株式会社アイティアイディコンサルティング

株式会社iTiDコンサルティングは、製造業における設計・開発部門のコンサルティング業務を目的としてISID（電通国際情報サービス）と米国のエンジニアリングコンサルティング会社であるITIとの合弁により設立された会社である。

2001年当時、製造業界においてもIT化による業務改善は進んでいたものの、反面、システムだけでは解決できない問題も明るみに出てきていた。例えば、全ての製造工程を把握する機会のないエンジニアが増加することによってトータルで見た業務効率が落ちているケースなど、人や組織の状況を含めた業務プロセスの改善が求められていた。

製造業向けにソフトウェアとその導入・活用のための技術支援を提供してきたISIDはそこに着目し、システムありきではなくシステムを施策の一部として含めた業務改善を提供するビジネスモデルを考えた。そして製造業からの信頼厚いISIDと、当時すでに業務提携をしていたITIのコンサルティングスキルを掛け合わせ、製造業界のコンサルティングを主力業務とする同社の設立に結びついたのである。

日本の製造業を元気にしたい、との想いから設立された同社。日本経済活性化のための「開発・設計」の現場の活性化、それが同社のミッションである。

同社の強みはそのメソドロジー（方法論）にある。製造業に特化した数々の業務実績、様々な事例に対処してきた同社に蓄積されたノウハウによるメソドロジーである。特筆すべきは約4000名のアンケート結果をもとに開発した「iTiD INDEX」を用いた現状分析だ。これによりクライアントは開発プロセスにおける強み・弱みを把握するのだが、この分析の精度がその後の施策の策定や活動結果の評価を大きく左右する。「iTiD INDEX」はそのサンプル数の多さによる精度の高さがその後の的確な施策策定と施策導入成果につながり、企業の信頼を勝ち取ってきた。また施策導入においては、事例を重ねるなか汎用性の高い施策に関してはメニュー化して提供する体制も整えており、効率的な施策提供も可能としている。こうしたメソドロジーの提供が、他社との比較の際、勝因として挙げられる。「当社のメソドロジーは常に進化し、領域を拡大している。そしてもちろん今後も進化し続けます」（北山社長）。

設立以来、自動車、事務機、家電、精密機械、制御機器など製造業界の数多くの企業を手掛け、大手企業との付き合いも多い。手掛けたクライアントによって紹介された企業からの依頼も少なくない。これは同社のメソドロジーを体感した結果である。

業務はクライアントとの共同作業が基本となるため、先方で就業するケースが多く、2～5名のチーム編成であるが、ある程度経験を積んだコンサルタントであれば案件によっては1名で携わるケースもある。プロジェクトの期間は通常2～5年である。現在は年3～4件の新規案件を受注している。今後は衣料や化粧品など広い意味での製造業をターゲットとした業務展開も進めていく。そのためにも現在約40名のコンサルタント人員を3年後には約60名規模まで増員し体制を整えていく。また、特定のクライアントに対するコンサルティングサービスの提供に加え、近い将来は例えば社員育成のためのカリキュラムを提供するような教育ビジネスなど、クライアントを特定しないサービスの提供も検討していく。

同社コンサルタントに求める要素は、問題を見極め、解決する能力である。製造業の設計出身者も多いが、問題解決能力のポテンシャルが見受けられれば出身業界は問わない。新任コンサルタントは、内部・外部研修のほか、実際にクライアント社員と共にプロジェクトを進めることによって現場を肌で感じ、業務スキルを体得していく。また、担当以外の様々な案件を見る機会を設け先輩の取り組みを間近で勉強することで、個人のノウハウ構築を進めている。

加えて「組織への貢献もコンサルタントに求める要件である」と社長は語る。前述した同社の強みであるメソドロジー構築は個人の経験だけでは不可能だ。社員のノウハウ共有が不可欠であり、そうすることで個人と企業の成長に結びつく。そこでクライアント先での就業時間が大半を占めることによるコミュニケーション不足を解消するため、月曜日は原則全員出社日とし情報共有の場を設けている。

プロジェクト遂行には個人の能力に加えチームワークが重要だ。社内のコンサルタント間のチームワークだけでなく、クライアントを含めたチームワークである。クライアントの現場担当者との信頼関係を構築するまでのハードルは低くはないだろう。しかしそれを乗り越え、業務改善という一つの目標に対する歩調が揃い、共に結果を体感する喜びはひとしおである。

チームを意識してプレーし、プロジェクトが成功して初めてコンサルタント個人の評価に結びつくのである。

同社は春と秋の年2回に湯沢や小田原にミーティングと懇親会を兼ねたキックオフを実施している。そのほか、業務外活動として「iTiDチャンピオンシップ」と題したボーリングやゴルフなどのスポーツを実施する機会も頻繁に設けられている。同社のチームワークはこうした業務外の場を共にすることによっても養われ、効率的な業務遂行に結びついている。