夢を持つメンバーが、“構造体”として不思議な化学反応を起こす
フラー株式会社(Fuller, Inc.)は、モバイル行動データを軸に、クライアントワーク事業と分析支援事業の2つの事業を展開している。会社設立は2011年11月で、千葉県柏市「柏の葉キャンパス」駅からほど近い、国内最大級のコワーキングスペース「KOIL」に本社を置く。また、新潟本社など国内に複数の拠点を持つ。
分析支援事業では、アプリの市場分析サービス「App Ape(アップエイプ)」を運営。SaaS型によるサービスで、サブスクリプションモデルでの提供をおこなう。クライアントワーク事業では、顧客からの依頼をもとに、アプリやWebサービスなどのプロダクトを共創(開発)する事業を展開。いわゆる一般的な“受託事業”のイメージとはほど遠く、受け身の姿勢ではなく、“ともにつくる”共創の姿勢を重視している。
代表取締役社長の山﨑 将司氏は1988年生まれ、新潟県の出身。新潟県立新潟高校、千葉大学工学部デザイン学科卒業。
卒業後は、富士通にてBtoBプロジェクトのUIデザイナーを担当し、 国際的なプロダクトデザイン賞であるiF DESIGN AWARDを受賞。2015年3月にフラーに参画し、執行役員CDO(最高デザイン責任者 Chief Design Officer) 、執行役員COO(最高執行責任者 Chief Operating Officer)を経て、2020年9月代表取締役社長に就任。ユメは世界のデザインに対する価値基準の底上げをすること。
フラーは「世界一、ヒトを惹きつける会社を創る」ことをビジョンに掲げ、「データを生かして、ヒトの幸せを創る」ことを使命としている。目標は、車ならトヨタ、家電ならソニーの名が挙がるように、“ITならフラー”と言われる日本発・世界一の企業だ。また、日本を元気にしたいという想いから、モバイル業界の活性化や教育支援など、さまざまな取り組みもおこなっている。大きな資金調達にも成功しており、順調に企業規模を拡大している元気な会社だ。
テクノロジー、デザイン、データ・サイエンスでアプリを成功に導く
フラーが開発・運営している「App Ape」は、スマホアプリの実利用データを提供する、国内最大規模のアプリ分析サービスだ。テレビにおける視聴率情報のスマホ版のような位置付けで、どのアプリが、いつ・どのような属性のユーザーに・どのくらい使われているか、といったデータを確認できる。顧客はゲーム業界をはじめ、ゲーム業界以外のアプリパブリッシャーや国際的なエージェンシー、研究所などにも実績多数。導入企業は国内外5,000社以上に上り、的確なマーケットリサーチや競合調査を可能にすることで、アプリに関わる意思決定を手助けしている。
この分析支援事業の特徴は、開発をおこなうサービスの成功確率を高める点にある。保有しているビッグデータにより、「どのアプリの人気があるか」、「どのアプリのユーザーが伸びているか」を把握。また、ビジネスの企画・サービス設計といった上流工程からコンサル的に参画することで、開発・運用・効果測定まで一気通貫のサービスを提供する。
もう一つの柱であるクライアントワーク事業は、スマホアプリやWebサービスなどのプロダクトを顧客と共創する。プロダクトの企画・開発・運用から分析までワンストップの支援を特徴とし、スマホ世代に向けた新規事業計画の企画立案や、既存サービスのスマホシフト化などを企画したり、Webサービスやアプリを開発したりしている。運用面では、数値を基にデータドリブンな運用を実施。これまで、アウトドアブランド「Snow Peak」の公式アプリ、日本三大花火の一つ「長岡花火」の公式アプリ、「NHKキッズ」アプリなどの開発・デザインを手がけた。
フラーには、事業全般に共通している要素として“3つのコア領域”がある。1つは、創業当初から大事にしている「テクノロジー」。2つ目は、モノをヒトに届けるために重要な「デザイン」。3つ目は、データを科学し、ヒトの幸せを創る「データ・サイエンス」だ。これらの要素が混ざりあい、“フラーらしい”事業が次々と生み出されている。
「遊びのように仕事をし、仕事のように遊ぶ 」を体現するメンバー
2019年11月時点の従業員数は約75名で、平均年齢は30歳。ほとんどが中途採用者だ。組織体制は、分析事業本部、共創事業本部、マーケティング事業本部、コーポレイト本部の4つ。高専出身者が40%近くを占める点が特徴的だが、メンバーは国籍や前職、個性、夢などの多様性に富んでいる。前職の例では、家電メーカー、自動車メーカー、銀行、モデルなどの出身者がいる。
フラーでは、「会社を単なる仕事場にしたくない」、「遊びのように仕事をし、仕事のように遊ぶ」という想いから、オフィスや社内制度などにたくさんの“仕掛け”を散りばめている。フラーでの生活に関する社内制度・福利厚生・オフィス環境・社内行事などをまとめた総称を「フライフ(FULIFE)」(※)という言葉で企業文化にし、プロダクトのように育成している。
※フラー(FULLER)とライフ(LIFE)による造語
「遊びのように仕事をし、仕事のように遊ぶ」の例が、部活動支援だ。現在、卓球、野球、フットサル、バドミントン、ヨガ、カードゲーム、麻雀などの部活が活動しており、フラーは支援金を毎月支給している。また、本社の隣にある三井ガーデンホテルの温泉を好きなタイミングで使用可能。育児支援にも積極的で、産前産後休業、育児休暇、子の看護休暇などが取得しやすい。ちなみに「柏の葉キャンパス」駅近辺には、保育園付きのマンションや小児科診療所、病児・病後児保育施設が充実している。そのほか、リモートワークOK、引越費用補助(条件あり)、書籍購入補助、リモートワーク手当、語学費用補助などの制度がある。
フラーの採用では、性別、学歴、資格は問わない。志向性としては、チームワークが得意で、「夢がある人」にマッチするだろう。フラーでは、採用を単なる雇用主と労働者のマッチングだとは考えていない。フラーが進みたい道と、その人の歩みたい道が合致しているかどうか。一緒にいることで、双方にとって良い未来が描けるか。そうしたお互いの理解を重要視する。