ラストワンマイルのルート最適化クラウドサービス『Loogia(ルージア)』
名古屋大学発ベンチャーの株式会社オプティマインド。同社は、ラストワンマイルのルート最適化クラウドサービス『Loogia(ルージア)』を提供している。
従来、配送業やルートセールス等において、効率化のためにどのようなルートを取るかは、ベテランの経験やスキルに依存していた。ところが、近年になってEC化が進展すると共に、小口配送や時間指定の増加等で配送が複雑になっている。その上、労働人口の減少でドライバー不足という問題も顕在化している物流業界では、長時間労働や配送料金の値上げといった対応を余儀なくされているのだ。ドライバーは2020年には10万人が不足すると予測されており、このままでは将来、「即日配送」といった利便性が大きく損なわれてしまいかねない。従来のベテラン依存による属人的なルート設定では、追いつかなくなっているのだ。
これに対し『Loogia』は、所在地等の配送先情報や配送時間、配送車の数や積載量、優先度、搬入作業時間といった制約条件を入力すると、短時間で最適なルートを解析・表示するクラウドサービスである。これによって、ベテランに頼ることなく誰でも最適ルートを作成するできる。
また、ドライバーアプリにはGPSによる動態管理や作業進捗管理システムが搭載されており、ドライバーが配送完了ボタンを押すことで管理者画面に配送業務の状況が通知される。ドライバーの評価や教育にも活用できる側面もある。
そして、GPSを通じて集めたデータはAIが学習し、より最適化されたルート解析に繋げている。これによってより効率的な配送体制に繋げ、人手不足への対応や配送の複雑化による収益性の低下という課題解決に貢献している。SaaSとしての提供のほか、既存のシステムに多様なモジュールをAPI連携させるPaaS(Platform as a Service)としての提供も行っている。
BtoBサービスの『Loogia』が対象とするのは、“ラストワンマイル”のエンドユーザーに直結する宅配会社を始め、宅食、酒販、薬品卸、食品卸、自販機ベンダー、移動店舗販売といったモノの配送や、オンデマンドバスやライドシェア、訪問看護といったヒトの移動にかかわる広範な業界である。大きなところでは、郵便事業会社と提携し、まずは全国8局の荷物配送業務への導入を実現させている。配送にかかる作業時間が、従来はベテランと新人との間に1.5時間程の差があったところ、『Loogia』により、わずか13分差にまで圧縮させ、1便当たり10個の配送完了数の増加に繋げている。今後、さらにエリアを広げていくという、非常に大きなチャンスをつかんでいる。
コア技術は、世界最高レベルの「組合せ最適化」AIアルゴリズム
同社は2015年6月、代表取締役社長の松下健氏が創業した。松下氏は2019年5月現在、26歳で、名古屋大学大学院情報学研究博士後期課程に在籍中の「組合せ最適化」の研究者でもある。「組合せ最適化」とは、何か1つ与えられた条件を満たすような組合せや順番を選ぶ際、選べる組合せの中から一番良いものを探し出す問題のことである。
「大学でこの研究分野を知り、社会課題を解決させる分野として関心を持ちました」と述懐する。名古屋大学は、「組合せ最適化」の研究において世界最高レベルのアルゴリズムを開発した実績を挙げている研究機関だ。松下氏はそこで学ぶと共に、様々な業界を訪問し社会課題における研究成果の実装の可能性を探った。その中で、配送業界の旧態依然とした配送ルート策定の現状を知る。そこで、“現場と学術研究の橋渡し”をしたいと、世界最高成績の最適化エンジンを開発した研究室仲間の髙田陽介氏をCTOとして誘い、名古屋大学発ベンチャーとして合同会社オプティマインドを設立する(その後、株式会社に改組)。
2018年2月には、「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」に応募し最優秀賞を受賞、郵便事業会社との業務提携に繋げた。同年9月には、「Industry Co-Creation ™ (ICC) サミット KYOTO2018」スタートアップ・カタパルトで優勝。同年11月には、「ニュービジネスフェア2018」で名古屋商工会議所会頭賞を受賞する等、大きな注目を集めている。
同社のビジョンは、「新しい世界を、技術で創る」。ミッションとして「世界のラストワンマイルを最適化する」を掲げている。
「“Intel inside”のように、あらゆるラストワンマイルに当社のソリューションが入っているといった状況を実現させ、グローバルのあらゆる領域において、常に最適化された移動を可能とする世界を目指していきたいと考えています」(松下氏)
“移動”の世界は、自動運転やMaaSといった最先端のテクノロジーが、今まさに花開こうとしている領域である。技術に重きを置いたテック・スタートアップとして、当該領域への関わりも視野に入れている同社の今後が大いに楽しみだ。
バリューは「謙虚かつ堅実に」「興奮を楽しむ」「自由と責任」
2019年7月現在、同社の社員数は18名。大きく、エンジニアチームとビジネスチームに分かれる。エンジニアチームは、さらにフロントエンド、マップデータ、最適化、データサイエンス等の担当に、ビジネスチームはセールスとマーケティングに分かれるという組織体制だ。
「年度計画に基づいて担当別にKPIを設定し、各自が主体的にやるべきことを判断して行動しています。多少の失敗は問題にせず、スピーディーにどんどんチャレンジしていくカルチャーがありますね」と採用担当マネージャーの木全祐子氏は説明する。
そんな同社は、「謙虚かつ堅実に」「興奮を楽しむ」「自由と責任」というバリューを制定し、風土づくりの基軸としている。あらゆるステークホルダーに謙虚に接し、楽をしようとせず一つひとつ堅実に取り組む姿勢。ベンチャーとしての山や谷もポジティブな興奮材料と捉え、その経験の中で自己成長を楽しむこと。そして、やりたいことをやれる環境の中、自らやりたいと始めたことは責任もって全うするといった意味だ。
「目下、急激にメンバーが増えている状況にあり、毎週のミーティングで松下をはじめとした経営メンバーが繰り返しバリューを確認して浸透を図っています」(木全氏)
メンバーの成長のために、日報に「どんなことにチャレンジしたか」「どんな意思決定をしたか」「それらから何を得たか」といったことを書き、全員で共有する取り組みも。「『この人はこういう行動をして、このように成長しているのか』ということをお互いに学び合うことで組織全体として成長していきたい」と木全氏は言う。
社内のコミュニケーション促進としては、新人歓迎会のほか、全員にニックネームをつけて呼び合うという工夫もしている。
「中途採用が主体で年齢層がバラバラなこともあり、ニックネームで呼び合うことで年齢は関係ない、よりフラットな風土にしようとの狙いがあります」と広報/マーケティング担当の小森咲季氏。
そんな成長著しい同社が求める人材も、成長に貪欲な人であること。
「誰から言われなくても自らの専門性やスキルアップに熱心な、プロ意識が高い方。そして、グローバルに名を馳せるレベルの技術やスキルを身に着けたいという気概のある方に、是非来ていただきたいと願っています」と木全氏は呼びかける。
世界最高レベルの技術力を擁する同社の募集は、見逃せないだろう。
株式会社 オプティマインドの社員の声

20代後半
2017年10月入社

30代前半
2019年01月入社

30代前半
2019年04月入社
顧客も喜ん...続きを読む