ミーカンパニー株式会社

ミーカンパニー株式会社は、医療機関・調剤薬局・介護事業所に関するオープンデータを独自加工しデータベース化した『SCUEL（スクエル）』を軸に、事業を展開するベンチャー企業だ。データベースライセンス事業の他、SCUELを活用した法人向けソリューションの企画開発、一般消費者向けに病院検索やSCUEL活用による医療機関・薬局とのマッチングサービスにも取り組んでいる。

国の主導によって医療・介護提供体制に大きな変革が起こる中、同社の提供サービスは今後一層重要性を増していく。医薬介護×データ×ITという領域で、自らの経験とスキルを存分に発揮したいという人材を求めている。

創業者であり代表取締役である前田 健太郎氏は、情報システムを専攻していた大学を中退して渡米し、ロサンゼルスで映画・映像プロダクションに所属。リードアニメーターとして勤務していたという経歴の持ち主だ。ロサンゼルスで1年半を過ごした後に帰国。ネットベンチャー企業でのUI/UXデザイナーを経て、セールスプロモーションやマーケティング支援を行う企業に転職した。

そこではデザインのみならずデジタルマーケティング業務にも多く携わり、後に取締役に就任する。しかし、自らの経営力不足を感じたことから、グロービス経営大学院へ入学し3年間に渡り懸命に経営を学ぶ。卒業後、ある経営者と出会い衝撃を受けたことにより、起業の思いが芽生えたという。

起業を決意した前田氏は今までの経験や得意分野ではなく、自身の「根源的な価値観」に基づくものを事業のテーマにしようと考えた。家族をはじめ、友人、出会った人々から影響を受けてきたと感じた前田氏は、「人と人の出会い」をデザインすることを事業ドメインにすると決意。中でも、ミスマッチが課題になっていた「難病患者と医師とのマッチング」を事業の中核とした。

起業後は他社から購入した医療機関データを使用して、病院検索アプリを開発した。しかし、間違ったデータが多く利用者を伸ばすことができなかった。この失敗から前田氏は、マッチングの基本はデータであり、データベースの質が重要なことを学んだという。

自分で一からデータを収集し精度の高いデータベースへと昇華させていくのは、気が遠くなるような地道な作業で、すぐに収益が確保できるものでもない。しかし、「誰かがやらなければならない」という、使命感ともいえる熱意で数年という長い時間をかけて懸命に取り組んだという。

こうして出来上がったのが、最新の情報が正確に更新される仕組みをもつデータベース『SCUEL』なのだ。

※「SCUEL」はミーカンパニー株式会社の登録商標です。

SCUELは、全国の病院・診療所・歯科医院・調剤薬局・介護施設を網羅したデータベース。全ての施設に共通する情報項目は、新規開業や組織変更、閉院、移転、医療機関番号、住所などで、医科・歯科に特化しているのは、病床種別や術式、治療件数、ICUの数など。調剤薬局では、在宅、無菌調剤、薬剤師数など。介護事業所では、介護報酬の加算状況や介護サービスの種類など、それぞれに専門性の高いデータが集積している。

情報は毎月正確に把握しており、高い鮮度を誇る。また、100種類以上に細分化されたデータ項目があり、他社と比較して圧倒的なデータベース量だ。この高品質なデータを低価格で使いやすい形で提供するのが、SCUELのライセンス事業である。SCUELを利用する企業は、製薬メーカーや医療機器メーカー、医薬品卸・医療機器卸、健保組合などで、多業種に渡って役立てられているのが特徴だ。

SCUELデータベースは、厚生労働省・都道府県自治体など公的機関からのオープンデータを中心に構成されている。その上で不足する情報については医療機関ホームページなどの情報を活用してデータを補完したり、データ利用先の企業や該当医療機関からの修正依頼を通じて、日々データのメンテナンスを行っている。それは手作業ではなく、膨大なデータの収集・管理を高度に自動化・効率化するためのITツールを駆使したもの。同社のエンジニアは、肝となるそれらのツール開発やシステム開発が重要な業務のひとつになっている。

同社は、今後もSCUELの品質向上を追及し続けるとともに、SCUELを活用しての法人向けソリューション製品の開発や、一般消費者向けのサービス開発などにも領域を広げていく。SCUELが目指しているのは、医薬介護サービスと患者のミスマッチを解消すること。そのためには、データを写真のように誰もが簡単・安価に扱えるようなものにしていくことが必要だと考えている。

同社のエンジニアは、多くのデータが揃っているという同社ならではの強みを活かして、新たなプロダクトやサービス開発に取り組むことも可能だ。今まで培ってきた技術や知識を活かして、オープンデータビジネスという新たな領域に挑戦できることは魅力だろう。

SCUELデータベースを通じての社会貢献をミッションとする経営者と、その理念を高いスキルで支えるスペシャリストで構成されているミーカンパニー株式会社。前田氏は社員それぞれの生活を第一優先にして、働きやすい会社づくりを心がけている。

具体的には、健康上の理由や育児、介護をしながらでも働きやすいよう、オフィスに出社しなくても働けるリモートワークを積極的に取り入れていることが挙げられる。Web会議システムを使い、リモート社員も含めた全員が参加する朝会や、必要に応じて開催される各種会議があり、社員間の交流と意思疎通を図っているのだ。

もちろん、リモートが多いゆえのコミュニケーション上の行き違いなど、課題は「正直あります」と前田氏。しかし、「知らない」「聞いていない」などの齟齬が生じた場合、それは体制の問題であり、問題が起こらないよう仕組みを変えていこうという風土がある。丁寧な言葉使いと、相手を責めない姿勢を皆が意識して徹底しているのだ。オフィス内の和やかな雰囲気は、そういった意識と行動の現れだろう。休暇が取りやすく、残業も少なめ。

エンジニアは、SIer出身者が比較的多いが、Web系やその他の業界出身でもそれぞれの特性やスキルを活かせる場がある。個性やキャリアはバラバラだが、共通しているのは「真面目さ」。正確性が重要なデータベースだけに、実直に業務と向き合うことが大切なのだ。

SCUELデータベースの構築が完了し、事業化した2014年頃から社員を増員。そのため、社歴2～3年というメンバーが主流で関係性はとてもフラットだ。新入社員でも違和感なくすぐに溶け込めるでしょうと、前田氏は言う。

同社の展望や目指すところ、社員への思いなどを語っている前田氏のインタビューページもぜひ一読いただきたい。