イメージ情報システム株式会社

1975年からクライアント企業の業務改革に携わってきた老舗の独立系SIerが、次世代のシステム開発に適応すべく、進化を遂げようとしている。2017年10月に設立されたイメージ情報システム株式会社は、50年の歴史を持つイメージ情報開発株式会社の子会社であり、親会社の事業を引き継ぐ形でシステム開発を継続している。

独立系SIerとして、特定のメーカーやプロダクトに縛られず、クライアントにとって最適な技術を選択・提案できるのが同社の強み。大手企業や官公庁、各種団体との取引も多く、柔軟な対応力と技術力で信頼を築いてきた。

「近年、事業会社のITリテラシーが高まり、ベンダーロックを避ける傾向が強まっています。当社は、前身の親会社時代から一貫して独立系SIerとして、お客様にとって最適なシステムの開発・運用を提供してきました。お客様と同じ目線に立ち、ITによる課題解決のスペシャリストとして、最適解を共に考え、実現する。そうした姿勢が、幅広い取引に繋がっています」（代表取締役社長・半田基実氏）。

同社では、システムインテグレーション事業と並行して、BPO（ビジネス・プロセス・アウトソーシング）サービスも展開。会員管理やコールセンター運営等の業務を請け負い、ITシステムの導入によって業務効率化とコスト削減を実現している。

「BPO事業が当社の祖業に当たり、業務効率化のためにシステムインテグレーションを始めたという背景があります。業界のドメイン知識が蓄積されることで、システム開発との相乗効果が生まれています。長年の付き合いがある企業も多く、当社の安定成長を支えてきた事業です。今後もBPOとシステム開発を組み合わせることで、他社との差別化を図っていきたいと考えています」（半田氏）。

さらに同社では、システムインテグレーション事業で開発したシステムをパッケージ化し、ソリューションとして提供する事業も進めている。IT業界では、クラウドサービスや既存パッケージを活用することで、フルスクラッチ開発に頼らない選択肢が増えており、同社もその流れに対応している。

「自社開発のパッケージを展開するほか、クラウド型ビジネス管理ソフトウェア『Oracle NetSuite』やオープンソースのビジネスアプリケーション『プリザンター』等の導入支援も行っています。OCR、RPA、ノーコード開発ツール等、お客様にとって必要なものを柔軟に提供する。それが独立系SIerとしての私達の価値だと考えています」（半田氏）。

SIerのビジネスモデルは、クラウドサービスの登場によって大きく変化している。従来のように、オンプレミス環境でウォーターフォール型のフルスクラッチ開発を行い、システムを納品して保守・運用するという価値提供から、クライアントのビジネスを深く理解し、クラウドサービスやパッケージソリューションを活用しながら業務課題を解決するパートナーへ。今、SIerにはそんな役割が求められている。

同社も、こうした新しいSIerの在り方にキャッチアップすべく、ビジネスモデルの転換を進めている。2024年2月には、WEB業界で数々のサービス開発を手掛けてきた半田氏が代表に就任。安定成長を続けてきた守りの経営から、積極的な事業拡大と成長を目指す攻めの経営へと舵を切ろうとしている。

「良くも悪くも安定経営が当社の従来の戦略。そのおかげで、50年以上の長きにわたって事業を続けてこられたと思っています。しかし、社会の流れもIT業界のトレンドも急速に変化する中で、10年先、20年先を見据えた新規事業の立ち上げと組織変革の必要性をグループ全体で感じています。営業チームを組織化し、エンドユーザーと直接取引できる環境の構築を目指しています」（半田氏）。

半田氏は、親会社の経営企画も兼務しており、グループ全体の新規事業企画を担当。AIやIoT等の最新技術を活用するスタートアップへの投資を推進し、M&Aも含めて子会社を増やしながら、多面的なサービス提供が可能なグループ体制を目指している。

「AIやIoTを活用したサービスを開発するスタートアップを子会社化し、今後も将来性のある企業への積極投資を続けていきたいと考えています。当社も、若手エンジニアが活躍できる会社へと生まれ変わらせ、次世代のシステム開発へと進化させる計画です。そのためには多彩な人材が必要であり、SI業界だけでなくWEB業界で活躍するエンジニアも広く募集しています」（半田氏）。

さらにイメージ情報開発の子会社・関連会社では、若手エンジニアへの投資の一環として、フリーランスエンジニアの法人設立を支援する事業も計画している。優秀な人材が会社を設立することで、提供できる価値を高め、グループ全体のシナジーに繋げる狙いがある。

「優秀なフリーランスエンジニアの起業をバックアップすることで、グループに新たな力を加えたいと考えています。フリーランスとして活躍するよりも、会社を設立して部下を育てることで、提供できる価値は数倍になります。もちろん、単独で起業するにはリスクもありますが、グループが支援することでそのリスクを軽減し、若手エンジニアが活躍できるフィールドを広げたいです。当社で活躍するエンジニアにも独立をバックアップする用意があります」（半田氏）。

ビジネスの世界で豊富な経験を持つ半田氏をトップに迎え、新しいSIerへと生まれ変わろうとしている同社。社員の働き方や待遇面も大幅にアップさせ、社員満足度の向上を目指している。

優秀なエンジニアを迎え入れるため、同社は給与テーブルの見直しを実施。市場価格を意識した給与設定にすることで、激化する採用市場での競争力を高める狙いがある。

「優秀なエンジニアを獲得するには、満足できる収入を提示する必要があります。そこで、提示できる給与額を上げるため、既存社員の給与をベースアップしました。他社とのエンジニア争奪戦に勝つためには、エンジニアの市場価格を意識しなければなりません。新規で入社するエンジニアとの間に齟齬が発生しないように、既存社員の給与を引き上げました」（半田氏）。

社員数50名規模の同社だが、親会社が東証グロース市場に上場していることもあり、待遇面でのサポートは手厚い。出産・育児支援制度、時短勤務制度、介護休暇制度等が整備されており、女性社員が長く働ける環境も整っている。

「元々、社員の生活サポートが手厚い会社です。女性社員のライフイベントを支える制度も充実しており、そのためか、女性社員比率が高いのも当社の特徴です。8割の社員がリモート勤務をしており、月に数回出社するだけです。在宅勤務の社員には電気代の補助が出る等、手当も充実しています。今後もリモートワークを活用していきたいと思っています」（半田氏）。

社員の平均年齢は45.7歳、平均勤続年数は17年。過去3年間で新卒社員の退職者はゼロ。社員が長く働き続ける居心地の良い会社だからこそ、達成できる数字だと言える。安定した経営が、社員の安心感に繋がっている。

「旧態依然としたところもある会社ですが、財務状況も良好で、社員にとって働きやすい会社だと感じています。しかし、今後も恵まれた状況を維持するには、変革が必要なのです。そのためには、外部の人材が不可欠です。新しい風を持ち込んで、当社の良いところを残しながら、もっと強く働きやすい会社を一緒につくり上げましょう！」（半田氏）。

安定経営で築き上げた土台を維持しながら、新しいSIerへと生まれ変わろうとしている同社。チャレンジ歓迎のカルチャーを醸成して、エンジニアがキャリアアップを実現する会社を目指している。