図研モデリンクス株式会社

東京・新橋に本社を置く図研モデリンクス株式会社（ZUKEN Modelinx Inc.）は、MBD（Model Based Development）/MBSE（Model Based Systems Engineering）における、コンサルティングおよびエンジニアリングサービスを提供する会社だ。株式会社図研（東証一部上場）の100％出資により、2019年10月に設立された。

自動車などの製品開発では求められる機能要件が著しく増大し、それにともない、その設計・検証に要する工数も指数関数的に増加している。こうした状況を受け、後工程での手戻りを防ぎ効率的な開発を実現する手法として、MBD/MBSEに取り組む企業が増えている。特に開発の初期段階においては、設計・検証に有意な要素のみを抽出して現実の現象を簡略化/数式化した「モデル」にもとづく企画/設計/検証は、試作の完成度を高めるために有効とされる。

その一方で、その有効な手法を使うための最重要の要素である「モデル化」には、高度な専門知識と経験が必要だ。さらに、開発対象となる製品/技術に関する機構/エレクトロニクス/ソフトウェアなどを横断した、幅広い知見が求められる。こうした状況を踏まえ、図研はモデルベース開発分野での豊富な実績と経験を持つ優れた人材を集め、理論だけでなく、モデルベース開発を実践するための支援ができる実務的な専門家集団として、図研モデリンクスを設立した。

代表取締役社長/CEOを務める田中邦明氏は、サイバネットシステム株式会社（東証一部上場）で代表取締役を務めていた人物だ。CAE（Computer Aided Engineering）やMBDの黎明期を経験し、30年以上にわたってツールベンダー、エンジニアリングサービスビジネスに携わってきた。

図研モデリンクスが掲げるビジョンは、「明日のものづくりの実現」だ。高品質なメカ/エレキ/ソフトの総合的な技術コンサルティング・サービスを通じたイノベーションを支援し、製造業企業の成功に貢献する。特筆すべき事業の特徴は、利用製品（ツール）に制約/依存されず、中立的な立場から顧客企業に対して純粋な技術コンサルティング・サービスを提供できることだ。

図研モデリンクスは、MBD/MBSEに特化した非常にユニークな企業だ。提供するサービスの領域は、以下の4つに大別できる。

1つは「高度なMBD/MBSEの実現」で、要求分析を踏まえた上でのシステム全体のモデリングや、システム性能分析/最適化、技術文献調査からのモデリングおよび実装、システム挙動のメカニズム分析、制御性能/動特性の評価、統計や機械学習を用いたシステム同定/分析、モデリングなどをおこなう。

2つ目は「統合ソリューションの実現」で、要求/システム設計を統合した開発/検証環境の実現、設計空間の可視化、リアルタイムシミュレーション環境によるHILS（Hardware In the Loop Simulation）/VRS（Virtual. & Real Simulation）の統合/検証システムの構築、制御系設計の自動化、SILS（Software In the Loop Simulation）とHILSの統合、ツール連携によるシステム評価環境の構築などを推進する。

3つ目は「開発プロセス改革」で、開発技術、環境全体をプロセス化することで、成果の最大化を目指す。最後の4つ目は「人材育成」で、先進的なMBD/MBSEを理解するトップクラスの人材を育成する。

専門的かつ高い技術力を備えた図研モデリンクスの強みはいろいろあるが、次の4つに集約できるだろう。1つは長きにわたりMBDの推進/立ち上げに従事してきた経験で、MBDの実力/可能性と設計現場とのギャップについての深い理解により、顧客に対して最適かつ最大成果となる提案が可能な点だ。2つ目は自動車に精通した技術者が揃っていることで、開発現場により近い目線から課題や状況を把握できる。3つ目は営業の質で、技術サービスビジネスに深く携わってきた担当者がきめ細かいフォローと豊富な業界情報を背景に、新たなアイディア創出に貢献する。4つ目は新しい技術/アプリケーションへの高い興味で、新しい技術や課題に対して柔軟な対応力を有していることにある。

今後の展望としては、中立性を保ちつつ現実性のともなった課題解決に、今後も取り組んでいく。具体的には、MBSE-MBD連携ソリューションの構築とプラットフォームの開発に力を入れる。

2020年4月時点の従業員数は10名で、平均年齢は44歳。全員が中途入社だ。組織体制はプロジェクトベースのフラットな組織で、製造業の研究/開発経験者、ツールベンダーエンジニア、エンジニアリングサービス経験者など多彩な技術メンバーを擁している。

今回の採用では、製造業のエンジニアリングプロセスの改革を推進するエンジニアを想定している。主な業務内容は、MBSE/MBD技術コンサルティングやエンジニアリングサービス（解析モデル、検証環境構築)の提供で、システムズエンジニアの育成にもあたる。配属先の部署は、制御設計解析ツール/システムの分析/設計、実機検証など一連のMBSE/MBDモデリング、解析、検証環境構築の技術コンサルティングを担当する部署だ。

これまでに採用されて活躍している人のキャリア例としては、大手自動車メーカー/大手自動車サプライヤー/大手電機メーカーでの開発経験者、大手CAE/MBD企業、外資系MBD企業でのエンジニア経験者などがいる。求める人物像は、クレバーさを持ちながら、泥臭く仕事に取り組んでいける姿勢を備えた人材だ。

図研の新規事業として設立された図研モデリンクスは、戦略的ビジネス会社として、製造業のエンジニアリングプロセスの改革を推進しようしている。「軸となる技術」を既に持っており、それを進化させ続ける「プロフェッショナル集団」として、顧客にとって「かけがえのない価値」を提供し続ける「匠の集団」だ。「モデリングがイノベーションをリードし、ものづくりを進化させる」という理念の実現に向かって、立ち上げメンバーとして活躍できる。