株式会社スマートエデュケーション

今の子どもたちが大人になる20年後、社会はどのようになっているだろうか。
「今後の100年に起こる変化は、過去の2万年分に相当する」といわれるほど技術革新が急速に進む今、世界各国の教育機関は
「子どもたちの65％は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」
「今ある職業の約半数がAIやロボットに置き換えられているだろう」
こんな未来予測を発表している。

変化が激しく不安定な社会を背景に、教育システムも大きな変化を迫られている。
これまでのように必要な知識や技能を段階的に積みあげていくだけでは予測不可能な未来を力強く生き抜いていく力を育むことはできない。これからの時代は、受け身で知識を吸収するのではなく、自分で考え発想する力、「なぜ？」を追求する力、広い世界に興味を持ち続ける力が必要だ。

そんななかで生まれたのが、ICTを活用した園向け教材「きっつ」だ。
きっつは、園児たちがICTを道具として活用することで、自分らしい表現を楽しみ、多種多様なアイデアや価値観と出会い、知りたいことを深掘りする面白さを体験する教材だ。
「今の子どもたちは生まれた時からデジタルデバイスが身近に存在しています。しかし多くの場合、YouTubeやゲームなど、誰かが提供してくれたコンテンツを消費するという使い方です。本来、ICTはクリエイティブなツールです。消費者としてではなく『作り手』となって何かを生み出していく、そのための道具としての使い方を小さい頃から体験することが重要です」と代表の池谷氏は語る。

もちろん子どもにとって一番重要なのは、遊びと直接体験だ。デジタルの世界に閉じることなく、アナログの体験や自然体験をより豊かに面白くするためのツールを提供することがきっつのミッションだ。
さまざまな素材を使って録音した音を粘土のように縮めたり伸ばしたりすることで簡単に音の編集ができる「おとねんど」、写真を撮影してステンドグラスを作る「とりえ」、画用紙に描いた絵を取り込むと画面上で自由に動き出す「アートポン！」。
子どもや先生がワクワクするデザインと直感的な操作性を追求したツールを揃えてきたが、まだまだ足りていない。

「数年前までは子どもにiPadなんて！と門前払いを受けることがほとんどでしたが、今では信じられないほど前向きにとらえていただけるようになりました。ここ数年、保育・幼児教育業界も劇的に変化しています。そんななかで当社のツールを導入したことをきっかけに、子どもたちの遊びや学び、そして園のあり方が変化し始めたという嬉しいお話もいただきます。未来を生きる子どもたち、そして先生方の体験をより豊かにするためにやりたいこと、やるべきことがたくさんあります」（池谷氏）

「子どもと全力で遊びながら、子どものよさに気づき、秘めた力を引き出す園の先生の仕事は、とてもクリエイティブで高い専門性が求められます。そんな先生がより楽しく、創造的な仕事ができるようなツールを提供するのも我々の使命だと考えています」と語る池谷氏。

それを痛感することになったのがコロナ禍だ。新型コロナウィルス感染拡大第一波の緊急事態宣言下では、全国の幼稚園・保育園・こども園に登園自粛が通達された。先生たちは「園で大好きなお友達と過ごすことができなくなってしまった子どもたちのために、何かしたい」「保育を絶対に止めたくない」、そんな思いを募らせていた。多くの先生から何かできないか、と相談を受けて開発したのが、園と保護者を繋ぐ動画配信ツール「おうちえん」だ。

「我々もとにかく何か役に立ちたいと思い、たった2週間でツールを開発し、無償で提供しました。全国の園さんにご活用いただき、感謝の声もたくさんいただいたので、やってよかったなと思いましたし、先生方の面白い動画を見て、園さんの子どもたちへの愛情と創造力の豊かさを改めて感じました。ただ我々もビジネスをやっている以上、いつまでもボランティアでというわけにはいかず、コロナが落ち着いた頃にはサービスを停止するつもりでした。ところが『やめられたら困る！』という声をたくさんいただき（笑）、『保育の可視化』をテーマとしたサービスにアップデートし、製品化することにしました」（池谷氏）

その後正式なサービスとなった「おうちえん」は、園の保護者のみが閲覧できる環境で動画や写真を配信することはもちろん、最近注目を集めている保育ドキュメンテーション機能やライブ配信機能も備えている。導入園は全国で2,000園を超えた。
「私はICT＝業務を効率化する手段ではなく、ICT＝人を創造的にするツールだと思っています。当社がサービスを開発する基準は、『既存のものよりも価値があるかどうか』です。既存の業務をICTに置き換えるという発想ではなく、いかに新しい価値を生み出すことができるか。当社だから生み出せる新しい価値は何か、常にそれを頭に入れてサービスを開発しています」と池谷氏は語る。

モバイルインターネット業界黎明期から活躍するメンバーによって2011年に設立された同社。当初はいわゆるコンシューマー向けアプリの開発企業としてスタートし、幼児向け「知育」アプリを日本・世界に向けて企画・開発していた。これまでリリースしたサービスはさまざまなカテゴリで1位を受賞。日本のみならず、シンガボールなど世界8ヶ国でも教育カテゴリNo.1となった実績を持つ。

競争の激しいコンシューマー向けアプリ業界で実力を磨いたエンジニアやデザイナーが揃い、既存の保育・教育業界の価値観にとらわれないアイデアを生み出すことができることが、同社の最大の強みだ。

「私の知らない間に新しい商品が生まれていたりすることもよくあります（笑）」と語る池谷氏。
子どもたちが楽しく発表できるような演台、卒業アルバムに代わり子どもたちが園で過ごした軌跡を永久に残せるデジタルサービス、そして子どもたちの体験をより豊かにする園庭プロデュースまで、日々、さまざまな企画や新サービスが社員によって生み出され、実現されている。とても自由な雰囲気で、どのような立場であっても自らが望めば企画やディレクションのチャンスがある。ユーザーの近くで、ユーザーの声を直接聞きながらサービスを開発できることが同社の仕事の大きな魅力だ。

「テック企業が園庭までプロデュースするのか！と驚かれますが、我々が提供しているのは園のあり方の根幹に関わるサービスです。組織のあり方、園内外のコミュニケーション、経営まで、テクノロジーという軸で園を見るといろいろな課題が見えてきます。園の課題を見つけ、解決方法を考え、サービスとして提供していく。自分の感性を生かして、いろいろな角度からアプローチできる魅力があると思います」（池谷氏）
そんな同社が求めるのは、「自らやるべきことを見つけられる人」「自分の居場所を探 せる人」だ。ICT×保育・幼児教育という分野は、新しい可能性にあふれている。一方で変化のスピードが非常に速いので、柔軟に対応する能力も求められる。『教育』に興味があり、知的好奇心が旺盛な人にとっては、本当に楽しく働くことができる環境だろう。

今後は「海外展開」にも取り組んでいきたいという同社。すでに中国やベトナムで同社の教育カリキュラムを導入している園もある。幼児教育では表現活動や創作活動など感性を伸ばすことを大切にしているため、言語に依存せずにサービスを横展開できる強みがある。

「世界中の子どもたちの生きる力を育む」というビジョンに共感し、共に未来を切り拓いてくれるメンバーを同社は求めている。