「製造現場の事故やケガをシステムの力で減らしたい」という想いで起業
「ユニークコーポレーション」「ユニークコンテンツ」を企業理念に、製造業向けシステム開発をはじめ、品質管理コンサルティング、プログラミング教育などの事業を展開している株式会社ユニコ。
代表取締役社長の藤原純友氏は1976年生まれ。バンド活動を経て26歳の時に製造業向けシステム開発会社に入社。様々なシステムの開発に携わった後、品質管理システムの開発・導入に従事。独立後は上場企業から中小企業まで幅広いIoTプロジェクトで実績を重ねてきたキャリアの持ち主だ。起業の想いを藤原氏は次のように語る。
「製造業の現場では、各企業の皆さんが事故ゼロを目指して様々な取り組みをされています。しかしどんなに気を付けても、設備や機械が原因で事故が起きてしまうことがあります。朝、いつものように元気に仕事に向かった家族が、ケガをして帰って来たとしたら…。そう考えるとやりきれなくなります。システムの力で少しでも事故やケガを減らしたいと思い、起業しました」。
そんな想いがカタチになったのは2016年のことだ。初の自社パッケージとして、画像解析技術を用いた「ボビン残量監視システム」を開発した。これは線材工場で、ボビンと呼ばれる筒状の道具に巻かれた線材を巻き取りながら錫メッキを施す工程で使われるシステム。
「従来はボビンが一定の回転数に達したら機械が止まるよう設定されていました。しかし設定値になっても、まだ線材が残っている場合があるんです。すると機械を再始動させて、巻き取りが終わるまで人がずっと見ている必要がありました。これは無駄な時間です。そこで画像解析技術によって線の残量を検出し、ボビンの減速や停止をコントロールする装置に通知することで、設備と自動連携できるようにしたのがこのシステムです。現在、和歌山と宇都宮の2つの工場に導入されています。これまで人がやっていた作業がなくなり、ケガや事故防止につながっている上に、製品の品質も上がったとお客様に喜んでいただいています」。(藤原氏)
そして、2017年頃から藤原氏は同社の経営に本腰を入れ始める。徐々に事業を拡大し、現在は「製造業向けシステム開発」と「大手企業の基幹システム改造」の二つを主力に、IoTを用いたQCシステム構築コンサルティングなどの「品質コンサルティング」、飲食店向け販促システム開発などの「各業種向けシステム提案」、新入社員向けプログラミング研修などの「プログラミング教育」といった事業を展開している。事業拡大に伴って業績も伸びており、ここ2年で売上は6倍以上と急成長中だ。
“かゆいところに手が届くエンジニア”へと成長できる環境がある
現在、ユニコは役員も含めて9名体制。そのうち6名がITエンジニアで、3名はクライアント先に常駐してシステム開発やコンサルティングに携わっており、その他3名は自社内で請負業務に取り組んでいる(2020年7月時点)。同社の強みについて藤原氏は次のように語る。
「お客様の言われた通りに作るのではなく、もう一歩踏み込んで提案するのが当社の特徴です。例えばボタンの配置でしたら、もし押し間違えやすい位置にボタンがあったら、使う人は間違える度に処理し直さなければならず、イライラしますよね。そのため、お客様から指示いただいても、それが使いづらかったり、間違えやすかったりしたら、変更した方がいいと提案します」。
クライアントに言われるがまま開発するのではなく、ユーザーの立場に立って考え、より使いやすいシステムを提案しているわけだ。
「指示通りに開発することは他社さんでもできます。しかしプラスアルファの何かを考えて提案して開発し、『そうそう、こんなシステムが欲しかったんだよ』とお客様に言っていただける、“かゆいところに手が届くエンジニア”へと成長できるのが当社の魅力です」。(藤原氏)
また、将来的に自社パッケージ開発に携わるチャンスがあるのも同社の魅力の一つだろう。今のところ、自社パッケージは藤原氏が一人で開発に取り組んでおり、2020年春には、画像解析によって人とフォークリフトの接触事故を防止する接近検知システム「ADS(Any Detection System)」を開発し、この夏に導入が決定している。
「新しく入ってくる方には、まずはコネクテッドカーに関する案件など、クライアント先に常駐して経験を積んでいただきます。入社してすぐ自社パッケージ開発に携わることはできませんが、ある程度スキルを磨いた後、希望があればぜひチャレンジしていただきたいと思っています」(藤原氏)
今後のビジョンとしては、まずは優秀な人材を採用し、会社の地盤を固めながら、売上拡大につながる自社パッケージ開発に挑戦していきたい考えだ。
「もう一つ考えているのが、新たな事業をつくることです。開発の第一線を退くエンジニアのセカンドライフを見据え、当社ではこれまでもエンジニアが講師となってプログラミング研修を行う教育事業を立ち上げるなど、事業領域を広げてきました。これからも社員一人ひとりがアイデアを出し合いながら、飲食・食品、エンタテインメント、農業など様々な領域で新たな事業展開の可能性を追求していきたいです」(藤原氏)
チャレンジして失敗し、リカバリーすることを推奨する企業カルチャー
ユニコの拠点となっている大阪営業所は、大阪市福島区吉野のオフィスビル内にある。最寄駅はJR大阪環状線の「野田駅」もしくは「西九条駅」。エンジニアの年齢は30代前半から50代前半までで、40歳前後の人が多い。同社の企業カルチャーについて藤原氏は次のように語る。
「どんどんチャレンジして失敗し、リカバリーすることを推奨するカルチャーがありますね。もちろん勝手に暴走するのは困りますが、『こういうことをやりたい』と言ってくれれば、どんどんやりなさいというスタンスです」。
全社員が顔を合わせる機会としては、毎年6月と12月に行っている目標設定会議のほか、年末に取引先の人たちも招待して開いている納会がある。
「その他、私と社員有志で年に1回ゴルフコンペをやっています。ただ、社長の私が『あれをやろう、これをやろう』と言うと、みんなが気を使ってしまうじゃないですか。それよりも例えば社員だけで旅行に行きたいといった希望があれば、どんどんやってくださいと言っています」。(藤原氏)
社会保険完備、退職金制度など、福利厚生を整備している。勤務時間は9時30分から18時30分としているが、現在就業規則を見直している最中。これまでも状況に応じて行ってきたリモートワークも含め、今後社員一人ひとりに合った働き方を確立していきたい考えだ。
「私たちの仕事はモノ作りなので、朝9時に来て夕方6時まで働けば出来上がるものではありません。勤務時間内にいかに効率良く仕事をして結果を出すかが大切です。例えば朝型の人は朝8時に来て夕方5時に帰るとか、夜型の人は10時に出社して夜7時まで仕事するというように、一人ひとりが最も力を発揮できる働き方を実現したいですね。そのための一つの試みとして、実験的に有給休暇を1時間単位で取れるようにしています」。(藤原氏)
そんな同社が求めるのは、素直で新しいことにもどんどんチャレンジしていく人材だ。
「例えば新しい言語の案件が来た時に、『私はやったことがないからできません』と尻込みするのではなく、それを自分が成長するチャンスと捉え、挑戦する方に来ていただきたいですね。当社でプログラミングスキルとお客様と折衝する力の両方を身に付けて、お客様が本当に欲しいものを提供できるエンジニアへと成長して欲しいと考えています」。(藤原氏)
システム開発に加え、教育、エンタテインメント、飲食・食品など様々な事業にチャレンジする同社。エンジニアとして成長したい方はもちろん、ゆくゆくは自社パッケージ開発に携わるチャンスもあるので、自らの手でこれまで世の中になかったシステムを生み出してみたい方にもおすすめだ。