得意分野はアクションゲーム!家庭用ゲーム機での経験を活かし、スマホ業界へも参入
株式会社アルヴィオンはゲームソフト、スマートフォンアプリの企画・制作を中心に事業を展開している。1996年の創業当初は、グラフィックデザインとゲーム開発という2本の柱で事業を進めてきた。創業者であるCEOの平岡一郎氏はグラフィックデザイナーであり、ジェネラルマネージャーを務める夫人の乃一文香氏はゲーム会社で経験を積んできた人物。2人の強みを生かしたスタートだった。
「ファミコンやスーパーファミコンの時代を思い浮かべてくれればわかると思いますが、当時のゲーム業界は色数や解像度の限界値が低く、グラフィックに強くなかったんです。私はグラフィックデザイナーでゲーム業界の人間ではありません。だからこそ、それまでにはない視点でゲームを捉え、メニュー画面や演出にこだわりを持ったゲーム開発を強みにしました」(平岡一郎・CEO)
グラフィックのセンスを強みにゲーム開発会社として地歩を築いてきたアルヴィオン。現在は、アクションゲームを得意としている。アクションゲームは、モデルやモーション、エフェクト等を作るデザイナーや、プログラマーなどが一体となって開発しないと作り上げられない。ゲームの中でも開発が難しいとされている分野だ。
「RPGのようにボリューム重視の場合、純粋なアクションだけのゲームよりアクション部分の調整が甘くなりがちです。純粋なアクションゲームは、ボリュームに逃げ場がないですから、プレイした感覚が強く求められます。攻撃を加えれば、攻撃した実感を得られないとゲームとして成立しないんです。格闘ゲームやアクションゲームをしっかりと開発できるゲーム会社は意外と少ないんです」(平岡氏)
家庭用ゲーム機だけでなくスマートフォンでもゲームを楽しめるようになった昨今。ゲームメーカー各社は、スマートフォン用のゲーム開発に乗り出している。もちろんアルヴィオンにも開発依頼が舞い込んでいる。現在では、開発するゲームの約半数近くがスマートフォン用で、家庭用との比率が逆転する日は近いという。
「スマートフォン用のゲームも作っていますが、当社の強みはやはり家庭用ゲーム機での開発経験なので、今以上に家庭用の開発規模を減らすことはありません。ですが、スマートフォンのハード面でのスペックが高くなると、家庭用ゲーム機での経験がスマートフォン向けのゲーム開発でも活かせます。アクションゲームが得意な当社にとっては絶好のチャンスです」(平岡氏)
まだPCゲームや家庭用ゲーム機の方がスペックは高く、スマートフォンのゲームでできることは限られているという。しかし、スマートフォンの性能が今後も右肩上がりなのは間違いない。家庭用ゲーム機との差はどんどん縮まっていくだろう。スマートフォンの性能が上がれば上がるほど、アルヴィオンへの需要は増えるのだ。
元グラフィックデザイナーという強みを活かし、これまで会社を支えてきた。非常に温和で明るい。
プロモーションにも教育の場にもなる!オリジナルゲームの企画・制作
アルヴィオンのもう一つの強み、それは自社でエンジンを開発しオリジナルゲームを企画・制作している点だ。デビュー作として、ADV「サーカディア」「ポイニーポイン」「チェインダイブ」を開発(販売元SCE)。代表作の「MALICIOUS(マリシアス)」は、2010年にPlayStation3用のソフトとして発売された3Dアクションゲーム。同年にDS用の着せ替えゲーム「PUPE GIRLDS」も発売、翌年に「PUPE GIRLDS2」も発売しました。
2012年にPlayStation Vita用として「MALICIOUS REBIRTH
(マリシアスリバース)」を、2017年には「MALICIOUS FALLEN(マリシアスフォールン)」をPlayStation4用として発売した。
「受託開発だけに専念していれば、会社の規模はもっと大きくなったかもしれません。でも、それでは夢がありませんし、設立時からの理念にも反します。オリジナルタイトルで大ヒットを狙う、それもゲーム業界の醍醐味。夢があるから頑張れます。当社は受託開発で得た利益の一部を自社タイトルのゲーム開発に回しています。自分たちで作りたいゲームを作るには、オリジナルである必要があるからです」(平岡氏)
オリジナルゲームの開発は、受託開発のプロモーションにもなる。アルヴィオンに開発を依頼する発売元の会社は、オリジナルゲームを見れば、アルヴィオンがどんなゲームを作ることができるのか一目瞭然だ。
「オリジナルゲームには、アルヴィオンのすべてが詰まっています。オリジナルゲームを見てもらえば、アルヴィオンにどんな技術があり、どんな世界観を作ることができるのかわかります。自分たちのゲームを作っているという意識は、社員のモチベーションも高めてくれます」(平岡氏)
さらにオリジナルゲームの開発は、教育の場になると、平岡氏は続ける。
「人材育成にはオリジナルゲームの開発が役立ちます。まだ経験が浅いスタッフをいきなり大手のビッグタイトルの開発に入れるよりも、自社のオリジナルゲームの開発で伸び伸びと仕事を覚えてもらった方が、双方のためになります。一人でやるような仕事を2・3人で担当させて学びながら開発を進めてもらう。ベテランと新人を組ませれば、先輩の経験値を自分のモノにできます」(平岡氏)
もちろんオリジナルゲームなら、新しいことを試す場にもピッタリだし、社員の企画や意見も反映させやすい。中には、社員の発案で他社のコンテンツをアルヴィオンのオリジナルゲームとして開発・販売した実績もある。ゲーム化の企画を、コンテンツを持っている会社に売り込んだ。今後もオリジナルゲームの開発は続け、アクションRPGやマルチ対戦のゲームなどにも手を広げていきたいと平岡氏は語る。
「20年以上、ゲーム開発を続けてきましたが、今後もオリジナルゲームは作り続けたいと思っています。新しいハードにも積極的に飛びついていきたいですね。いち早く飛びつくと、やけどをするかもしれませんが、私も含めクリエイターという人種はみんな新しいものが大好きですし」(平岡氏)
異業種からの未経験者も歓迎!選考基準はスキルよりもゲームへの情熱
確実に少しずつ成長・拡大を続けてきたアルヴィオン。スマートフォン用アプリの開発を手掛けるグループ会社「ウルクスヘブン」と共に、さらなる成長フェーズに入った。受託案件の規模が拡大していく中で、会社の規模拡大に向けて、プログラマーやデザイナーの増員、また、プロデューサーやディレクターの養成など人材の確保が最重要課題となる。アルヴィオンで採用を担当している平木氏は、求める人材について次のように語る。
「採用に際して最も重視しているのは、ゲームが好きであるか。ゲーム会社で働く人間が全員ゲーム好きとは限りません。ゲーム業界には、プライベートではゲームをしないが、仕事としてゲームに向き合って、面白いゲームを作るプロフェッショナルはたくさんいます。むしろ、ゲームばかりしている人間に面白いものは作れないという意見さえありますが、わたしはまったく反対意見の持ち主。好きだからこそ頑張れることはあると思います。アルヴィオンの社員はみんなゲーム好きです。休み時間にもみんなでゲームに興じています。もちろん漠然と『ゲームが好き。ゲーム会社に入りたい』では困ります。ゲーム開発を仕事にしたい本気度を示してもらいたいと思います」(平木是会・開発部部長)
ゲームへの情熱を重視し、スキルや経験だけでは判断しないと平岡CEOも続ける。
「異業種からの転職も大歓迎ですよ。私はグラフィックデザイナーでしたし、前職ではシステム開発を手掛けていたスタッフもいます。いろんなバックボーンを持った社員が集まっているのは、アルヴィオンの強みでもあります。ゲーム開発が様々な業種を一つにまとめてしまうパワーを持っています。それなりの苦労というものもありますが、あまんじて受け入れています。2Dゲームの開発しか経験はないが、3Dゲームの開発にチャレンジしてみたいといった人も、ぜひ当社の門をたたいてください。チャレンジ精神さえ持っていれば、当社でスキルアップしながら経験を積んでいくことも可能です」(平岡氏)
入社してからどれだけスキルを磨けるかは自分次第。常に能力を磨かないと後から入ってきた若手に追いつかれます。例え後輩に抜かれても、諦めず自分の強みを見出し(アドバイスをもらったり)上を目指せる人を求めています。
アルヴィオンには、クリエイターがゲーム開発への情熱を傾けられる場所がある。経験やスキルにとらわれず、ゲーム開発への自らの思いをぶつければ、経験者でも未経験者でも、アルヴィオンの扉を開くことができるのだ。