.NETをコア技術にCRMの開発・導入支援で実績。次世代に向けAIも
株式会社ネクステージは、開発、インフラ、クリエイティブの3本柱で事業を展開する会社だ。従業員は約120名。東京都中央区日本橋茅場町に本社を中心に、八丁堀事務所、京都事務所の3拠点で事業を行う。
2001年、総合システム開発会社として設立。2008年にはハードウェア販売を含むインフラ事業、また2012年には広告関連のクリエイティブ事業をスタートさせ3本柱を確立したが、事業の柱に位置づけるのははあくまでも本社の一部と京都事務所で行うシステム開発だ。
同社は.NETとPHPをコア技術として、銀行や証券会社、保険会社などをエンドユーザーとして培った幅広い業務知識を武器に、業務システム全般を手がけてきた。中でも創業当時から得意としているのがCRM領域の開発である。特にMicrosoft のCRMパッケージ『Dynamics 365』は大手SIerが着目する以前から手がけており、システム開発事業が計上する売上のうち50%を占めていた時期もある。
近年、CRM市場は活性化しており国産のパッケージ製品も多数リリースされているが、グローバル言語に対応したCRMパッケージは限られている。その限られた中でも『Dynamics365』はコストパフォーマンスやユーザビリティに優れている。例えば『Microsoft Office』『Microsoft Outlook』と組み合わせて操作することで、既存のビジネス文書の利用や操作性などの面で直感的に扱うことが可能だ。同社は長年培ってきた.NET Frameworkの知見をべースに、グローバル企業や大手銀行、コールセンターなどに対して数々の導入支援、開発支援の実績を築いてきた。取締役・金田靖弘氏は語る。
「私たちは長年にわたりMicrosoftの.NET Frameworkをコア技術として、『Dynamics365』に関わらず様々な開発に携わってきました。『Dynamics365』は.NET Frameworkを使ったパッケージですので、より深いところで開発しようとした場合、我々が蓄積してきた知見が強みとなります」(金田氏)
この他、物流システムやシフト管理システム、点検システム、スマートフォンアプリなど、広範囲に渡る開発プロジェクトに携わってきた同社。常にユーザーの使いやすさを追求し、新しいアイデアやコンセプトを取り入れたシステム開発を行ってきた
。現在(2019年7月)はさらにAI領域の開発にも取り組み始めている。ベンダーを通して機械部品の診断装置に組み込まれる画像解析エンジンの開発に参画。まだ概念実証(PoC)の段階だが、具体的なシステム化に向けた提案を行うなどプロジェクトは着々と進行中だ。将来的にはAI領域を新たな得意分野として確立したい考えだ。
安定した経営基盤のもと直案件増でエンジニアのレベルアップを図る
ネクステージ社は代表取締役社長・岡田守弘氏を筆頭に6名の技術者が参画して設立された会社だ。特定派遣からスタートして地道に実績を重ねつつ従業員数を増やし、設立から3年後の2004年には約30名の開発会社へと成長。この頃には受託案件の比率も高まっており、証券会社、大手銀行、大手電気機器メーカーを主要顧客として安定した事業運営を行っていた。
金田氏がプログラマーとして入社したのもこの頃だ。当時はまだ拠点は東京のみだったが、京都市出身の金田氏は京都市に在住したまま、京都の大手電気機器メーカーを担当し、検査装置開発の技術検証に携わった。会社が順調に成長する中、その電気機器メーカーとの取引も拡大したため、2008年2月に京都事務所を開設。以降、SE業務と並行して支店長として事務所の管理に従事してきた。支店長になると同時に執行役員に就任し、2015年から役員を務めている。
その間、会社はドラスティックな変化を遂げた。メイン顧客との取引が拡大し、安定した経営をしてはいたものの、その状態が未来永劫続くことはないと判断した岡田氏は、2008年2月、ゲートウェイやIP電話などVoIP市場に特化した製品開発を行い世界100カ国以上でトップレベルの市場シェアを握るAudioCode社の国内正規代理店となり、それを核としたインフラ構築、コールセンター構築といったインフラ事業を開始。さらに2012年には広告代理店をクライアントとしてデザイン制作を受託するクリエイティブ事業も開始している。
このような多角化を進めたことで、2008年末から2009年にかけて起きたリーマンショックのあおりを受けた際にも持ちこたえることができた。CRMの開発・導入支援が堅調に推移したこともあり、一時、落ち込んだ業績は順調に回復。会社全体の売上は、リーマンショック以前のピーク時の倍以上に達している。
そういった成長は会社の信用度も高めている。リーマンショック以降、システム開発事業はベンダー案件が中心となっていたが、近年はエンドユーザー直案件の商談が進めやすくなっている。そういった背景のもと今後は、従来から取引を続けるベンダーとの良好な関係を保ちつつ、エンドユーザーとの直案件比率を高めていく計画だ。そのために2019年春からはドアノックツールとしてRPA製品の取り扱いもスタートさせた。
直案件ではエンドユーザーの要求をヒアリングするところから関わる必要がある。ベンダー案件では、ベンダーが作成した仕様書に沿って開発を進めれば良かったが、直案件ではそういうわけにはいかない。直案件比率を高める狙いは、エンジニア一人一人のレベルアップを図り、上流工程から下流工程まで一気通貫で担える開発チームを作っていくことにある。
「開発体制の再構築にも着手しています。これまではフラットな組織構造でしたが、技術継承がしやすいようピラミッド構造を作る計画です。そのためには規模の拡大も必要です。チャレンジ精神旺盛な若い人材を積極的に採用し、長く務めていただける環境を作って行きたいと考えています」(金田氏)
明るく気分よく始業できます。
安定した経営基盤のもと冒険できる環境。U/Iターンには補助制度も
設立以来、顧客のビジネスに貢献すると同時に、外部パートナーとの関係性も大切にしてきた同社。自社の従業員に対しては、それぞれの自己実現を支援する方針を掲げ、実践しててきた。
「従業員には仮に会社が存続できなくなっても生きていける人材になって欲しいと考えています。だからこそ過去にやったことがないことにも積極的にチャレンジして欲しいと考えています。評価の面でも、失敗を責めることはありません」(金田氏)
システム開発事業部は、東京本社15名、京都事務所10名の25名体制(2019年7月現在)だ。現在、採用を強化しているのは金田氏がマネジメントする京都事務所のエンジニアである。平均年齢は30代前半と比較的若いチームである。女性のエンジニアも3名在籍しており、年齢、性別に関わらず活躍できる環境である。現在、進めているAIの概念実証に携わるのも、京都事務所に所属する若いエンジニアだ。
安定感のある経営基盤のもと、新しい領域にどんどんチャレンジしていけることが同社の最大の魅力である。今後、組織が拡大していけば、リーダーやマネージャーといったポジションもできてくる。技術を追求するにしても、マネジメントの道を歩むにしても、自由なキャリアステップを思い描ける可能性があることも魅力の1つだ。産休、育休の取得(育休は男性社員も取得実績あり)はもちろんのこと、リモート勤務など、従業員の事情に合わせて柔軟に対応してくれる点も見逃せない。
地元に済むエンジニアだけではなく、東京や地方に住むエンジニアでUターン、Iターンを希望する人材には引っ越しの補助制度も用意されている。自転車で通勤できる範囲に居住できる環境に魅力を感じる人も少なくはないはずだ。
「リーマンショック以降はしばらく冒険できない時期が続いていましたが、これからは冒険もしていきたいと考えています。しかしいくら会社がチャレンジしてみようと言っても、やってみようと思う人がいなければ成り立ちません。ある程度経験を積んできた方なら、長く続けられる環境だと自負しています。挑戦したい気持ちがあるのに、今いる職場でくすぶっているような人は、その殻を破り、一度話を聞きに来て下さい」(金田氏)
代表の岡田氏自身がエンジニア出身であることもあり、エンジニア目線での環境作りがされてきた。京都事務所をマネジメントする金田氏は、メンバーの意見を聞く姿勢は崩したくないと語る。エンジニアとして、社会人として、新たな飛躍を目指している人にとっては要注目の会社である。