アルクテラス株式会社

アルクテラス株式会社は、ITの力とAdaptive Learningの理論を活用して、一人ひとりに最適化された学習サービスを提供するEdTech分野のスタートアップ企業である。同社が展開する事業は2つ。学習個性式指導ツール『カイズ』、勉強ノートまとめアプリ『Clear』である。

『カイズ』は教育機関を顧客とする月額制のクラウドサービスだ。教師が生徒の学習スタイルに合わせて最適化された指導を行うことを実現し、教育現場に強いインパクトを与えている。学生に対しておよそ30項目のアンケートを実施し、その結果からそれぞれの学習スタイルを「視覚的に全体像を情報で把握させる」「言語的な情報で1つずつを把握させる」「パターンにあてはめて記憶させていく」という3つに分類して、各学生にとって最適な学習コンテンツを提供することを可能とする。小学校高学年から高校3年生までを対象とし、現在販売代理店を通して学習塾に展開。現在（2015年8月）までに6,000人の生徒のデータを集めている。
同社は、この仕組みを実証する場として個別指導塾・志樹学院を運営している。

『Clear』は同社が現在、最も注力しているサービスでiPhone・Androidアプリとして提供する勉強ノートの共有プラットフォームだ。自分がまとめた勉強ノートを公開したり、他のユーザーが公開したノートを閲覧したりすることで、いつでもどこでも自分が必要なノートを入手して、楽しく勉強ができる。

同サービスは中学生から社会人を対象としているが、現時点でのメインユーザーは大学生までの学生である。学生にとって、自分と同じ学生の目線で作成されたノートは、参考書や先生の授業などとは違ったわかりやすさがある。また、公開されたノートを通じてユーザー同士で教え合い、励ましあうことでより理解を深めながら学習できる。こういった要素が人気を集め、2013年末のリリース以来、日本国内70万人のユーザーに利用されるソーシャル参考書として全くプロモーションをせずに成長を続けている。公開されているノートの数は実に5万冊以上に及ぶ。国内だけではない。2015年4月にはタイでリリース。2ヶ月目以降、タイのApp Store教育カテゴリーで１位を、またGoogle play教育カテゴリーでは3位を維持し続けるほどの急成長を果たしている。

『Clear』は、これまでSlush Asia、Echelon Thailand、Startup Asia Jakartaなど、グローバルなピッチイベント複数に出場。Startup Asia Jakartaでは準優勝、Echelon ThailandではTop 10に入賞するなど、世界に通用するプロダクト、事業モデルとして認められてもいる。国内外のメディアにおける露出度も高い。国内主要全国紙5紙をはじめ、『特ダネ』『行列のできる法律相談所』などの国内テレビ番組、『Tech Crunch』『The BRIDGE』『Tech in Asia』『e27』などのwebメディアで広く取り上げられ、注目されている。

代表取締役社長・新井豪一郎氏が語る。
「デバイスとデータマネジメント技術の発展により、今後のEdTech業界の進化の鍵は“ユビキタス”“Adaptive learning”“ソーシャル学習”であると考えています。 弊社の2つのサービスはその趨勢の核を捉えていると認識しています」（新井氏）。

新井氏は大学卒業後の1997年、NTTへ入社。その後2003年、起業家を目指してビジネススクールに入学してMBAを取得し、米系コンサルティングファームで3年間、戦略コンサルタントとして実績を積んだ。さらにその後、星野リゾート社でスキーリゾート事業の責任者を任され、2007年に退社。約3年間の準備期間を経て、2010年10月にアルクテラス社の創業に至った。

そんな新井氏だが、小学6年生までは学校の授業についていけなかった。しかし授業中に先生の話を聞くのをやめ、自宅で参考書を読む学習法へと変えたところ、それまではよくわからなかった内容が簡単に理解できるようになり、中学入学後には学習が得意な生徒となっていた。自分のスタイルに合った方法で学ぶことが出来れば、誰もが本来持っている力を発揮できるということを自ら体験したことは、後のアルクテラス社設立へと繋がった。

「ITを使えば教育現場で実現できていない学習法を実現できる。データマネジメントとマシンラーニングの技術、アダプティブラーニングの理論、これらを使えば、一人ひとりにパーソナライズされた学習コンテンツを届けることが出来る。そう考えてアルクテラスを設立しました」（新井氏）。

社名には南洋の船乗りたちが目印にしている星“アルクトゥルス”にちなみ「歩く道を照らす」という意味を込めた。

それ以降、ノンプロモーションで持続的な成長を遂げてきた。2015年6月には、電通デジタル・ホールディングス、スターティアCVC、Bon Angelsなどから合計1.5億円の資金調達を実施。その資金調達を受けて、同社が今後に向けて進めるのは、1つは『Clear』のコンセプト追求と機能強化である。ユーザーのログに基づく個々のユーザーに最適なノートを提供するアダプティブラーニング機能の開発、ユーザー間インタラクションの強化、ノート閲覧機能の改善を含めた開発を進める。そしてもう一つ、グローバル展開の加速である。2016年３月までにはアジアを中心に4カ国への展開、さらに2017年3月までにアメリカ、カナダ、ブラジルなどを含む合計8カ国への展開を計画している。

アルクテラス社では現在、『Clear』の急成長に合わせてエンジニアチームの増強に取り組んでいる。教育サービスの開発に情熱を持てるエンジニア、未知の分野に積極的に取り組めるエンジニアを求めている。

同社のメンバーは全員が「自社の教育サービスを通じて世界をより良い場所に変えていく」という信念を持つ熱いメンバーだ。プロダクトの設計もその視点で考え、教育について熱い議論が盛り上がる。その中で重視していることは、意見の違いがあった時に徹底的に議論することだ。フラットで必要なことは遠慮無く話し合う組織を作っている。それは、常に学習者へのインパクトを重視し、社内では必要な意見を遠慮なく伝え合うことで、適切な戦略を持ち続けることが出来るという考えに基づく。

仕事をする環境も万全に整える。自由が丘駅近くの大きな一軒家を改装したオフィスは、エンジニア、デザイナー、クリエイターの創造性と集中力を最大限に発揮するのに最適な環境だ。大きなリビングでメンバー全員同じ空間で開発できる一方、一人で集中したい時は個室にこもることもできる。また、スタンディングテーブルもソファーも用意されており、好きなところで好きな姿勢で仕事ができる。PC、ディスプレイは希望のものを購入し、貸与。ランチは、オフィスの巨大キッチンを使って料理したものをみんなで一緒に食べる。ヘルシーで美味。しかも時間もコストも節約できる。

成長を後押しする環境も用意する。社外の研修や勉強会に積極的に参加できるよう、有料の場合は会社でサポートしている。福利厚生、社会保険も完備している。

メンバー同士の仲が良く、お互いに尊重し合う結束力の高いチームである。全員が目的意識と学習意欲が高いため、適度な緊張感と楽しさを備えた組織で、企業も個人も他社にはないスピード感で成長している。

「アルクテラスは世界にインパクトを与えられる強力なプロダクトの開発と世界展開を圧倒的なスピード感で進めています。技術力も意欲も高いメンバーたちと一緒に、意義のあるサービスの開発と運用を進めることは楽しいだけでなく、個人の成長にも繋がります。興味を持っていただけるなら、ぜひ一度会って話しましょう」（新井氏）。