしています。 AVILENのテクノロジー面の強さを支える仕組みの一つに、当社が創業時から運営している機械学習研究者コミュニティ「AVILEN DS-Hub(通称:DS-Hub)」があります。DS-Hubには修士課程や博士課程に在籍している機械学習研究者が国内外問わず200名ほど所属しており、AI技術の社会実装やAI人材の育成に携わっていただいています。そのなかでも特に優秀な方には卒業後もAVILENのメンバーに加わっていただき、最前線でご活躍いただいています。 一方、ビジネス面の強さはバリューの浸透によるところが大きいです。例えば当社のデータサイエンティストやエンジニアは、時にはお客様の元に赴き、プロジェクトの推進担当者や、現場の業務担当者の話を直接聞きに行きます。エンジニアであっても率先してビジネスを理解しようとするカルチャーは、当社が掲げるバリューのひとつである「真の顧客価値への執念」の表れだと感じています。
今後の展望についてお聞かせください。
2028年までにナンバーワンAI企業になることを目指しています。そのために掲げている戦略が二つあります。 1つ目はアカウント戦略です。現在、日本はAIビジネスのプレーヤーにとって非常に魅力的な市場となっています。OpenAIの代表が日本に来たり、世界のAIベンチャーが日本で続々と拠点を立ち上げていたりするのは、日本がGDP世界第4位の経済大国でありながら、デジタル化による改善余地が非常に大きい国だからです。 こうした状況にある日本が変わるためには、業界トップの企業やファーストペンギンと呼ばれる方が変革に成功することが大切です。私たちは業界をリードするお客様を中心にサービスを展開していく戦略を立てていくことにより、日本全体のAI変革を推進したいと考えています。 2つ目はM&A戦略です。M&Aによって当社のケイパビリティを向上させ、その結果「焼き畑PoC」の撲滅を実現したいと考えています。 焼き畑PoCとは、「PoCばかりを数年間繰り返した結果、振り返ったときに何も成果が残っていなかったという状態」を指します。こうなってしまう原因は、発注側とAI会社の両方にあると考えますが、私たちはテックとビジネスの両輪で今の事業を拡大していくことにより、焼き畑PoCに陥ってしまう企業を減らすことで、世の中のAI変革を確実に推し進めていけると考えています。 なお、AVILENが2023年9月に上場したのは、これらの戦略を少しでも早く実行するためです。資金調達ができる環境や社会的な信頼を獲得することにより、ここで描いたビジョンを早期に実現したいと考えています。
