カノープス株式会社

現在、ディスプレイの大画面化・低価格化・設置性の向上およびブロードバンド環境の普及等により、ビジネス市場における映像機器活用が増加している。また、2011年に全放送局が地上デジタル放送へ完全移行するなど、デジタル化は日本においても急速に進みつつある。また、一方でネットワーク環境を利用したデジタル映像コンテンツの配信も盛んになってきており、映像配信ビジネスにも急激に立ち上がろうとしている。そんな中、映像の分野において編集から配信まで、それに関わる映像関連製品やシステム関連製品を開発し、新しい製品を市場に提供しているのが1983年に創業したカノープス株式会社である。<br /><br />現在の同社の主力製品は、デジタルビデオカメラ等で撮影したデジタル映像信号をPCに取り込み、加工編集するためのビデオ機器製品、ネットワーク上で映像配信を行うシステムなど映像配信機器製品である。映像編集や配信という個々の分野において部分的な製品を扱っているメーカーは多くあるが、編集から配信までトータルに携わっているメーカーは殆どない。<br /><br />ビデオ機器製品においては、全国128局ある放送局の中で約7割のシェアを有し、圧倒的なシェアを持つ。製品力の高さには定評がある日本を代表するメーカーである。「映像分野における製品に関しては、絶対の自信を持っています。日本の中では映像を扱うメーカーにおいて、リーディングカンパニーの地位を確立しています。現在は、日本だけでなく世界を見据えて事業展開を行っています。海外の放送局への売り込みも始め、世界No1を目指しています。」と自信を見せるのは、同社 の製品を生み出している開発本部の本部長であり執行役員の藤岡氏である。

同社の強みを管理本部長の海老名氏はこう語る。「当社の強みは編集から配信までトータルで扱えることに加えて、技術力の高さにあります。オリジナル製品を開発するために必要な次の技術を社内で全て持っています。<br /><br />・画像圧縮等のアルゴリズムの技術<br />・ハードウェアの技術<br />・ソフトウェアの技術<br />・ソフト、ハードを応用したシステム技術<br /><br />こうして、自社技術開発によるオリジナル製品を自社ブランドで展開しています。当社の製品力の高さは、ラスベガスで開催される国際放送機器展において編集機器部門のなかで一つの製品で二つの賞をもらうという快挙を成し遂げたという実績からも明白です。」<br /><br />そして今、同社の視野は世界に見据えられている。2006年に仏トムソングループ傘下に入ったことにより、世界中に220ヶ所以上の拠点を持つ大きな販路を活かして開発した製品を世界に効率良く拡販できるようになり、世界進出を加速している。さらには、同じくトムソン傘下にある放送機器メーカーとしてメジャーなグラスバレーとも連携し、お互いの技術を補完しあい協力して開発することで、より高機能、高品質な製品開発を可能にしている。現在、既に共同開発によるプロジェクトが立ち上がっており、両社が持っている既存技術を活かして、効率の良いスピーディーな開発が始まっている。<br /><br />これは、同社の社員にとっても日本だけではなくグローバルな環境に身を置くチャンスも存在することを意味する。<br /><br />カノープス社が世界で認知されるための土俵は整いつつある。

このようなオリジナルの技術力が生まれる秘訣をお伺いすると、両者とも口を揃えて「開発環境の良さ」だと言う。<br /><br />それについて藤岡氏はこう語る。<br />「当社では、技術者が自由に発想できる環境作りを一番大事にしています。そして、製品の仕様については、企画部が決める基本的な仕様以外の細かい部分は技術者の個々の発想に任せています。仕様の細部に技術者の考えが取り入れられることにより製品に対する思い入れや遣り甲斐が出てきますし、そのための勉強も自主的にするようになるからです。<br />またそのための環境として一人当たりのオフィススペースも広くし、独立性を高めるために各スペースはパーテションで区切られています。さらには技術者への配慮として、ビリヤード台や卓球台なども社内に用意されており、気分転換の場も充実しています。このような環境が整っているは創業者自身が技術者出身であり、技術者の心情に理解があるからですね。」<br /><br />またそのための環境として一人当たりのオフィススペースも広くし、独立性を高めるために各スペースはパーテションで区切られています。さらには技術者への配慮として、ビリヤード台や卓球台なども社内に用意されており、気分転換の場も充実しています。このような環境が整っているは創業者自身が技術者出身であり、技術者の心情に理解があるからですね。」<br /><br />求める人物像について。「まずはやる気のある方、そして興味のある方に来てもらいたいですね。指示された以上のことをやるためには、個人の興味やモチベーションが必要ですから。求めるのは自発的にアイデアを出せる人材です。やる気があればそれを伸ばすだけの環境は当社には揃っています。」<br />同社の本社ビルは神戸から少し離れた場所の静かな郊外に高くそびえ立つ。そして、オフィス内は、受付からフロアまでしっかり手がかかっており、非常に清潔感のあるオフィスである。技術者にとって開発に集中できる環境が整っているのは間違いない。<br /><br />神戸から世界へ、今まさに飛躍を遂げようとしている企業、それがカノープスである。