株式会社ハウテレビジョン

グローバルプロフェッショナルを目指す学生や社会人に向けたリクルーティングメディア「外資就活ドットコム」「Liiga」を運営する株式会社ハウテレビジョン。2010年4月にオープン後、真に学生の立場に立ったサービスを徹底し、志の高いターゲット学生の支持を集めるとともに、そういった学生を採用したい外資系企業や日系トップ企業に評価され、急成長を続けている。

創業者である音成氏は大学卒業してから外資系投資銀行の投資銀行部門を経て、投資ファンドであるアドバンテッジパートナーズで企業の経営支援業務に従事。多くの会社、経営者と出会うなかでいつしか自分自身も会社を興したいと強く思うようになった。

数あるビジネスモデルの中で選んだのが求人メディア事業。ベースには、かつて理系から外資系や日系トップ企業への文系就職を目指そうとした結果、就職活動にとても苦労したという原体験があった。

「当時理系学部生だった私は、文系就職をしようにも方法がさっぱり分からない状況でした。ネット上の掲示板を見てひたすら情報収集に励んでおりましたが、新卒就職だと、どのようなキャリアの歩み方があって、どういった企業が、いつ選考を開始しており、どういった選考でどのくらいの実力が求められるのか、まるで分からない状況でした。理由も分からずお祈りされることも多く、内定を取るまで大変苦労しました」

そこで音成氏は同じ問題に直面する人が来年以降も多いのではないかと思い、自身の体験談を元に情報提供すべくブログを起ち上げる。そこには各社の選考情報から対策方法まで、学生であるユーザーを第一に考えた構成になっており、外資就活ドットコムの原型とも呼べるものであった。

「起ち上げたブログメディアは月間20万UUのアクセスがあり、コメント欄が学生や企業からの投稿で賑わっていました。ユーザーから感謝のメールをいただくことも多く、メディア運営の醍醐味を感じていました」と音成氏は振り返る。

創業当初は音成氏1人。一切外注することなく外資就活ドットコムのサイト制作をすべて行い、文章コンテンツはインターンや、自身の交友関係を通じて書いてもらっていた。「グローバル」「外資」をキーワードに、クオリティの高いハウツー記事または業界研究記事を中心に構成したリクルーティング情報というアイデアは的中。評判が評判を呼ぶ形で登録する学生、利用する企業は順調に増え、2019年4月現在、就職活動をする東大生・京大生・早慶生・一橋生のうち2人に1人が登録するメディアまでに成長しており、大学1、2年生も数多く登録するようになってきている。

では改めて、外資就活ドットコムの強みとは何か。競合はリクナビやマイナビといった就職活動メディアになるだろう。両者は圧倒的なガリバーメディアだが、「学生にとって就職先を選ぶためにはどうしたらいいか」といった指針が全く提示されず、顧客ファーストを追求するあまり、学生の利便性を損なうメディア設計になってしまっている点が否めない。

学生にとっては「1万社の求人企業から自分に合った企業を探せるか」、企業からすれば「志向も意欲もまちまちな大量の学生から本当に欲しい学生を探せるか」という問題が出てくる。

外資就活ドットコムの特徴はフィールドを特化し、徹底的にユーザー＝学生の立場に立ったメディアを作り上げていることだ。「学生さんに玉石混合というイメージをもたれたくない」という音成氏。外資就活ドットコムに掲載されている企業は審査を通じて厳選しており、掲載が断られる企業も珍しくない。

コラムも充実している。いわゆるトップ企業の就職活動に役立つ情報のほか、業界がかかえる問題点なども数多く発信する。求人企業側のメリットとは相反するが、現実を知った上で目指してほしいという意図からだ。スケジューリングなど機能面も気を配り、学生からは「便利だった」、「目的に合っていた」、「他を見る必要がなかった」などと好評だ。

ユーザーの選別はしていないが、「外資」と銘打つためか、結果的に有名大学を中心に高いマインドを持った学生集団となっている。そうなると企業サイドの評判も上がる。「企業からも優秀な学生に出会えると好評です。一度使えば必ずリピーターになってもらえますし、外資就活ドットコムを使って就職活動した学生が企業に入り、その話が人事に伝わると問い合わせが来ます」（音成氏）。まさに好循環の成長軌道にのった形だ。

そんな同社のビジョンは、「全人類の能力を全面開花させ世界を変える」こと。

「求職者と企業が真にマッチングする世界を実現したいと本気で思っています。求職者が仕事を通じた幸せを十二分に得ることができ、自己実現できるようになれば、1人1人が世の中に生み出す価値を最大化することができ、企業側もハッピーになります。またそこに向けて、大学生・社会人に向けた能力強化ツールについても合わせて開発予定です。日本の人材レベルを底上げすることで、社会に貢献できればと思っています」（音成氏）

「ウチはとにかくエンジニアを大事にする会社です」。こう話すのはデザイナーの津田泰之氏だ。何よりもユーザーファーストなサービスを志向する同社。それを実現するのがエンジニアだ。彼らが働きやすい環境づくりへの注力には並々ならぬものがある。

作業効率を格段に上げるデュアルディスプレイに、キーボードと椅子は体への負荷を軽くする最高級仕様のものを使っている。「お菓子や飲み物も食べ放題、飲み放題です。お菓子は大量に置いておくのですが、すぐになくなります」と音成氏は笑う。

真ん中に大きな本棚を設置したのが新オフィスのポイント。エンジニア本も多数在庫があり、要望があればどんどん購入していく。また、随所にホワイトボードが立てられており、いつでもどこでも打ち合わせやブレーンストーミングができるようになっている。常に最先端の技術を取り入れ、いかにデザイン・機能としてユーザーファーストを実現していくのか、日々ディスカッションが絶えることはない。

もちろん大事にするのはエンジニアだけではない。「どこででも通用する市場価値の高い人材になってほしい」。それが社員のみならず、アルバイトやインターンも含めたメンバー全員に対する音成氏の思いだ。そのために様々な形でチャンスを用意する。それは時に試練でもある。メンバーは与えられたチャンスに戸惑い、もがきながらも頑張り、成長していくのだ。

意思決定も非常に早い。会議や雑談の場で出てきたものが、「それ、いいんじゃない？」と次々に形になっていく。日々、刻々と状況が変化するなか、外資就活ドットコムとて、変化し続けなければ強さを保てないからだ。サービスは拡大中であり、それを支えるシステムも日々変わっていく。

また、同社では毎朝全員が顔を揃えてのミーティングが行われており、エンジニアの技術的の話を営業が聞いたり、営業の状況報告をエンジニアにも共有し「『全員でユーザーファーストにこだわってサービスレベルを上げていこう』という気運を高めている」と音成氏は言う。

現状に安住することなく、新しい技術も取り入れながら、次々と課題を解決する。それは大変である半面、大きな高揚感も伴う経験だろう。生き生きと仕事をするみんなの表情が印象的だ。可能性の広がる『外資就活ドットコム』という自社サービスを確立し、次への展開をうかがう同社。今ジョインすれば、5年後にはコアな存在になっているだろう。会社とともに自分も成長する醍醐味を味わえるに違いない。