株式会社南江堂

創業140年超の歴史を誇る医学系専門書の出版社である、株式会社南江堂。同社は目下、デジタルコンテンツにおける事業展開に力を入れており、Webメディア/コンテンツに強い人材を求めている。

同社が手掛けている事業は、医学や薬学、看護学、リハビリテーション医学、栄養学等の専門書や専門誌、教科書の刊行、および洋書・洋雑誌の輸入販売。新刊書籍は年間約100点。「医学生や看護学生等、医療従事者を目指す誰もが一度は必ず手に取るような教科書や専門書を送り出しており、南江堂の認知度は高いと自負しています」と編集部部長の竹田氏は胸を張る。

特に名高いのは、『今日の治療薬』。1977年の発刊以来、あらゆる診療科で使われる治療薬を紹介する本として医療界に浸透し、毎年医学書のベストセラーを記録している。発売から数週間は全てのジャンルにおいてもトップ10に入る“大ヒット商品”だ。

業界のリーダー格として、他の医学書出版社と共同出資して医書ジェーピー株式会社を設立し、医学専門ジャーナル・書籍の電子配信プラットフォーム『医書.jp』の発足に尽力。現在では国内の医学系専門出版社のほぼ全てがコンテンツの提供を行うまでに成長している。
また、ベストセラー書『今日の治療薬』のアプリ版をリリースし、検索機能を高める等してアプリならではの使いやすさを提供し、医療従事者のデジタルニーズにいち早く対応している。

同社の創業は1879（明治12）年。東京・本郷に医学書専門書店を開業した。140年超に及んで経営を継続できている要因について、総務部総務課課長の逸見氏は次のように話す。
「バブル等の時期にあっても医学書事業一本の堅実経営に徹してきたこと、特定の医学領域に特化せず時代のニーズに合わせて幅広く取り組んできたこと、そして信頼性が何より重要な医学の世界にあって、長年にわたって事業を継続し信頼を培ってきたことが挙げられると思います」
専門領域に特化する医学系専門出版社が多い中、幅広い領域に総合的に取り組める体制を持ち、著者の広範なネットワークによる企画力や制作力を有しているところに同社の強みはあるようだ。

そんな同社の経営理念やビジョンは、次のとおりだ。

・経営理念：文化的意義の深い出版事業を通して、社会に貢献する
・ビジョン：南江堂は、“丁寧な仕事”により“信頼ある会社”として関係各者からの認知度を高め、医学・医療に関する良質な出版物を継続的に刊行する使命を果たします

同社では、2020年、8代目社長に小立健太氏が就任すると、どのような経営環境でも成長できる企業風土づくりを打ち出し、社会のデジタル化ニーズに積極的に対応し貢献し続ける姿勢を鮮明にした。
「医学書出版領域でも、電子化は進展しています。今後の一層のデジタルシフトを見据え、“紙”メディアにこだわらない事業展開として、目下新たなWebメディア／サービスの検討を進めています。そのためにWebサービスやデジタルコンテンツの知見を持つ人の力を必要としています。是非アクセスし、当社の将来ビジョンを聞きに来てください」と小立氏は呼び掛ける。

老舗の企業であるが、社員は30代が中心で、女性比率も40%と低くない。
「新社長は、若手の声を上層部が積極的に吸い上げ、組織の風通しを良くしていくために、2020年2月から年4回の“1on1ミーティング”をスタートさせました。この取り組みによって、若手でも会社に意見や要望を伝えたり、自分自身のキャリアビジョンを聞いてもらうことができ、心理的安全性を高める効果も出ています」（逸見氏）。

働き方においては、新型コロナウイルス感染対策としてリモートワークを導入し、日数制限なく活用できるようにしている。
また、ワークライフバランスを重視し、有休消化率は62%（年20日支給、20年度実績）、育児休暇取得率は女性100%（直近10年間）、男性の取得者も増加傾向にある。

社員間の親睦を深める機会としては、コロナ前までは事業年度末の8月末、年末の12月、新人歓迎の4月の年3回、全社懇親会を行ってきた。そのほか、フットサルや野球、テニス、ゴルフ等のサークル活動が行われている。

同社の社員像は、堅実かつ調和型で穏やかな人が多いという。そうした中にあって、新たなWebメディア／サービスを担う人材としては、「フロンティア精神やチャレンジ精神に富み、アイデアを形にすることに情熱を注げる方であってほしい」と竹田氏。

医療という社会貢献性の極めて高い分野で認知度の高い同社の一員として、新たなWebメディア／サービスを立ち上げ、情報発信を担っていくという仕事。自らのWeb／デジタルに関わる知識や経験を、同社のアセットと癒合させ、新たな価値をつくる。大きなやりがいが得られるに違いないだろう。