株式会社dToshを設立するまでのキャリアは?
もともとは高校の教員を目指し、大阪教育大学の情報系学科に進学しました。ただ、在学中に家庭教師や塾講師として働く中で、決まった内容を繰り返し教えることに違和感を覚えるようになりました。教えること自体は好きでしたが、自分が教壇に立つよりも、「教える人が活躍できる仕組みをつくる側」に回りたいと考えるようになったんです。そこで、その仕組みを実現する手段としてITを選び、奈良先端科学技術大学院大学へ進学しました。 大学院ではソフトウェア工学やAIの研究に取り組み、カナダのMcGill 大学への留学や国際会議での発表も経験しました。さらに博士課程へ進み、エンジニアとしての専門性を高めていきました。その後、世界的な産業用ロボットメーカーの米国研究所に採用され、ロボットの品質管理に関する研究に従事しました。 ただ、そこで大きな転機が訪れます。研究チームが組織再編によって解体され、「どれだけ高度な研究でも、ビジネスと結びつかなければ価値として評価されない」という現実を突きつけられたんです。この経験を通じて、技術だけでなく、現場や顧客の課題と向き合いながら価値を生み出せるエンジニアでなければ生き残れないと考えるようになり、帰国後に起業しました。
株式会社dToshを創業した背景と、現在の事業に至るまでの経緯は?
起業の原点は、アメリカでの研究経験にあります。産業用ロボットメーカーの研究所で最先端の技術開発に携わる中で、「技術だけでは価値にならない」という現実を強く実感しました。研究チームの解体を経験し、ビジネスや現場と切り離された技術は継続的な価値を生み出せないと気づいたんです。そこから、「現場の課題という一次情報を起点に価値を出せるエンジニアを育てたい」と考えるようになりました。 創業当初はコロナ禍ということもあり、デジタル教育やツール開発等、様々な事業に挑戦しましたが、プロダクト単体での勝負の難しさにも直面しました。特にAI領域は進化が早く、ツールはすぐに陳腐化してしまう。その中で、「何が価値の源泉なのか」を考えたときに行き着いたのが「人材」でした。課題を発見し、解決できる人がいれば、どんな環境でも価値は生み出せると考えたんです。 現在は、AI人材の育成とSES事業を組み合わせた形にシフトしています。単なるSESではなく、クライアントの現場に入り込み、一次情報をもとに課題を捉え、AIを活用して価値を出す。そうした“フィールド志向”のエンジニアを育てることが、事業の軸になっています。
dToshではどのようにエンジニアを育成しているのでしょうか?
当社の育成で最も重視しているのは、「現場を通じて価値を出せる人材を育てること」です。座学中心の研修ではなく、実際のクライアントワークの中で課題に向き合いながら成長していくことを前提としています。エンジニアにとって重要なのは知識の量ではなく、「課題をどう捉え、どう解決するか」という力だと考えているからです。 具体的には、スキルや志向に応じて案件をアサインしつつ、単に業務をこなすのではなく、「なぜこの開発が必要なのか」「どこに本質的な課題があるのか」を考えることを求めています。また、AIの活用も前提としており、開発効率だけでなく、課題整理や意思決定の質を高めるためのツールとして活用しています。 キャリアとしては、開発経験を積みながら上流工程へと関わりを広げ、最終的にはコンサルタントとして価値を発揮できる状態を目指します。そのためにも、現場で顧客と向き合いながら経験を積むことを重視しています。こうした実践を通じて、自ら価値を生み出せる人材へと成長していくと考えています。
どのようなエンジニアと一緒に働きたいと考えていますか?
最も重視しているのは、「成長したいという意欲」と「素直さ」です。これからの時代はAIの進化によって学び続けることが前提になるため、自分のやり方に固執するのではなく、一度受け入れて試してみる柔軟さが重要だと考えています。素直に学び続けられる人ほど、結果的に成長も早いと感じています。 また、コンフォートゾーンから抜け出せるかどうかも大切です。「この領域だけやりたい」といった状態に留まると成長の幅は限定されてしまいます。一方で、多少負荷のある環境でも挑戦できる人は、短期間で大きく成長していきます。特に若いうちは、あえて難しい環境に身を置くことが重要だと思います。 加えて、クライアントワークに対して前向きであることも重要です。現場に入り込み、顧客の課題に向き合いながら価値を出すことにやりがいを感じられる方は、当社の環境にフィットします。SESという形の中で「どう価値を出すか」を考えられる方と、一緒に働きたいと考えています。
リモートワークが広がる中で、エンジニアはどのように働き方と向き合うべきだと考えていますか?
リモートワークは、働き方の自由度を高めたという点で非常に価値があるものだと思っています。一方で、それだけで完結する働き方には限界があるとも感じています。特にエンジニアとして価値を高めていく上では、「一次情報に触れること」が重要です。ユーザーの課題や現場の空気感といったものは、実際に足を運び、対話する中でしか見えてこない部分が多いと考えています。 これからの時代、価値を持つのは「一次情報を取りに行ける人材」です。AIの進化によってコーディングのハードルが下がる中で、課題そのものを定義できる力の重要性はさらに高まっていきます。そのためには、現場と向き合い続けることが欠かせません。 そうした考えから、当社では基本的に出社前提の働き方を取っています。これは単なるルールではなく、エンジニアが本質的な価値を発揮するために必要な環境だと考えているからです。現場に入り、一次情報をもとに課題を捉え、解決していく。その経験を積むことで、エンジニアとしての市場価値は大きく高まります。自分の市場価値を高めたい方と、ぜひ一緒に挑戦していきたいと思っています。
