株式会社大田花き

青果市場、花き市場の中で唯一、株式を公開している（ジャスダック）ことから、花業界では知らない人はいないほど、業界内で一目置かれる存在の株式会社大田花き。花き産業の中核として、フラワービジネスにおける営業提案力、ロジスティックス、品質管理、情報ネットワークを確立させた功績のある企業である。

1989年、同社は設立された。その翌年には、東京都中央卸売市場大田市場花き部の開場及び営業を開始。その後、卸売市場業界において画期的とも言えるコンピュータ制御のセリ導入など、花きの流通を改善し、卸売市場の整備と拡大を実現してきた。その結果、業界内にて市場規模、取扱高ともに国内第1位を誇り、売上高は年間267億円を超えるまでに成長した。

また同社は、東京都から委託を受け、東京都の中央卸売市場の運営を担っている。つまり、中央卸売市場を基点に、全国で8万を超える生産者と24,000店にのぼる花専門店を結ぶ架け橋となっているのだ。現在、同社が年間で取扱う花の数は、切り花12,000種、鉢物8,000種にも及ぶ。これは、「世界の花工場」と言われるオランダに次いで、世界第2位の実績であり、今後も世界屈指の花き市場を目指すという。

花き業界においては、花の新品種の開発のスピードが早く、かつ、ブーケや生け花のような花の“見せ方”が常に変化する。このような背景もあって、年々着実に取扱高が伸びており、同社の成長も引き続き期待できると言えるだろう。

同社の魅力は、単なる卸売業者の枠を超えて、鮮度・品質・品揃え・価格に関して顧客のニーズを満たすためのサービスを日々世に提案し続けている点であろう。

例えば、コンピュータ制御の「自動セリシステム」は、同社が業界に先駆けて日本で初めて導入した画期的なシステムだ。このシステムが導入される以前は、セリを取り仕切る人を中心に買参人が集まり、手とかけ声によってセリが行われたが、キャリアがない買参人や小口の買参人には不利な点が多かった。そのセリの常識を変えたのが同社の「自動セリシステム」で、現在では花を素早く、効率的かつ公平にセリにかけ市場に卸すことができ、全国に普及して圧倒的なシェアを確立している。

また、同社では、上記のシステムにて蓄積した膨大な情報を顧客に分かりやすい形で公開することも大切な使命だと考えているという。それらの施策として、データ提供サービス「HANAKO」や、花情報提供サービス「ここほれわんわん」をこれまで立ち上げてきた。さらには、インターネットを使って受発注を行う情報システム「OLIVE」「TSUGICOLLE！（次コレ）」も稼働し、次々に花き業界の新しいインフラとなりうるITサービスを展開している。

この他にも、同社は、花き生産者への支援も積極的に行っている。例えば、新品種開発に特化した「シード会」、高品質な花の供給を目指した「ループワン」、バラ栽培技術の調査及び向上を行う「ジェイローズ」などのネットワークを作っている。これらのネットワーク内の動きが活性化されたことにより、ここから生まれた新たな品種の花も着実に市場に出回るようになったという。

また、栽培システム「PSシステム」の導入を全国の生産者に提案することで、生産性の向上のみならず、お客様のニーズに応える商品作りを実現させることも行っている。「PSシステム」は、水や液肥に花の生育速度に合わせ灌水できる点滴灌水を応用した最新の農法である。同社の場合、市場という特性を活かし、買参人からの意見を花栽培に生かすこともできるのである。

このようなサービスを提供できるのも、同社が業界内のネットワークと情報の集積・発信の能力を有し、花き業界全体の繁栄を念頭に、その中心的な役割を果たして行こうという情熱があるからであろう。

社内は、フラットな職場環境のようだ。人材育成にも力を入れ、社員力の向上に努めている。

同社が求める人物は、「顧客やパートナーの立場に立って行動できる人」、「体力の上に知恵がある人」、「センスのある人」である。また、ステップアップの環境が十分に整っているので、「自ら積極的に仕事を吸収していく自主性のある人」にとっては、成長できる環境と言えるだろう。

入社前は必ずしも花のことに詳しくなくても心配はいらない。ただし、人間や暮らし一般について興味を持ち、花や緑を通じて人々に貢献することを常に考えている人こそ、同社が求める人物像である。

時代に合わせて進化し続ける同社。花き業界を引っ張っていく同社の今後の展開が楽しみである。