多様な顧客ニーズ、価格帯、チャネルに対応するマルチブランド体制
ピアスグループの創業は戦後間もない1947年。以来、化粧品事業を主軸に、健康関連・エステ・医薬品など「美容と健康」に関する様々な製品を日本の女性たちに提供してきた。同社の特徴は1つのブランド・事業をそれぞれ事業会社として運営している点にある。ピアスという社名を聞いたことのない人でも、同グループ内にある百貨店向けブランド「カバーマーク」「アクセーヌ」「ケサランパサラン」や、「イミュ」という名前を知っている人は多いのではないだろうか。その他にも美容サロン向け化粧品「オリリー」や、直営サロン「カージュ ラジャ」など、現在グループ内で27もの事業を展開している。グループ全体では様々なブランドを手がけながらも、事業ごとに多様な顧客ニーズ、様々なチャネルに対応するマルチブランド体制と、各事業部単体で経費・売上を管理し、利益を生み出せる体制を確立することにより、飽和状態にあるといわれる日本の化粧品市場にあって、グループ全体では408億円(2006年)、411億円(2007年)、444億円(2008年)と売上も着実に推移、8年連続で増収増益を達成している
徹底したマーケティングと、時間をかけた製品作りで顧客満足を実現

ミーティング風景

アテンダントスタッフ
それぞれに独自性の高いブランドを展開している事業会社だが、ピアスグループで提供するすべての製品づくりには共通する考え方がある。それは、優れた効果・効能を実感できる製品を提供しなければならないという考え方だ。イメージで製品を売るのではなく、リアルベネフィット(本当の価値)をお客様に感じてもらい、その製品のファンになってもらうことを重要視している同社が最も力を入れているのがマーケティング。徹底したリサーチを行い、仮説・検証を幾度も繰り返すことによって、流行や感覚ではなく事実をベースにした意思決定を行い、大手化粧品会社が得意とするマスに向けた大型ブランドの展開ではなく、リアルで細かな消費者のニーズから生まれた他にはない独自性の高い製品を生み出している。
カバーリングファンデーションのパイオニアブランドである「カバーマーク」の中でも、最も支持の高い製品が「<ジャスミーカラー>エッセンスファンデーション」。あざ隠し用として開発されたカバーマーク製品の持つ肌色補正力はそのままに、皮ふ表面の色だけではなく、皮下の血流の色影響まで考慮した独自の肌色理論による色設計を行った画期的なシリーズだ。「美しい肌色を長時間保っていたい」という消費者のニーズに基づき、「そもそも美しい肌色とは何か」を徹底的に考え抜かれたこの製品は、発売以来10年以上の長きにわたって支持されており、日本最大級の化粧品情報口コミサイト「@cosme」のベストコスメ大賞においても、2000年にファンデーション部門で1位、2006年にクリームファンデ・その他部門で1位を受賞し、2007年には殿堂入りを果たしている。
自らを「マーケティング・カンパニー」と名乗る同社。その姿勢は教育制度にも表れており、新入社員は入社から2~3年の間に、1泊2日換算で15~20回にも及ぶ研修を受け、マーケティングとは何か、どのようなプロセスで進めていくのかといった基礎的なものから、調査設計や分析、知的財産権、薬事法、経理・財務などのプロダクトマネージャーとして必要な知識を幅広く学んでいく。
時間をかけた丁寧な製品作りも同社の特徴の一つ。「時間がかかっても良い製品をつくることを大切にしています。石橋を叩いて渡るような製品作りと言って良いかもしれません」(採用担当者)。イミュから発売され、累計で2000万本を超える大ヒットとなったマスカラ「デジャヴュ ファイバーウィッグ」の開発には1年以上の歳月がかけられたという。100以上の試作品が作られ、事業部スタッフは男女関係なくその試作品を繰り返し試し、さらには街の女子高生に試してもらうという地道な作業を繰り返した末にたどり着いたのが、「塗るつけまつげ」という、これまでのマスカラにはない新しい切り口の商品だったのだ。
丁寧にまじめに、仕事の質を追求する

受付風景
職場の雰囲気を尋ねたところ、「まじめで素直な、良い人が多い。穏やかな会社」だと採用担当者は語った。時間に追われ、スピーディにガツガツ仕事をするというよりも、丁寧にまじめに、仕事の質を追求するという姿勢の人間が多いという。「『美容と健康』に関する製品を扱っている以上、自分たちも健やかでなくては人を美しくすることはできない、という考え方を持っている人が多いように感じますね」(採用担当者)
中途入社の社員が多く、仕事内容や昇進におけるハンデなども一切ない。入社後すぐに事業会社の長に抜擢されたケースもあるという。「現在当社ではマネジメントを担うべき層が不足しています。その意味でも中途入社の方にとってチャンスの大きな会社なのではないでしょうか」(採用担当者)
長期収入サポート制度(疾病等によって休職・退職となった場合に収入を支援する制度)や育児休暇・時短制度、人間ドックレベル以上の健康診断の実施など、ワーク・ライフバランスを支える制度も充実しており、誰もが長く安心して働ける環境が整えられている。
物販からサービスへの事業拡大、海外でのさらなる飛躍を目指す

お客様との対話を重視した販売姿勢

ピアスタワー(大阪本社)
美容と健康をキーワードにこれまでにも様々な事業展開を行ってきたピアスグループ。現在も、大学をはじめとする研究機関との連携によって、予防歯科に貢献する「ウエルテック」や皮膚科治療補助製品を扱う「グラファ ラボラトリーズ」などの製品開発に取り組み、医療分野への積極的な事業展開を行っている。また、特に力を入れているのが「有形(物販)」から「無形(サービス)」への事業拡大。ホテルや百貨店を中心に展開する直営エステティックサロン(「カージュラジャ」)の運営や、新規化粧品の日本展開(「エリザベス・アーデン」)、米国ビバリーヒルズ発祥のアイブロウサロン(「アナスタシア」)などの事業も開始しており、今後もメーカーの枠を超えて事業領域を拡大していく予定だ。
海外進出にも50年の歴史を持ち、「カバーマーク」「ケサランパサラン」「アクセーヌ」「オリリー」といったブランドを中国・台湾・香港・タイ・シンガポール・韓国・フィリピン・インドネシアといったアジア各国を中心に展開している。今後も、特に市場拡大が期待される中国での展開に力を入れていく予定だ。2007年にはニューヨークに米国販売会社を設立。米国最大の化粧品チェーン「セフォラ」で、マスカラ「デジャヴュ ファイバーウィッグ」が化粧品単体売上で一位となるなど順調に売上を伸ばしている。
事業領域の拡大や海外展開など、積極的な挑戦を続けるピアスグループだが、これからもお客さま重視の姿勢は保ち続けていくとつもりだと採用担当者は語った。「製品の良さを宣伝・広告によってではなく、お客様と直接のやり取りを通じて伝えていくという姿勢は、今後もピアスグループの基本であり続けると思います」
流行・経験・勘などに頼らない徹底したマーケティング、時間をかけた製品作り、そうして完成したピアスが誇る製品を直接お客様に提供すること。これらから伝わってくるのは、堅実で誠実なピアスの姿勢であり、この点こそが同社の最大の魅力だろう。むろん、堅実なだけでなく、新たなフィールドに挑戦しつづける姿勢も同社の魅力。安心して働ける環境で、真摯に仕事に取り組みたいと考える、挑戦意欲の高い人材に、ぜひチャレンジしてほしい会社だ。
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