IP Geolocationデータベース「SURFPOINT™」を構築し、様々なサービスを展開
“IP Geolocation”――インターネットユーザーのIPアドレスを手掛かりに、ユーザーの位置情報やインターネット接続環境を割り出す技術を提供する、国内唯一の企業である株式会社Geolocation Technology。世界にも、同社以外に2社しかないというレアな存在だ。
同社は、IP Geolocation技術により、IPv4による全世界の43億アドレスを分析済。国内の全IPアドレスをカバーし、市区町村レベルまでを判定可能としている。さらに、企業のドメインの場合は業種や規模といった属性情報も紐づけ、これらを納めた「SURFPOINT™」というデータベースを構築し、様々なサービスを展開している。
主力は、マーケティング領域。インターネットユーザーの位置を判定することで、旅行や不動産、グルメなどの地域性が深いビジネスを展開するクライアントに、極めて有効なユーザーアクセス手段を提供している。アドテクにおいては、IPアドレスから位置情報や企業の属性情報、地域の気象情報、ユーザーの回線情報を解析し、独自のターゲティングによる広告配信を実現。
テリトリーコントロール領域としては、動画コンテンツの著作権や放映権を遵守する上で不可欠の配信エリア制御技術を提供している。
セキュリティ領域でも、警察や金融庁などの規制当局にサービスを提供。例えば、1つのIPアドレスにより、一定の時間内に複数の地域からアクセスがあった場合、不正アクセスの可能性が高いと判定するといった使われ方をされている。
近年では、疑わしい取引の届出を義務付けた「犯罪による収益の移転防止に関する法律」によってIPアドレスによる検出ニーズが高まっている。これを追い風に、金融機関やキャッシュレス決済を取り扱う企業へ採用を働きかけている。
同社が今後、力を入れて取り組みたいと考えている領域は“キャッシュレス決済”と“地方創生”の2つだ。代表取締役社長の山本敬介氏は次のように説明する。
「最近、キャッシュレス決済の不正アクセス事件が大きな問題となりました。前述の不正アクセス解析技術を活用すれば、キャッシュレス決済に対しても対応可能と考えており、関心のあるエンジニアを大いに求めています。一方の地方創生に関しては、元々地方自治体からエリアをセグメントした情報提供のニーズを受け当社を創業した経緯があり、さらに新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、地方への移住・定住や観光促進への需要が高まったことで多くの地方自治体から問い合わせをいただき、本格的に取り組みを始めております。」
自治体の広報手段としては、広報紙やCATVのほかは、ホームページ開設およびSNSへの投稿ぐらいしか手段がなかった。そこに、エリアのIPアドレスをターゲティングすることで、地域住民に必要な情報をしっかり通知できる。反対に、エリア以外のIPアドレスをターゲットすれば、エリアへの誘導を図ることも可能だという。「様々な領域への展開にチャレンジしていきます」と山本氏は意気込む。
東京証券取引所TOKYO PRO Marketへ上場!ネット黎明期からの20年
静岡県出身の山本氏は、高校時代、ゲームを通じてプログラミングに興味を持つ。IT系の専門学校への進学を考えていた1991年の頃、たまたま街で陸上自衛隊に勧誘され、「コンピュータも学べる」という言葉に引かれて入隊を決めた。
「小学生から高校までボーイスカウトを続けていました。高校2年の時は、ボーイスカウトの聖地であるニューメキシコに3週間滞在し、1日15~20km歩いて登山道整備などのボランティア活動をしたこともあります。ですから、入隊後の泥だらけになる演習も苦ではありませんでした」と山本氏は述懐する。
配属となった御殿場駐屯地では通信ネットワークの運用部門に配属となり、4年間、独自ネットワークの運用業務に従事。また、インターネット黎明期の当時、個人的に県内初のプロバイダーに加入しインターネットにのめり込む。
「すると、自衛隊のネットワークが古めかしいものに思えたのです。一方、新しいネットの世界で本格的に仕事をしたいと感じるようになり、1996年に加入したプロバイダーである静岡インターネットの人材募集を知って、飛び込むことにしました」(山本氏)
4年間、営業に携わった山本氏は、ある時に静岡県庁から「ネットにアクセスする県民の割合がわからないものか?」といった要請を受けた。また、地元の放送局から、「県を東部・中部・西部に分けて広告を出したい」というニーズが寄せられる。さらに、地域のインターネットセミナーの講師を務めた際に「天気予報はネットより新聞を見た方が早い」と言われたことにショックを受けた。地方の人には、東京中心に発信されているネットサービスは使いにくいものだったのだ。
「県庁や放送局のニーズも併せて突き詰めて考えると、最終的に“ネットユーザーの位置情報がわからない”ことが不満の要因であるとひらめいたのです」(山本氏)
プロバイダーがアクセスポイント(AP)を拡張設置する際、IPアドレスの範囲を決めて設計する。このことからIPアドレスでユーザーの位置を判定できると思いつき、その事業化を経営に提言。ところが、いい反応は得られなかった。ITベンチャーブームの当時、勉強会で接点のあったVCに事業プランを話し、支援を受けることに成功。2000年2月、サイバーエリアリサーチ(2017年に現社名に変更)を設立する。
そして、着々と「SURFPOINT™」構築を進め、大手航空会社などのクライアントを獲得していった。
2020年12月11日、東京証券取引所TOKYO PRO Marketへ上場。「今後もインターネット社会を活性化し、クライアントの課題解決につながるテクノロジーの提供ができるよう、社員一丸となって邁進してまいります。」(山本氏)
元は陸上自衛官という異色の経歴を持っている。好奇心旺盛で新しいもの好き。
地方にこだわる企業として”能力を持ち寄る”テレワークへ完全移行
同社の拠点としては静岡県三島市の本社と、今年立ち上げた大阪営業所と福岡営業所、那覇コンタクトセンターがある。それぞれの拠点で働くメンバーを求めると同時に、2020年7月に全社員をテレワークへと移行した。
「フリーランサーを活用していますが、その多くはテレワークであり、成功実績を積んでいます。応募者の希望に柔軟に対応したいと考えています」と山本氏は強調する。ちなみに三島本社は、新幹線も止まる駅から徒歩5分。東京駅からは50分という距離である。富士山の麓で、水清く魚がおいしいといった環境のよさは、大きな魅力だろう。
「本社として静岡から離れるつもりはありません。距離を超えるインターネットの世界で、Geolocation Technologyを打ち出している企業として、地方でこそ成功したいという信念があるからです。だからこそ、場所にとらわれない働き方も追求していきます」(山本氏)
そのほか、独自の福利厚生制度を導入。
“コミュニティ休暇”は、ボランティアや町内会、防災活動などのために年1回まで取得できるもの。地方創生もテーマとする同社にとって、社員が地域住民でもあることを重視する現れだ。
“マイディアチャイルド休暇”は、入学式や参観日、運動会などの学校行事のために子供1人につき年1回まで取得できる。所帯を持つ社員が増え、家庭生活も大切にしてほしいという思いがある。
男女比は3対2である。企業風土としては、新卒メンバーを前提に、その成長をみんなで支え見守るアットホームな社風があったが「それを一新したい」と山本氏は言う。
「テレワークとも関連しますが、個人が能力を持ち寄って1つの目標達成を目指す組織にしたいのです。アットホームさと両立できれば良いですが、基本的に実力主義にシフトしていきたいと考えています」
OracleやSalesforceなどの業務に直結するベンダー資格取得には報奨金を出して支援しているが、自主的・自発的に自己成長を図る人材を求めている。
「漠然と生きているのではなく、どんなことでもいいので、何か目的を持って生きている方と仕事したいと思っています。ぜひアクセスしてください!」と山本氏は呼びかける。
株式会社 Geolocation Technologyの社員の声

50代前半
2019年02月入社
会社として新しいことにチ...続きを読む

30代前半
2019年04月入社

40代後半
2016年10月入社