日本のBtoBマーケティングの第一人者が設立。成果に繋げるためのマーケティングサービスを提供
「コンサルティングからスタートした日本唯一のBtoBマーケティングサービスサプライヤー」という、極めてユニークな存在として知られるシンフォニーマーケティング株式会社。
BtoBマーケティングに特化し、戦略の立案、5ブランドのMAツールの選定・運用、データマネージメント、リードナーチャリング(見込み客の育成)とスコアリング、そして見込み客に対する商談アポイントの獲得まで、一連の全工程を自社内のプロフェッショナルが手がける体制を構築し、大手企業にマーケティングサービスを提供している。
同社を率いる創業者の庭山一郎氏は、日本のBtoBマーケティングの第一人者として知られる。20歳の時、大学の図書館で出合った一冊の本に衝撃を受けたことが、そもそもの始まりだ。それは、アメリカの著名なマーケティング学者であるセオドア・レビットの論文集。実家が十代続く商家を営んでいた庭山氏は、かねがね同じ商品を提供する商店でも繁盛と衰退に分かれる要因は何かと疑問を持っていたが、同書を読んでその疑問が一気に解消し納得できたのだ。以来、マーケティングに強い関心を抱き、関係する書籍を片っ端から読破するとともに研究サークルを立ち上げて企業を訪問し実態調査を行う。そして「マーケティングは凄い。これを一生の仕事にする」と起業を決意したのである。
起業力を身につけるため、当時マーケティングが最も学べると考えた企業2社での勤務を経て、1990年、27歳の時にシンフォニーマーケティングを設立。93年には米国ダイレクトマーケティング協会会員になり、先行するアメリカのマーケティング界を常にマークし始める。10数名の規模でも、同社は大手コンサルティングファームから評価されるようになり、専門家として大手化粧品ブランドや家電メーカーとの取引をスタート。以降、社業は順調に発展する。
そんな同社に転機が訪れる。90年代後半、ブームとなったCRMやSFAなどのツール導入コンサルティングをベンダー経由で手がけるようになったが、クライアントがうまく運用できず失敗するケースが続出する。契約によって検収後の運用支援まで手がけられなかったのだ。
「クライアントからクレームを言われてもおかしくはないのに、自分たちに運用ノウハウがないからと逆に詫びられてしまいました。『役に立たないサービスはいつかスポイルされる』と危機感を覚え、運用のアウトソーシングを提案しました。アウトソーシング先はあると思い込んでいたからです」
ところが、探しても探してもそのような会社はない。そこで庭山氏は決断する。
「顧客に提案した以上、なければ自分たちでやるしかないと。但し、簡単なことではなく二兎は追えないと判断し、稼げていたコンサルティングをきっぱりとやめることにしたのです」
つまり、サービスの中身をごっそり入れ替えたのである。そして1999年、新生・シンフォニーマーケティングとして今日のサービスをスタート。自らの成功を捨て、顧客の真の成功に賭けたのだ。日本ではBtoBマーケティングはまだ普及していないが、製造業を中心に「技術力だけで世界とは戦えない。マーケティングが不可欠」という問題意識が急速に広まり始めている。
「月1~2回開催しているセミナーは、毎回満席です。追い風が吹いていることを実感しています」と庭山氏は力を込める。
マーケティングのノウハウとそれを実現する実行力を両立できることが競合との差別化ポイント
同社のミッションは、マーケティングで「売れる仕組みをつくること」
日本のBtoB企業は、社内にマーケティングのノウハウが圧倒的に足りない。
同社はデマンドジェネレーション(営業機会の創出活動)と言われる、仕組み創りとその実行を提供する。
基本設計と言われる、マーケティングコンサルティングから、Web制作・コンテンツ制作・E-Mail制作などのコンテンツ制作、ターゲットデータの整備、MAツールの運用によるキャンペーンの実行、アウトバンドコール実施まで、国内・海外問わずクライアントのマーケティングを成果に繋げるために支援する。
これらのサービスを提供するために、社内には各プロフェッショナルのチームを構成し、同社のクライアントは、一連の工程をフルラインで依頼する企業と、特定の範囲に限定して依頼する企業に大別される。
サービスメニューは下記のとおり。クライアントの状態やニーズに合わせて提案できる
●マーケティング基本設計(コンサルティングサービス)
●キャンペーンプランニング
●MAツール(Eloqua/Marketo/Pardot/HubSpot/自社ツール)の選定・導入・運用・活用支援
●各種コテンテンツ制作(Web,Email,LPなど)
●アウトバンドコール
●グローバルマーケティング支援
MAツールはマルチベンダー、グローバルパートナーも20社以上と蓄積された実績とネットワークも強みとなり、
同社の競争優位性となっている。
自然の中でのBBQは最高です。
他社なら3年かかるところ、当社なら1年で経験・知識が身に付く環境。
同社が標榜するのは「世界最高のマーケティングファクトリーを目指す」ということ。「世界最高品質の製品をつくり出す町工場のように、泥臭く愚直に世界最高のサービスをつくり出していくことに本気で取り組む」と庭山氏は言う。そのために、BtoBマーケティングに必要となる道具であるデータベース、メール配信システム、ログ解析システム、セミナー受付システムなどは全て自分たちで作り上げ、その道具を使いこなすプロフェッショナルである社員を育成している。「他社なら3年かかるところ、当社なら1年で身に付く」と庭山氏が胸を張るその人材教育や評価制度が特徴的だ。
まず、マーケティングの知識については、コトラーやレビット、ドラッガー、ポーターなどマーケティングの碩学たちの著書を何冊も読破させるとともに、庭山氏が直接、蓄積している知識を体系的に教える。「学ぶだけでなく、学んだ翌日から実際の実務で応用できるので早く血肉になるという特徴がある」という。評価制度も厳しい。同社では、学歴・職歴や年齢、性別、国籍などは一切関係ない。「今何ができるか」だけが問われる。
「同じ能力の場合、社歴が長い人のほうが『それだけ伸びしろがない』と判断され評価が下がることになります。社歴が長いことに対しては感謝しますが、それと評価は別。情実評価をしていては、世界一になどなれないからです」と庭山氏は説明する。したがって、同社では「年長男性の部下を持つ女性の上長」といった関係がごく普通となっている。ちなみに同社のナンバーツーであるCOOは、丸山直子氏が務めている。
そんな同社が求めるのは、一言「誠実な人」。
「私も丸山も、物事を軽く考えたり、裏表があったり、卑怯であるといった人が心底嫌いです。どれだけ能力が高くても絶対に受け入れられません。自分を大切に考えて地道に努力をする人、コツコツとスキルを磨くことを怠らない、ストイックな人でなければ当社ではつらいかもしれません」(庭山氏)
まだ発展途上のベンチャーである同社を、庭山氏は「大冒険(アドベンチャー)の船」と例えて、次のように締めくくる。
「海賊に襲われるかもしれないし、沈没するかもしれない。しかし、無事に航海し、宝の山を積んで帰ることを目指しているのです。この船には誠実な人しか乗れませんが、我こそはという方の乗船をお待ちしています。」