求める人材は「1を10に育てるタイプ」。スタートアップを仕組み化する会社
株式会社ガプスモバイルは、名前の通りスマートフォン関連のサービスやソリューションを手がける会社だ。この分野で数々の目覚ましい実績を上げているが、決してそれだけの会社ではない。同社の本質は「新規事業をつくる会社であり、スタートアップを仕組み化する会社」だと、代表取締役の西村大樹氏は言う。
国内外で発掘した有望なモバイル、Web、クラウドのサービス、あるいは自前で生み出したサービスを大きく育て、事業化するのが同社のビジネスだ。すでに立ち上がり、確実に成長しているサービスは、スマートフォン本体のセキュリティも補完するSMSサービス『ネクスモ』や、サービスや製品の特長をわかりやすい動画で表現する『クラフトクリップ』、Webで簡単にスマートフォンアプリを作成する『GoodBarber』など。このほかにも、数々のサービスが現在、成長途上にある。
スタートアップを仕組み化するキーワードは「一、三、十」だ。「新規事業の目安として、最初は1人で1000万円稼ぐ。次が3人で、3年で3億円を目指す。次が10人で年商10億円」と、西村氏は解説する。同社の体制はこうだ。まず西村氏が新規事業の開拓者として、第一フェーズの「1000万円」までの立ち上げを担う。その後、事業企画、営業、マーケティング兼バックヤードの3人からなるチームがサービスを引き継ぎ、第2フェーズの「3億円」、第3フェーズの「10億円」へと育てていく。今、同社が手がけている数々のサービスには、「10億円」にあと1歩のものもあれば、「1000万円」や「3億円」のフェーズのものもある。
サービスの数と運営するチームの数をどんどん増やし、今後10年で100のサービスを展開することが同社の構想だ。もちろん、ただ闇雲に事業を増やすのではない。ガプスモバイルのコーポレイトサイトには、「New Think New、住みたい未来を自分たちでつくる企画集団」の文字が躍る。この言葉通り、自分たちの得意分野であるITで世の中をよくする、というのがコンセプトだ。このコンセプトの下、いかに素晴らしい事業の芽を見つけ、それをうまく発芽させるかがポイントとなる。
構想の実現を目指し、同社が今求めているのは、西村氏が発芽させた事業を大きく育てる人材だ。「0から生み出して1にするタイプではなく、1を10に育てるCOOタイプの人」と西村氏は言う。ゼロから生み出すにはある種の特別な才能が必要だ。「それはできないが、1を10にするのは自信がある」と思っている人は、実は世の中に多いのではないか。今、これを読んでいる人のなかにも、思い当たる人はいるだろう。自分の手で事業を育ててみたい、そう思っている人はぜひ、ガプスモバイルの扉をたたいてほしい。
あの大手通信キャリアの戦略パートナー。モバイル領域で日本有数の会社
新規事業をつくる会社であるガプスモバイル。一方で、モバイルサービスで圧倒的な強みを持つことも確かだ。大手通信キャリアの戦略パートナーとしてソーシャルゲームのプラットフォーム構築や、ユーザー数が何百万人規模にも上るようなアプリ制作に携わるほか、数々の実績を誇っている。この領域では日本有数の会社であると言っていいだろう。
社員30名の同社が、数万人規模の大手企業と対等に取引し、ときにコンサルタントとしてアドバイスする立場になる。ではその独特なポジションは、どうやって確立されたのだろうか。少しだけ成り立ちに触れる。
ガプスモバイルは、GPS技術に強みを持つイギリスの会社が前身となっている。西村氏がその会社のエンジニアと顧客を引き継ぐ形でスタートさせたのがガプスモバイルだ。そこに至る西村氏のユニークなキャリアは、インタビューに詳しい。
だが基盤を引き継いだとはいえ、今に至るモバイル領域の圧倒的な強さと強力な顧客網を築いたのは、立ち上げ時の営業活動だ。現在の主要顧客である大手通信キャリアも、最初の一歩はテレアポからだった。
そして、そんな同社の飛躍の契機となったのが、2011年に開催したカンファレンスだ。シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズで、日本とアジアのモバイル関係者を一堂に集めて大々的に行ったのだ。そこで構築した関係が、その後の様々な事業展開の礎となった。そんな地道な開拓力と、カンファレンスをぶちあげるような企画力、展開力が同社を支える強みだろう。
そして今、次々と新たな事業を立ち上げる同社のスタイルが確立しつつある。同社のビジネスに、単純に作って終わる形の受託案件はほとんどない。立ち上がると継続的に収益が上がるスキームのサービスが中心だ。足し算ではなく掛け算、それも「べき乗」のビジネスだ。国内外も関係ない。海外のサービスを日本で展開し、日本のサービスを海外で展開し、軽々と国境も越えてサービスを広げていく。人材を得て、同社はさらに大きく発展することを狙う。
賞与は年4回!挑戦を推奨し成果に報いる。目指すは「みんなが経営者」
今後10年で100サービスの事業化を実現するために、同社は1000人規模の組織を構想する。サービスごとにチームを組んで、大きく育てていくスタイルは変わらない。だから、きっとベンチャー企業の集合体のような会社となるのだろう。
「ガプスモバイルの魅力といえば、やはり、小さな事業が大きく成長するダイナミズムがあるということでしょう。それを体感すると人は成長します。そんな『みんなが経営者』という意識が持てたらいいなと思います。どんな事業でも経営できるという自信をみんなにつけてほしい。究極のところ、それが僕のいちばんやりたいことなのだろうと思います」。思い描く組織像について、西村氏はこう語る。一人一人が挑戦し、自信をつけ、その総力として会社が大きく成長する。
実際、昨年、新卒で入った女性は、一つのサービスを任されて活躍している。活躍すれば当然、収入もアップする。ガプスモバイルの特色の一つが年4回の賞与だ。「ここはこだわる」と西村氏は力を込める。「年4回の賞与というのは、3カ月の成果に対するインセンティブが支払われるということです。自分が会社員時代に、それをやってほしかったんですよね。賞与が年4回なら頑張りますよ。馬車馬になる(笑)。目標を決めて頑張るということが、僕は好きなんです」。
ただし、仕事は18時にしっかり終わらせるのがガプスモバイルのスタイルだ。飲みを含めた社外の人との交流や、セミナーへの参加などの自己啓発を大事にする。書籍購入と英会話の勉強にかかる費用も全額会社負担だ。そのような姿勢から新たなサービスが生まれるのだ。
会社は西村氏を中心にまとまっている。この取材でも、写真を撮るときに、西村氏が率先してみんなを並ばせ、笑わせ、場を和ませてくれた。西村氏が仕込んだサービスの芽を、みんなが育てるスタイルのガプスモバイル。だがそれは決して一方方向ではない。みんながどんどんアイデアを出し、そこから生まれるサービスも少なくない。
「やはり当社の事業が目指すところは、社会のインフラになるような『当たり前をつくる』ということだと思うんです」と西村氏。この思いに賛同する人、事業を育てて自分自身も成長したい人、そして何より「1を10に育てること」に自信を持つ人に来てほしい。何しろ100サービスだ。他では経験できないダイナミズムを、絶対に味わえるだろう。