保護者・保育園・自治体のデータを一元化する壮大なプロジェクトが進行中!
キッズコネクト株式会社は、2019年10月に立ち上がったばかりの会社だ。介護、子育てなどの各種ライフサービスやフランチャイズビジネスを展開するHITOWAホールディングスに属する会社でもある。
そのキッズコネクト株式会社で進行しているプロジェクトが、子育てプラットフォーム『キッズコネクト』だ。
『キッズコネクト』は壮大な構想を有する。子ども・保護者・保育園・自治体を繋いでデータを一元化し、保育園や自治体の業務の効率化にとどまらず、データを有効活用することで、広く子どもの発達や子育て支援に役立てていく一大プラットフォームだ。
「保育園の業務効率化アプリなどは世に多くありますが、このような自治体とのインフラになるシステムは未だありません」と話すのは代表取締役社長の高石尚和氏だ。保育園は自治体の管轄下にあり、現場と自治体では頻繁にやりとりが発生するが、これらをつなぐインフラがないという。
「この状況を改善しないと、子どもたちのデータやスタッフのデータなど、子育てに関わるデータが揃いません。すると業務効率化はもちろん、数字のエビデンスに基づく有効な子育て施策を打つこともできません」(高石氏)
本来なら一民間事業者の手には余る壮大な計画だが、同社では、グループ企業であるHITOWAキッズライフで得た保育園運営事業で得た知見をベースに、着々と開発を遂行。現在、いくつかの自治体と実証実験をし、4月からは自治体への導入もスタートする段階にまでこぎつけている。グループの資金力も一役買っているのは確かだが、なぜ、他社ができないこの構想を、同社は進めることができたのか。背景を説明する。
HITOWAキッズライフは、首都圏を中心に約100の保育園を運営している。保育園といえば施設不足と待機児童、およびその背景にある保育士不足と保育士の待遇の悪さも社会問題化している。約6年前からHITOWAキッズライフでは、この問題に正面から取り組んできた。その結果、現在、同社で働く保育士の平均給与は全国平均を約2割上回っている。家賃などのコストを抑えることで、保育士の給与水準を高く保ちながらも健全な経営を実現してきたのだ。
「これを可能にした最大のポイントは、複雑な補助金制度を読み解き、活用したことです」。高石氏は言う。自治体ごとに異なる様々な補助金。それを分析することで自治体の意図や子育て支援の方針を理解し、戦略を立てることが必要だった。
高石氏の手元には、東京23区を中心に、10万人以上の人口を抱える各自治体の補助金制度や配置基準を詳細に分析した分厚い資料がある。「6年前、私が保育事業に関わり始めたときから始め、自治体への電話問い合わせなど、地道な作業でブラッシュアップしてきた分析資料です」。一朝一夕には作れない詳細で膨大なデータが、キッズコネクトの構想につながり、ベースになっていった。