MVNOコンサルティング事業と「WiFiレンタル」で順調に成長を続ける
2009年4月に創立された、株式会社モバイル・プランニング。現在は、東証1部上場の株式会社ベネフィットジャパンの100%子会社として“格安SIM”などで知られるMVNO(Mobile Virtual Network Operator)サービスのコンサルティング事業と、WiFiレンタル事業を主に手がけている。まずは同社設立からの経緯を、同社代表取締役の古賀 広幸氏に伺った。
「当社は、MVNOのコンサルティング事業からスタートしています。docomo、au、ソフトバンクといった通信キャリアから回線を卸して、クライアントの通信サービスをサポートし、エンドユーザーのサポートまでを担うスタイルでした。その後、WiFiレンタルのニーズに応えるため、2015年10月にWEBサイト『NETAGE』でWiFiレンタル事業に参入しました」(古賀氏)
同社は、WiFiレンタル事業をWEBで多様に推進しつつ、地方展開もスタートしている。
「楽天ショッピングやYahoo!ショッピングなどのショッピングモールにもWiFiレンタルショップを出店しています。また、九州地区では東京から翌日に機器が届かないという状況に対応して、申込翌日に使えるようにするために、福岡に『九州WiFiレンタル』という拠点も作りました。インバウンド需要の影響もあり、いずれもかなり好調に推移しています」(古賀氏)
同社では、提携店を含め、実店舗でのレンタルも展開しており、「利用しやすい」と好評価を得ている。目下、売り上げの6~7割をWiFiレンタルが占めているという。
「明らかに市場は伸びています。インバウンド需要の大きさもありますが、法人のクライアントも増加している状況です。イベント会社、旅行会社、バス会社のような法人がレンタルして、それをインバウンドや国内のユーザーが利用している図式になっています。現在は、契約数のうち、法人の比率が半数を超える勢いですね」(古賀氏)
古賀氏によると、WiFiレンタルは、旅行シーズンを中心として、今後さらに需要が増えるそうだ。利用状況についてさらに詳しく聞いてみよう。
「一番利用数が伸びるのが夏休みです。お盆シーズン、お正月、ゴールデンウィークが大きなピークです。この時期は貸す機器がなくなるほどです。今後は2020年の東京オリンピックを見据え、さらなる需要の拡大が見込まれます。当社のWiFiレンタルが民泊でも実績があることなどから、インバウンドに関わる企業を中心にWiFiレンタルが利用されるのは間違いないと見ています」(古賀氏)
2009年に同社を設立してから現在に至るまで、同社の成長を牽引してきた。
WEBマーケティングを強化して、グローバル化も視野に
WiFiレンタル事業を中心に順調に成長を続けている株式会社モバイル・プランニング。WiFiレンタルはビジネスの性質上、運営について考慮すべき点もあるという。
「問題はレンタル需要が一番多いときと、少ないときの差をどう埋めるかです。1月は利用を終えた機器がたくさん戻ってきます。ピークに合わせてばかりいると、在庫が寝てしまいます。在庫になっていても当社の通信費用はかかっていますので、需要と在庫のバランスをどう取っていくかが課題になりますね」(古賀氏)
これは、競合する他社も同様にクリアしなければならない、業界共通の課題となっている。
「商品は通信キャリアから提供を受けていますので、競合も基本は同じです。元が一緒なので、どう安く仕入れるか、さらに需要が多い時に使えて少ないときはコストがかからない商品を仕入れた方が勝つ構造になっています。当社の強みはこの商品仕入れ力にあるのです」(古賀氏)
もともとMVNO事業を通じて通信業界に太いパイプを持ち、企画力のある同社ならではの強みともいえるだろう。加えて、さらなる同社の強みも伺った。
「当社のもうひとつの強みがWEBです。売り上げの99%がWEB経由ですし、事業展開も現在はほとんどがWEBですね。SEO対策にも力を入れており、Googleで『WiFi レンタル』などの関連キーワードで検索をすると、当社が上位になっています。楽天やYahoo!といった他のショッピングモールでも上位に表示できるようにしていきます」(古賀氏)
同社では、今もある“WEBの強み”を、さらに強化していくという。
「今後はWEBマーケティングをより強化したいと考えています。WEB、広告の戦略を練って、社外も含めた制作等を緻密にコントロールするイメージです。どこにどう広告を打てば勝てるかを考えながら、ノウハウを蓄積していきたいですね」(古賀氏)
今後、同社が目指す方向性についても聞いた。
「現在、当社は海外向けサービスは手がけていませんが、国内でも海外でも使えるWiFiのレンタルサービスが伸びるとみているので、海外市場への参入を構想しています。そして、翻訳機など、通信に関連しつつ需要に合った商品のレンタルも展開していこうと考えています(古賀氏)
より大きな市場を目指し、同社は前進を続けていく。
誰もが使える、便利な通信環境を整えて、世の中をハッピーにしていきたい
株式会社モバイル・プランニングは、今後、グローバル展開と同時に、日本全体で利用しやすい通信環境を整えることにも取り組んでいく。
「MVNO事業では、データだけではなく、音声に対応するサービスもスタートさせています。キャリアのサービスにはコストなどの理由で手が届かない層向けにプリペイド携帯等を展開して、世の中の役に立ちたいと考えています。そのためにも、検索したら見つかる、WEBが強い会社にしていきたいですね」(古賀氏)
事業展開のカギを握っているのがWEBマーケティングだ。同社ではメンバーを増員して体制を強化していく構え。では、彼らはどのような人材を求めているのだろうか?
「小さな企業なので、経営まで関わりたいという思いを持っている方が向いているかもしれません。自分で商品設計をして、戦略も決めるなど、全部を見たい方といったイメージです」(古賀氏)
背景には、社員数が少なく守備範囲が広いことに加えて、主力となるWiFiレンタル事業の商品を通信キャリアから仕入れるため、競合とプラン等の構成が似てしまうという事情が関わっている。
「経験値はあまり問わず、感性や意欲を重視するつもりです。外部とのやりとりがあるので、対等に渡り合えるだけの基礎知識は当然必要ですが、それ以上は望んでいません。当社の場合、商品プランを開発する必要があります。他の業界に比べると、WiFiレンタルは性質上、商品の差別化が難しい業界といわれてきましたが、通信に関わる行政の動き、指導等の影響で、工夫の余地が生まれてきています。当社は先駆けてそこに取り組んでいこうとしているのです」(古賀氏)
社内は、明るく開放的な雰囲気。前述したようにWiFiレンタルには繁忙期があるが、基本的に残業はしない文化が根付いており、さまざまな工夫を凝らして業務を推進している。同社の社風などについても、古賀氏に伺った。
「自由な社風です。アメーバ型のプロジェクト単位で仕事をする体制ですので、自分のやりたいことをやっていただきたいですね。基本は世の中をハッピーにすること。そうしたら、自分もハッピーになれます。それを当社で実現してもらいたいと思っています」(古賀氏)
今後も成長が期待される通信業界で、経営的な視点をもって活躍してみたい!と考えている人にとっては、同社は大変魅力的なフィールドと言えるだろう。