クライアントはミッションクリティカルな金融機関が中心
システムインフラの構築および運用支援を手がけている、株式会社インフォリンク。設立以来、大手電機メーカ系ITベンダと安定的に取引を継続するとともに、技術力や対応力を磨いている企業である。
同社が得意としているインフラ構築においては、WindowsやVMware、Linuxのサーバー構築に強みを発揮。特にLinuxはカーネルパラメータのチューニングから、カーネルのリコンパイルまで対応可能なほど精通している。
「車の改造に例えれば、ボディカラーやホイールを変えたり、エンジンオイルに添加剤を入れるといったどの同業者でもやっているようなレベルではなく、エンジンを丸ごと変えるといったレベルです」と代表取締役の竹田好宏氏は説明する。
業務内容は、インフラ構築の計画→設計→構築・テスト→運用と、あらゆるフェーズに一貫して対応している。クライアントには、直取引している銀行など金融機関が多い。金融機関のシステムはミッションクリティカルな面があり、システム障害およびセキュリティに対する顧客の要求レベルはほかの業界に比べて高い傾向がある。竹田氏は次のように言う。
「障害が起こりそうな箇所を予め特定し、生じた場合の即座なリカバリに繋げる対応策のバリエーションをいくつも用意しておくといった万全の準備が求められます。また、システムに新しいハードウェアを導入する場合、わざと障害を発生させてテストするといった対策を、コストや時間をかけてまで行う場合が多くあります。そういったノウハウやスキルが当社には蓄積されており、若手のメンバーにもしっかり教えています」
さらに、クライアントの急なニーズに対応する機動力にも自信を持っている。
セキュリティにおいては、ISMS認証を会社として取得し、メンバー任せにせず組織的・定期的にチェックを行って万全を期している。
“社員を大切にする”方針を掲げて会社設立
竹田氏は新卒でシステム構築・運用を手掛ける大手電機メーカに入社し、10年間、システム保守サービスに従事する。工場で部品交換後に稼働を確認するテストプログラムの開発などを手掛けた。その後、先に同僚がスピンアウトして設立したシステム開発会社に誘われてジョインする。
「ずっと一つの工場内で仕事をしてきたので、自分の実力がどれほどのものかを確かめたくなったことが大きな動機でした」と竹田氏は述懐する。
その会社では、部下を持ち責任ある立場で大きな仕事を任された。「マネジメントに興味を持ち、自分で会社経営もしたいと考えるようになった」という。会社と自らの方針に不一致を感じたことを機に、2007年に退職しインフォリンクを創業する。
その方針とは、“社員を大切にする”ということ。竹田氏は次のように言う。
「IT業界全体に言えたことですが、当時、残業が非常に多かったのです。もっと減らすべきとの問題意識を感じ、それを個人任せにせず会社としてしっかりと対応すべきと考えて当社を設立しました」
「お客様には、適切な業務量を超えるような場合は人数を増やしてもらうよう申し入れています。もちろん、お客様へお願いだけではなく、個々のスキルアップを会社として支援し、作業効率を高めることで全体の稼動を下げる努力もしています。」(竹田氏)
そのように顧客に言うべきことは言う一方、技術力や対応力を高めることは当然の義務として自助努力を続ける。こうした方針を、設立以来愚直に実行しているのだ。
今後の方針としては、「インフラをもっと究めたい」と竹田氏。改善を重ねた手法は属人化させず、全体に還元し会社としてのレベルアップを続ける。そこが同社としての生命線との認識がある。
「さらに、AIやロボティクスなどの新しい技術を取り入れ、自動化できる部分はどんどん自動化して品質の維持および省力化を図っていきたいと考えています」(竹田氏)
月1回、「代表者会議」や「技術研修会」でノウハウや最新技術を学ぶ
2020年4月現在、社員数は20名。平均年齢は31歳だ。目下、5現場に分かれて業務を遂行している。
「よほどのベテランでない限り、1人で現場には出しません。基本的にベテランと若手によるチームを組んで現場に出し、若手へのOJTの場ともしています」(竹田氏)
月1回、各現場のリーダーを集めた「代表者会議」を開いて各現場の状況を報告し合い、現場での困り事とその対処策などが共有されている。その後、懇親会に移行し、希望者全員が集まってコミュニケーションを深めている。
また、同じく月1回、「技術研修会」も開催。講師を立て、丸1日使って現場でよく使う技術や最新技術についてのノウハウを学んでいる。ちなみに、システムの新規/リプレイス構築時はメーカ系大手ベンダとのメンバーと一緒に行動することが多く、メーカ製の運用基盤製品の最新バージョンについてレクチャーを受けたり、最新技術を学ぶ機会も多いというメリットもある。
「会議や研修で比較的頻繁にメンバーを集めているのは、ほぼ全員が現場に散っているので、帰属意識を高める狙いもあります」と竹田氏。
さらに、年2回「社員総会」を行い、期初においては年度方針の共有、期中においては半年間の状況の確認および残り半年間の方針などが共有される。また、個人目標の振り返りも行われる。
そんな同社が求める人材について、竹田氏は次のように話す。
「中途採用の方は、ある目的のためにどう行動すべきか、自らスタートを切れる人であることが大前提です。自分でスタートを切っることができれば、会社として徹底的にサポートします。そして、仕事をしていれば楽しい時もあれば辛い時もありますが、いついかなる時も一緒に頑張っていこうと思ってくれるような人ですね」
人と、人に帰属する技術を大切にし、高めていくことに愚直に取り組む同社。確実に成長して行ける企業風土がここにはある。