年間手配実績は約7,200台と日本最大級の全国貸切バス専門サイト「バスなび」
団体向け貸切バスの手配・予約を中心に、国内・海外旅行の企画・手配・販売を手がける総合旅行会社の株式会社ドリームワールド。個人旅行ではなく団体旅行を手がける旅行会社として、オーダーは100%自社サイトを通じて受けているところが特徴的であり、ほかにないユニークな存在といえる。
同社が運営するサイトは次のとおり。
●全国貸切バス専門サイト「バスなび」
日本全国400社以上の貸切バス会社と提携し、エリアや時期、車種(大型・中型・小型など)、移動距離ごとの料金がわかるとともに、その場で予約ができる。年間手配実績は約7,200台と日本最大級。弁当・飲み物などの手配もワンストップで可能。
●団体旅行専門サイト「団なび」
団体旅行向けのパッケージ商品を選んで申し込めるほか、フリープランの旅行を提案してもらえる。
●団体旅行見積もり専門サイト「旅行の幹事.com」
「誰と行くか」「何しに行くか」「モデルコースで選びたい」といった目的やニーズ別に、オーダーメイドの団体旅行向けの見積もりができる。
●全国契約送迎バス専門サイト「契約送迎バスなび」
企業や学校などの社員・生徒の送迎バス会社を探せる。こうしたバスには配車権があり、事業所のある都道府県でしか配車することができない。複数の都道府県で手配する場合はそれぞれのバス会社と契約しなければならないが、同サイトではまとめて手配することができる。
●ソリスタ(業務委託外務員)募集サイト「ソリスタ.com」
旅行会社から定年や出産育児などで離れた元営業担当者が、個人の業務委託外務員として再度仕事をするためのサイト。自分に付いている顧客からのオーダーを受け、ドリームワールドを通じて手配・販売することができる。顧客は信頼している営業担当者から旅行を買うことができ、営業担当者は仕事ができ、ドリームワールドは営業チャネルを確保できる、一挙三両得のサービス。
●インバウンド向け旅行手配サイト(英語版)
来日外国人観光客が日本でバスやタクシーなどの交通手段を確保できる。今後、宿泊の手配にも機能拡張の予定。
さらに同社では今後、貸切バスの料金計算が簡単にできるサイトも追加投入し、サービスラインナップを拡充していく構えだ。
貸切バス業界を一変させた「バスなび」。ハイタッチな要素をデジタルに融合した強み
1997年に同社を設立した代表取締役の石井達也氏は、それまで貸切バス会社で旅行の営業に携わっていた。しかし、貸切バスを利用する旅行だけでなく、「海外旅行も手がける旅行会社をつくりたい」と独立し、ドリームワールドと命名する。ところが、スタートしたばかりの頃はまだ信用もなく海外旅行はなかなか受注できなかった。そこで、ひとまず知り尽くしている貸切バスの世界に戻って会社の基盤づくりに努めることにした。
そのうちに、日本でもインターネットが広まり始める。旅行業界でも活用され始めたが、そのほとんどは個人向け格安航空券の販売サイト。出発日ごとに価格が表示される「カレンダー方式」と呼ばれるスタイルのものである。
「それを見て、貸切バスでもできるのではないかと思ったのです。料金のゾーンも、航空券と貸切バスは似たようなものでした」
こうして石井氏は早くも2002年に「バスなび」をオープンさせる。それとともに、従来の貸切バス業界の営業体質を一変させることになった。それまでの貸切バスの定価はあってないようなもの。時期やユーザーによってバス会社は恣意的に値付けを行っていたが、「バスなび」はカレンダー方式で価格を明示したからだ。
「大手のバス会社からは総スカンを食らいましたし、同業からは『団体がネットで売れるわけがない』と反発されました。しかし、私には価格がオープンになることで絶対にエンドユーザーから支持されるという確信があったのです」と石井氏は述懐する。
貸切バス業界には、全国的に数多くの中小規模の会社が存在している。そういったところは押しなべて営業力に乏しく、大手旅行代理店が頼みの綱であった。石井氏はそんな会社を一社一社、開拓していった。
「地方のバス会社にとって『バスなび』は大きな販売チャネルになります。かつ、旅行代理店といちいち価格交渉する必要もなく、きちんと利益を見越した値付けを表示することができる。こうしたメリットを認めてもらい、ネットワークを広げることができました」
この強固なネットワークにより、業界随一の格安価格を提示できているところが「バスなび」の最大の強みといえる。
こうして基盤を固めた同社は、2009年に「団なび」、2010年に「旅行の幹事.com」と次々にサービスを拡充していった。
同社の強みは、“スピード感”と“対応力”にも表れている。旅行業界では元々“足で稼ぐ”アナログな営業が行われていたが、そんなハイタッチな要素をデジタルに融合。
「対面で打ち合わせが必要とあらばお客様のところに飛んでいきますし、旅行前だけでなく旅行後もフォローしています。お客様の感想や旅行中に感じた問題点をヒアリングして改善に結びつけたり、またサイトにはクレームも含めたお客様の声をリアルタイムで掲載しています。こうした姿勢が評価されてか、リピート率は72%という高さです」と石井氏は胸を張る。
これまでに、アサヒビール、積水ハウス、第一三共、日産自動車、ブリヂストン、日本郵船、ローソン、電通、丸紅、三井物産、住友不動産、日本生命、NTTコミュニケーションズ、NTTドコモ、東京地方裁判所、防衛大学校など錚々たる顔ぶれの顧客を獲得。これも同社の信頼性の表れといえるだろう。
業績管理から日常の諸活動まで、あらゆることが“チーム”で運営
同社には横浜の本社のほか、東京、大阪、名古屋に営業所があり、社員数は合計で約50名。その60%はネットにアクセスしてきた顧客に対する内勤営業が占める。平均年齢33歳という比較的若い組織だ。
そんな組織の特徴は、業績管理から日常の諸活動まで、あらゆることが“チーム”で運営されていること。管理企画部部長の江副裕子氏は次のように言う。
「旅行業界の営業担当者は“一匹狼”が多く、個人ごとにノルマを抱えて活動しています。その点、当社には個人のノルマなどは一切ありません。あくまでもチームの目標があるだけで、それをどのように追求するかは各チームに任せています。極端な話、全員で100%であれば、ある人が200%である人が0%でもかまいません」
いずれにしろ、チームワークを発揮して個々のメンバーをカバーし合えるチームが強みを発揮している。内勤営業だけでなく、システムや管理業務のチームも同様だ。ここに同社のマネジメントのミソがあるといえるだろう。そして、月次目標を連続で達成すると“達成ランチ”と呼ばれるインセンティブが支給される。月ごとに500円、1000円と500円刻みで増額し、最大1年連続で最終月にはご褒美として6000円の食事が楽しめるというわけだ。
このほか、年に3回、全社会議が開かれる。
「年度最後の会議では、チーム単位で発表する1年間の活動報告は、お楽しみを兼ねてパフォーマンスも競い合うチーム対抗です。寸劇も合唱もダンスも、なんでもアリ(笑)。所定の時間でどれだけ印象的に発表するかが問われます」(江副氏)
この全体会議は、全社予算が達成できた場合、1泊2日の社員旅行を兼ねる形になる。
「当社は利益状況などの数字をすべて常時オープンにしています。社員は会社の状況を共有して仕事ができるので、『あと少しで旅行に行ける。頑張ろう!』と盛り上がってくれますよ」と石井氏は目を細める。
また、新卒をここ3年間で4人、6人、7人と積極的に採用している同社では、新人教育用の独自プログラムが用意されている。中途入社の場合は、経験や能力に応じて適宜、アレンジして進められる。いずれにしろ、徐々に難易度の高い業務を経験して成長を目指すスタイルだ。
そんな風土があることにより、同社が求める人材は、「自らビジョンを持ちその実現に向けて自ら発信できる人。そして、常にチームワークを意識し、周囲のために率先して動ける人」と石井氏。
貸切バスというキラーコンテンツを有し、強力な自社Webサービスや営業姿勢で成長を遂げているドリームワールド。そんな同社は今、業容拡大により、Webサイトの構築運用を含むIT戦略を統括する幹部人材から運用を担当する人材までを広く求めている。やりがいのある仕事を求めている人は、要チェックだ。