日本初の応募課金モデルを採用した「三方良し」マッチング・プラットフォーム
「シリコンバレー in 東京」という表現がぴったりの会社が東京都千代田区にある。
「日本の働き方をもっと自由に、もっと豊かに」というビジョンのもと、フリーランスや中小企業向けにオンライン集客プラットフォームを展開する株式会社Zehitomoだ。
同社は、2015年8月に2人の外国人エンジニアによって設立された。共同設立者でCEOのジョーダン・フィッシャー氏とCOOのジェームズ・マッカーティー氏だ。
2人は海外では数千億円規模のビジネスが生まれ始めている「ローカルビジネス」に着目。この領域には日本にはまだ大きなプレイヤーがほとんどいないうえに、特に地方においては中小企業やフリーランスといったプロフェッショナルの仕事がほぼオンライン化されていないことから、「そこに道しるべを作ろう」とチャンスを見出したのだという。
主力事業であるマッチング・プラットフォーム「Zehitomo」は、サービスを受けたい人と、サービスを提供したいプロをつなぐサービス。カメラマンやヨガ講師、ピアノレッスン、キッチンリフォームやエアコンクリーニングなど500を超える職種のカテゴリで、全国から20万を超えるプロを集めている。
サービスを受けたいクライアントは仕事の条件を指定して登録し、プロは受けたい案件を見つけたら見積もりとメッセージを添えて提案するという仕組みだ。特徴は仲介手数料を一切とらないこと。プロが見積もりを送る際に応募課金するモデルをとっており、その額も1応募平均500円前後。そのため、クライアントは気軽に依頼を出すことができ、プロ側は最小限のコストで新規顧客を獲得できる。
「わかりやすくいうと、私たちがやっているのは『タウンワーク5.0』で、地域に根ざしたマッチングサービスなんです。このビジネスを通じて一番変革したいのは技術を提供するプロの側で、彼らがもっと好きな仕事で稼げるようにしたいんです」と話すのは、日本に住み始めて12年以上が経つCEOのジョーダン・フィッシャー氏。
「日本は中小企業が99.7%を占めており、素晴らしい専門業者やプロフェッショナルがたくさんいます。にもかかわらず、サービス力や専門性が高い人ではなく、営業力の高い人や間に入る仲介業者が儲かる仕組みになっています。私たちはそれは違うと思っていて、もっと専門性の高い人がきちんと儲かる公平かつ透明な市場を作りたいんです。それができれば、クライアントもやりたいことがプロの力によって実現できるし、プロも好きなことを仕事にして生きていける。まさに三方良しのビジネスになると思いました」(ジョーダン氏)
シリコンバレーと日本の良さを合わせたハイブリッド・テックカンパニー
同社の特徴は、シリコンバレーの良さと日本の良さをそれぞれ融合させたハイブリッドなカルチャーを作っていることだ。共同創立者の2人ともが、シリコンバレーと日本の両方を知っているのが何よりの強みといえる。
「スタートアップはスピードが勝負です。Zehitomoは意思決定がとにかく早く、プロセスは常に改善され、ロジカルな発想で決断していきます。全てのメンバーが実力主義のもとで働いており、できる人がきちんと評価され、仕事を任される環境があります」(ジョーダン氏)
全てのプロのためのプラットフォームであるためには、「市場の課題を深く理解し、素早く解決していくテックカンパニーでなければならない」と語るジョーダン氏。拡大フェーズからさらに成長速度を上げるためには採用の強化が欠かせないと考え、総額8億2000万円という資金調達を行ったばかりだ。
サービスをより良いものにすべく、今後はジェネラリストではなくスペシャリスト採用に力を入れていく同社。多くのポジションで人材を集めているが、「テックカンパニーとして優秀なエンジニアの増強は不可欠」と力を込める。
CTOのロバート・シューマン氏は、エンジニアがZehitomoで働くメリットについて次のように話す。
「自信を持って言えるのは、最先端のモダンな技術を学べる環境を用意しているということです。アジャイルな開発スタイルで、mongoDBやExpress.js、React.js、Node.jsといった最先端な技術を扱うため、世界中どこでも通用するような知識・スキルが間違いなく身につくはずです。わからないことがあっても、優秀なエンジニアたちに囲まれながら、最新のテクノロジーについて学べる環境・チャンスがありますよ」
社員の半数以上が外国籍のメンバー。オーナーシップを大切にする企業文化が根付く
経営者が外国人であるだけでなく、メンバーの半分以上が日本以外の出身者であるZehitomo。日本、アメリカ、イギリス、ベトナム、シンガポールなど、欧米からアジア圏まで多様な国籍のメンバーがいる、非常にダイバーシティな環境だ。
「日本文化を理解しながらも常にグローバルな視点を持って働いているメンバーばかりです。グローバルな雰囲気ですが、外国人のメンバーの多くは日本語が理解できるため、英語が話せなくても問題ありませんよ」(ジョーダン氏)
それぞれの出身業界もバラバラで、金融やIT、コンサル、メーカー、広告代理店といった経歴以外に、元起業家や元お笑い芸人など、実に多種多様。社員のボリュームゾーンは20代で、若い力がのびのび活躍中だ。
部下と上司の距離がいい意味で近いのも、Zehitomoの特徴。役職などは一切関係なく、互いをファーストネームで呼び合う文化があるのは、一人の人間として尊重し合っている証しだろう。
「ウィークリーの1on1や、クオーターごとの1on1、あとは毎日チームごとに行うスタンドアップミーティングなど、情報を共有したり、意見を発表し合える機会がたくさんあるので、それぞれがオーナーシップを持って働ける環境です。また、評価制度もしっかりしていて、上からのサポートが整っていることから、周囲に気軽に相談でき、働きやすいと思います」(ロバート氏)
オーナーシップを大切にするところは、ストックオプションの付与割合にも表れていて、「他社と比べて圧倒的に高い自信があります」とロバート氏。また、有給が無制限に付与されるのも、「個人が責任を持ってパフォーマンスを発揮できればそれでOK」という文化が浸透しているからに他ならない。
また「仕事の生産性を上げてプライベートも大事にしよう」というマインドがあるため、残業も少なく、19時ごろにはほとんどのメンバーが退社。ワークライフバランスも実現しやすい環境だ。
そんな同社が一丸で追っている目標が「今後3年で売上高100倍」だ。
「そのためにも、社員数を現在の30名程度から300名くらいにまでに増やすつもりです。ということは、今入社していただく方はスタートアップの立ち上げメンバーとなり、会社がスケールアップしていくところを一緒に見ることができる仲間になれます。当然、キャリアステップも見込めるでしょう。いろんな経験を積んでステップアップしていきたい人には、本当にたくさんのことができる会社だと思いますよ」(ロバート氏)