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株式会社アイアール・アルト

  • IT/Web・通信・インターネット系

“コトバとコンピュータのつなぎ目”で研究者・開発者をサポートする仕事

企業について

AIの研究開発の一分野に、「自然言語処理」がある。これは、人間が日常的に使っている言葉(自然言語)をコンピュータに処理させるという技術で、たとえば、「機械翻訳」「音声認識」「音声合成」「文章生成」「文章要約」などがある。株式会社アイアール・アルトは、AIの研究開発をサポートしている会社で、特に、自然言語処理に強みを持つ会社である。クライアントは、NTTコミュニケーション科学基礎研究所、NTT人間情報研究所、NHK放送技術研究所、東京大学をはじめ、トップクラスの企業や大学、国の研究機関が揃う。

同社が主に業務領域としているのは、研究・開発に必要なデータを収集・作成し、整備すること。取り扱うデータの種類は、テキストデータや音声データが多いが、動画や画像を扱うこともある。

言語をコンピュータで扱う自然言語処理のシステムには、機械学習が多く使われており、機械学習を行うには、大量かつ正確な教師データが必要となる。言語の正解データを作成する作業には、プロジェクトマネージャー、言語学者、エンジニア、通訳・翻訳者、アノテータ等が、プロジェクトに応じてチームを編成し、当たっていく必要がある。

「私たちの仕事は、お客様の依頼に応じて、必要な人を集めてプロジェクトチームをつくり、データの収集や作成を行うことです」(渡部氏)

依頼主である研究者や開発者のニーズに応じて実験計画を作成・提案することや、実験で発生する大量のログの解析といった仕事も業務の一部である。

近年は、AIもだいぶ普及し、機械学習がコモディティ化していく等、言語データ作成の需要は増えていく一方であり、非常に前途有望な企業であるといえよう。

「我々と一緒にコトバのデータを作っていきたい人を求めています」と渡部氏は呼びかける。

同社の組織は、顧客に対応し、実験計画の提案や作業スタッフを集めてチームを組織し運営する「言語処理グループ」「実験管理グループ」という業務系のグループと、業務用のアプリケーションなどの開発・運用を手がける「情報システムグループ」に分かれる。

「情報システムグループ」に属するエンジニアは、基本的には、「言語処理グループ」「実験管理グループ」のメンバーから依頼を受けて業務を行う形になる。

「お客様は、常に新しい物を求めていらっしゃいますし、要望は毎回異なります。言われるがままにつくったり、既存のデータベースをただ使い回すのではなく、『もっとこうすれば効率的にできる』『こういう方法は使えないか?』などと、常により適切な方法を自ら提案し、メンバーと議論して進められる人に来てほしい」と渡部氏は期待を寄せる。

「情報システムグループ」は、まさに同社の業務を支える重要なポジション。
「自分がこの会社を支えているというぐらいの自負やベンチャー意識を持ち、そんな環境を楽しめるような人だと嬉しいですね」(渡部氏)

渡部氏は、2013年に社長に就任した2代目。同社のプロパーで、社員にとっては“仲間の中から誕生した社長”という存在だ。そのせいか、「非常にフラットな企業風土」と渡部氏は言う。

「私自身、“これが正解!”という考えを持っていません。チームリーダーもプレイングですし、手がける業務はメンバーと対等です。ですから、みんなに意見をどんどん言ってもらっていますし、いいアイデアもダメなアイデアも全部共有し、『どうすればいいかみんなで考えよう』という風土が定着していますね」

同社は、日本アイアール社の子会社として2000年に設立された。日本アイアール社は、1973年創業の辞書編集会社。辞書を出版する大手出版社の依頼を受け、用例の作成などの編集業務を手がけてきた。また、問題集の作成や教科書の校正など“堅い”仕事を得意としている。

「30年ほど前、ある研究所から『人間の辞書がつくれるなら』と、機械翻訳の辞書の作成を頼まれたことがきっかけで自然言語処理の業務を手がけるようになりました。当時まだパソコンは普及しておらず、ワープロがようやく出回っていた頃。そんな時代から少しずつ業務の範囲を広げていきました。そして15年前、急増していたコンピュータ系の案件を専門的に担う部署を分離独立させたのが当社のスタートです」(渡部氏)。

扱うデータはもっぱらテキストの形であったが、デバイスの発達とともに音声データも扱うようになり、最近では自動運転装置や失語症患者のコミュニケーション機器のための“目の動き”などの映像データや脳波データの取得・作成まで依頼を受けることもある。

「AIの研究が進展している中、 “非言語コミュニケーション”領域までカバーするようになりました。“自然言語処理”がコアではありますが、“コミュニケーション全般”が業務フィールドに広がりましたね」と渡部氏。社員には、言語学だけでなく心理学を専攻した社員もおり、より専門性を高めたいという意見も出されている。

「あくまでも黒子に徹してですが、お客様である研究者を単にサポートするだけでなく、よりよい研究手法や環境などを提案できるように進歩していきたいと思っています」と渡部氏は力を込める。

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インタビュー

株式会社アイアール・アルトのインタビュー写真
代表取締役 渡部恵理子氏

── まず、略歴からお教えください。

大学では日本文学を学び、大学院修士課程では少しコンピュータ言語にも関わる言語情報科学を専攻しました。その院生時代の2000年の頃、設立されたばかりの当社で何度かアルバイトをしたのです。修了後、教育関係に進みましたが、一時フリーランスになった時期がありました。その時、当社にアプローチして仕事を受託したりしたのですが、「フリーならうちに入らないか?」と誘われ、社員として入社することにしました。2006年のことです。当時、売上がガッと伸びてとても忙しかったですね。GPSを使った実験や音声認識のデータ作成などが目白押しでした。後で考えれば、スマートフォンに実装す... 続きを読む

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企業情報

会社名

株式会社アイアール・アルト

業界

IT/Web・通信・インターネット系 > その他IT/Web・通信・インターネット系

資本金

50,000,000円

設立年月

2000年07月

代表者氏名

代表取締役 渡部 恵理子

事業内容

AIに関するデータの作成・収集・整備・解析

株式公開(証券取引所)

非上場

主要取引先

NTTコミュニケーション科学基礎研究所 NTT人間情報研究所 NTTドコモ NHK放送技術研究所 情報通信研究機構 国立情報学研究所 東京大学

従業員数

20人

平均年齢

40.4歳

本社住所

東京都新宿区原町3丁目61 桂ビル

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