「自分達の技術・サービスをユーザー様に適正な価格で提供する」シンプルな企業
「本日はよろしくお願いいたします!」
今回取材に訪れたパンパシフィック株式会社を立ち上げた代表の座喜味 伸氏は、物腰柔らかに、深々と頭を下げながら我々を迎え入れてくれた。さらに座喜味氏だけでなく、その場にいた全社員が席から立ちあがり、同じく頭を下げながら、笑顔で挨拶をしてくれた。「この一瞬の出来事」にこそ、同社が持つ独自の社風や経営理念が端的に表れている。
2013年に設立された同社は、いわゆるWeb制作全般を主力事業として当初、代表含め数名で立ち上げたベンチャー企業。その後順調に事業が拡大し、これまでの9年で約2000件&700サイトの制作実績と、設立以来増収増益を維持し、好調な経営を展開している優良企業だ。
しかし、同社の設立は決して周到に準備されたものではなかったという。
座喜味氏は証券会社に2年ほど勤務して退職後、Web制作企業に営業のアルバイトとして勤務。結果的にわずか3カ月で辞めることになったものの、その短いアルバイト経験が同社設立の転機となった。
「実はこう見えて会社員時代には営業としてトップ成績を出して表彰していただいたりしていたんですよ。しかし大企業の中ですし、商品開発には携わることはできませんでした。その僕から見て、Web制作は商品(サービス)そのものをお客さまそれぞれに合わせて制作し、お届けすることができる。そんなもの喜ばれるに決まってるんだから、受注できないわけないでしょ。という自信がありました。当時からの付き合いで、今も仲間である制作の糸洲のサポートも受けながら、すぐに結果を出すことができました。なので“このまま起業しよう”と、自然な流れで決まりましたね」。(座喜味氏)
こうしてわずか3カ月のアルバイトの体験をベースに起業したため、当初、明確な経営理念や目指すべき目標は特に決めていなかったという。
「営業マンの時は、常に高い目標を掲げて営業していた自分を振り返った時、結果を出してはいましたが、ずっとここにいるというイメージはしてませんでした。起業した時、目の前の顧客や案件に対して“取り繕わない”“サボらない”という信念をもって、小さい会社だからこそ真っ向勝負で誠実に向き合うことを決めました。その上で一歩一歩堅実に経営して、私を含めた仲間が生きていくのに必要最小限な売上が出せればまずはそれでいい、という考えからスタートしました。今は少しずついろんなチャレンジもできるようになり、このチャレンジの大きさをどんどん大きくし、しっかり投資することが僕の一つの役目ですね。(笑)」(座喜味氏)