米国で見た誇り高きエンジニアに感銘を受け起業。現在、急成長中!
株式会社エー・アンド・ビー・コンピュータ(以下A&B)はシステム開発を手がける会社だ。領域としては業務システム、Webシステムの受託開発、ネットワーク・インフラの設計・構築、モバイルアプリケーションの開発など。
このうち現時点での事業の柱となっているのは受託開発業務だ。社員約100名と決して大きな会社ではないが、大手クライアントを中心にプライマリ案件が多いことが特長だ。なぜそれが可能なのか。そしてそもそもA&Bはどのような会社なのか。これらを理解してもらうに、まず、社長がどんな人物かを紹介しよう。
A&Bの設立は2003年。いわゆるITベンチャーだ。ITベンチャーというと、颯爽とした若手社長が率いるイメージだが、同社の創業社長の千葉宏一氏は大ベテランと言っていいビジネスパーソンで、輝かしいキャリアを積んできた人物だ。研究者として東芝に約20年勤務し、その間にスタンフォード大学で修士号を取得。その後新日本製鐵、東京コンピューターサービスと移り、10年前にA&Bを設立した。時代背景として1社で30年、40年と勤め上げることがスタンダードだったなか、千葉氏は軽やかに転身を重ねた。それはひとえに起業したかったからだ。
米国留学時代、現地で誇り高く、尊敬を集めるエンジニアの姿を目の当たりにした。一方で日本。開発環境、待遇などの面でアメリカに遅れをとっているように見えた。エンジニアが誇りを持って働ける会社を作ろうと考え、その領域として千葉氏が選んだのがコンピューターソフトの世界だ。起業を念頭に、実地訓練のつもりで入った東京コンピューターサービスでは60人の組織を250人に拡大した。ここで営業、採用・育成、経営などを学び、満を持して起業した。
それから10年。たった一人で始めた会社は逆境を経験しながらも順調に成長し、特にここ最近は成長スピードが加速している。拡大する事業に対応すべく、直近の2年で社員は50人から100人に倍増した。それでも増え続ける案件に対応できず、人員増がA&Bの急務となっている。
優秀な人材、良質な案件、蓄積するノウハウの好循環。次は自社サービスへ
ではなぜプライマリ案件がとれるのか。他の無数にあるシステム開発会社との違いは何なのか。その問いに対して千葉氏は「社員として優秀な人材をお迎えできているということに尽きます」と答える。なかには名だたる大手コンピューター会社を蹴って、同社に参画したメンバーもいるという。
面接では社長自ら1人1人と話をする。「その方の強みはどんな点か。どのように働けばその方が生き生きとし、力を発揮できるかを考えます。事業の構想などをお持ちでしたら、それも話していただければ、私の経験を活かしてアドバイスもしますし、当社でどんな支援ができるか、どうしたら実現できるかを一緒に考えます」。そんな同社の可能性に魅力を感じ、優秀なメンバーがやって来る。そして1人1人の適性を丁寧に見極めながら活躍の場を探る。
それを10年間続けてきた結果、開発の現場でも同社のメンバーの能力や姿勢が光り、大元のクライアントから指名で案件が来るようになった。もちろん、千葉氏の豊富な経験がもたらす人脈や営業体制の強化も要因の一つだが、基本は1人1人の力が高まることで、徐々により上位の案件にシフトしてきたのだ。初志の「エンジニアが誇り高く働ける環境づくり」も健在だ。だから案件も選ぶ。長時間労働が常態化しているような、エンジニアを疲弊させる会社はお断りしている。
良質な案件を手がけることでノウハウを蓄積し、収益を上げ、その蓄えを今度はR&D(研究開発)に投資する。自社サービスを出すことは多くのエンジニアにとっての一つの夢といっていいだろう。自社サービスがブレイクすれば、継続して収益を生む貴重な財産ともなる。会社としてさらなる成長を目指すなら、当然、受託開発だけを続けているわけにはいかない。
同社はR&Dにも熱心に取り組んできた結果、今、形を成しつつあるサービスも出てきた。なかにはすでに引き合いがあるアプリケーションもある。今は受託開発が事業の中心だが、いずれ自社プロダクトの事業も二本柱となっていく見通しだ。
このように良き人材が良質な案件を呼び、それが会社の展望を開き、さらに人材を集めるという好循環が実現したのだ。
提案大歓迎の風通しのいい社風。10年先、20年先も活躍できる人材に育成
社員の視点から見たA&Bは、一言で言うなら風通しのいい会社だ。特に提案を大いに歓迎する風土がある。事業やサービスについて、あるいは福利厚生や教育など会社の制度について、何か提案したいことがあれば、誰でも社長の千葉氏にプレゼンテーションできる。「経営の会議に入れてくれたり、プレゼンの時間をとってくれたり、社長は必ず話を聞いてくれる」。これは若手社員の言葉だ。いい案であれば速やかに実現を模索し、たとえ未熟な案であっても、千葉氏はアドバイスなど何らかのフィードバックを欠かさない。成長したい、挑戦したいという人には貴重な場だろう。
一方で、年代に応じた働き方を尊重する風土もある。「50代でも働けるというのが当社のスローガンの一つです。社員には10年先、20年先も活躍してほしい。そのために当社ではマネジメントの道を開くようにしています。豊富な経験を活かしてチームを率い、まとめていけるような育成を考えています。傑出した人にはぜひ新たな事業も起こしてほしいです」と千葉氏。
入社後の人材の育て方にも同社なりの哲学がある。それは技術とプラスアルファの能力を持つということだ。プログラミングなど手作業ができるだけでは、いずれ需要は枯渇する。より器用で、よりリーズナブルな人材に取って替わられてしまうからだ。マネジメント能力、営業力、語学力、経営能力といったプラスアルファの強みは、差別化ポイントになると同時に新たな視点ももたらし、ひいては技術力の向上にもつながる。
使い捨てられるエンジニアには、誰もなりたくない。だが得てしてそういう会社に入ってしまうこともある。A&Bは決して人材を使い捨てない。人材こそが同社の原動力だからだ。同社が掲げる理念は「ITで世界中の人たちを幸せに」。そこには社員も含まれる。ITで自分自身も幸せになるのだ。吸収することはいくらでもあり、アウトプットする機会もいくらでもあるA&B。面接では事業やキャリアの展望を聞く。その志や夢をかなえたいという強い思いがあり、それがA&Bで実現できるならば、ぜひ仲間に入ってほしい。