ユニ・チャーム株式会社

「ユニ・チャーム」の事業は大きな4つの柱で成り立っている。1つ目はベビー用紙オムツを中心とした『ベビーケア』、2つ目は介護用オムツや超立体マスクなどの『ヘルスケア』、3つ目は生理用ナフキンやタンポン、パンティライナーなどの『フェミニンケア』、そして4つ目が掃除用シートやキッチンペーパー、ウエットティッシュなどの『クリーン＆フレッシュ』である。

創業は1961年。不織布吸収体事業において後発組であるにもかかわらず、今やベビーケアは国内シェアの約50％、フェミニンケアは約40％、ヘルスケアは約50％を占め、業界トップに君臨している。なぜ、同社の商品はこれほど多くの人々に支持されているのだろうか。

「“不快を快に”という理念の下、常に最高の満足をお届けできるよう、お客様に密着して考え、創り上げてきた究極の顧客志向の結果だと思います。」と同社グローバルSAPS人材開発部・松浦氏。

中にはこれまでの、私達の生活を一変させてしまった商品もある。
例えば、1992年に発売された世界初のパンツタイプのオムツ「ムーニーマン」。活発に動き回る月齢の赤ちゃんのオムツ交換は母親たちにとって大変な作業だった。しかし、パンツ型で簡単にはかせることができるムーニーマンの登場で、育児の手間は大きく軽減し、女性の社会進出にも大きく貢献した。

また、1995年に発売の「ライフリーリハビリパンツ」は、高齢者が自分で上げ下げできる初めての紙オムツとして業界に一大旋風を巻き起こした。それまでは｢高齢者は寝たきりにさせておくのが良いこと。オムツ交換は介護者の仕事｣という考え方が一般的だった。しかしリハビリパンツを使い、自分で排泄リハビリテーションを行うことで、寝たきりの高齢者の数が激減した。また同時に介護者の負担も軽減されることに――。リハビリパンツがきっかけとなり、それまでの誤った常識が打ち破られ新しい常識･新しい介護が始まったのだ。

同社の商品開発は、グローバルマーケティング本部と商品開発本部の二者で協力しながら行うのが基本。グローバルマーケティング本部では“ブランドマネージャー制度”を取り入れ、2～3人のチームで1つのブランド（または商品）に携わる。「消費者がどんな商品を望んでいるかの徹底的な調査や、コンセプト・ターゲットの設定から始まり、商品開発本部と連携を取りながら実際の商品づくりを進め、予算管理、販売方法やパッケージの決定、広告宣伝までを一貫して手掛ける体制です。ひとりひとりに任される権限も大きく、20代でブランドマネージャーを任されている者や、配属2年目で数百億円規模のブランドを任されている者もいる。

近年、同社は海外展開に力を入れ、2008年8月現在、海外24カ国以上に拠点を持ちアジア、インド、中東諸国、北アフリカ、アメリカなど世界78以上の国・地域で紙オムツや生理用品などを提供している。海外でもユニ・チャーム商品の支持は高く、既に中国・タイ・インドネシアなど複数の国でNo.1シェアを獲得している。

人気の理由は、日本で培ったマーケティング力と商品開発力を駆使して、国ごとに異なるライフスタイルや習慣を徹底的に調査し、それに合わせたきめ細かい商品展開をしていること。
「例えばタイでは、赤ちゃんのオムツ替えは1日2回程度が普通。そのため吸収量が多くて、リウェットが少ない紙オムツを採用しています。」と松浦氏。インドネシア向けには、所得が高くないお客様でも購入できる比較的安価で基本機能をしっかりと満たしたオムツ作りにも取り組んでいるという。

2008 年現在、同社の海外売り上げ比率は約35％だが、2010年には約50％まで引き上げること。また、業界世界トップ３に入ること。それが同社の当面の目標だ。「世界中の人々に豊かな生活を提供したい、そんな思いで、全社一丸となってチャレンジしている真っ最中です。」と松浦氏は言う。

2008年8月現在、同社の従業員数は967人で、グループ社員は6000名以上。平均年齢は39歳。全社の男女比は7対3だが、グローバルマーケティング本部や本社スタッフは女性の割合が多く、男女半々という構成だ。

中途採用は年に10人前後受け入れている。「部署によって期間は異なりますが、独自の新入社員向け教育システムを用意しています。マーケティング部門の研修は1～3ヶ月間で、当社のマーケティングの定石や歴史を学び、勝ちパターンや戦略をしっかり学んでいただきます。また中途入社者には先輩社員がインストラクターとして付き、1年間、業務の中で様々な指導を行います」。

同社ではどんな人材を求めているのか――。「好奇心や成長意欲の旺盛な人がいいですね。また1つ1つの商品から消費者の生活や習慣、そして文化までを変えていこうという熱い想いを持った人材を求めています。」と松浦氏。

同社には創業当初から受け継がれている「3つのDNA」と呼ばれる企業精神が育まれている。

（1）「尽くし続けてこそNO.1」
　　　･･･常に最高の満足をお客様にお届けできるよう尽くし続けてこそNO.1になれる
（2）「変化価値論」･･･変化こそ新しい価値を生む
（3）「原因自分論」･･･物事の原因と責任は全て自分にある

この「3つのDNA」こそが、同社の発展を支えてきた源なのかもしれない。
国内に海外に、多彩なキャリアチャンスが広がっている同社。自分の力を試してみたい人、キャリアアップしたい人には最適のビジネスステージといえよう。