デザインパラドックス株式会社

「見えないものをデザインする」をMissionに掲げ、顧客の真の課題解決を追求するデザイン設計集団がある。株式会社デザインパラドックスだ。同社は従来の「制作会社」の領域を超え、企画・戦略の最上流からデザイン実装までを一気通貫で手掛ける「デザイン会社」として事業を展開している。

代表取締役の藤井一保氏は、デザイン会社での営業兼ディレクター経験を持つ。藤井氏がこのMissionを掲げる背景には、前職での「テンプレート的」な制作方法に、「本当にそれは課題解決をできているのか」という疑問を抱いた原体験がある。

「それを自分の会社でやるのであれば、そういった課題に向き合って対応していくというところをやりたいと考えました。それがきっかけで“見えないものをデザインする”というMissionを考えさせていただきました」と藤井氏は語る。

また、「異端は、最先端に」というVisionには、世の中にないものを作ることは「異端児扱い」されがちだが、それを追求することで業界のトップに立てるという信念が込められている。

同社の事業の核は、自らを「制作会社」ではなく「デザイン会社」と定義している点にある。制作会社が「要件の仕様書」に沿って手を動かすのに対し、デザイン会社は「要件書を作るための設計をする機関」であると定義し、企画・戦略という上流工程を担う。

同社は、Web、映像、グラフィックといった多領域のデザイン実装までを社内で一貫して行うことで、企画段階の熱量をクリエイティブに直結させ、真の課題解決を目指しているのだ。

Valueである「疑い続ける」「向き合い続ける」「こだわり続ける」は、顧客への提供価値としてプロジェクトに運用される。特に「こだわり続ける」ことについては、コストや時間といった制作の制約に直面した際にも、全員で最善を尽くす姿勢を意味する。

顧客との密な連携において、同社が重視するのは「言語化」だ。デザインの良し悪しが個人の「好み」に左右されることを避けるため、制作の前提条件となる「かっこいいの定義」等を言語化し、評価軸を統一することで、顧客の納得感を得る工夫をしている。

藤井氏は、「言語化するというところに関しては、私も含めて他のメンバーもかなり慎重に取り扱っているところだと考えています」と、プロとしてのこだわりを語った。

今後の挑戦としては、自社サービスの開発を検討している。これは、サービス運用経験の蓄積による顧客支援領域の拡大と、サービスを通じた社外コミュニティの形成、そしてそれが情報発信源となることを見据えてのものだ。同社は、これからも本質的な課題解決を追求することで、デザイン業界の「最先端」を走り続けるだろう。

同社の事業は、「制作会社」ではなく「デザイン会社」と定義される点にその強みがある。これは、企画戦略フェーズから制作実務に至るまでの一貫したコンセプトの追求と、少数精鋭による高効率な課題解決という具体的な優位性を生み出している。

また最大の競合優位性は、企画戦略に対する制作物の一貫性の担保だ。この一貫性は、企画と制作を分断せず、高い熱量を保ったままコンセプトをクリエイティブに落とし込む同社の体制によって実現される。

他社が真似しにくい要因は、少数精鋭の組織体制にある。これにより、採算性から他社が避けるような、顧客の潜在的な課題を深く抽出するための綿密なヒアリングや、戦略企画フェーズへの徹底的な注力が可能なのだ。

同社は事業を「クリエイティブ領域（戦略）」と「デザイン領域（制作）」に明確に区切り、前者を重視している。クリエイティブ領域（現状分析、コンセプト開発等）でしっかりと課題発見の解像度を高めることが、デザイン領域の制作クオリティを最大化させると考えているためだ。

「特にこのクリエイティブ領域というところを我々は非常に重視しています。この解像度が高ければ高いほど、我々はデザイン領域で行う制作のクオリティが上がるという風に考えています」 （藤井氏）。

この戦略的な深掘りが、クライアントに「自分たちの課題把握ができる」というメリットをもたらす。同社はコンサルティングではなく、制作を通じて企業の悩みや課題の「それが起きている理由」を追求し、本質的な解決へと導いているのだ。

さらに、同社のValueである「疑い続ける・向き合い続ける・こだわり続ける」が、メンバーの行動を自ずとブランドの世界観として確立させている。この姿勢は、KPIやKGIが曖昧なクライアントに対しても、解決後の理想像を言語化することで共通認識を生み出し、例えばWEB制作の相談でもチラシの方が最善であればそれを提案する、といった柔軟かつ最適な手段の選択を可能にしている。

今回の採用は、組織基盤の拡大と安定が主軸にある。これまでの現場レベルの採用から一歩進め、組織を支える中核人材を求めている。特に、多様な業界知見やマネジメント経験を持つ人材を迎え入れ、小規模組織ならではの組織づくりに参画してほしいとの思いが強い。

求められる人材は、中長期的にマネージャーポジションへの成長を期待されている。まだ5名体制のため、組織のレイヤーを上げる段階として、将来的にメンバーを率いる役割を担うことができる人材を重視しているのだ。

同社のメンバーは、クリエイティブを追求し、社風として自分のこだわりを表現できる自由な環境にひかれてジョインする人が多いという。平均年齢は28～29歳と若く、フレックスタイム制やリモートワークOK等、ラフでカジュアルなオフィス環境も魅力だ。

同社の特徴は、代表の指示を待つのではなく、メンバーが目標に対して自立的・主体的に行動する柔軟な組織体制にある。藤井氏は、この体制を「ティール型組織」に近いと表現している。各メンバーが会社のMissionや売上目標に対し、自ら判断し行動することが求められるのだ。社長からの指示を待つのではなくて、個人レベルで判断して動くことが必要とされる。

事業は多領域でのディレクションに挑戦し続ける姿勢を重視しており、メンバーには「何事にも挑戦する」マインドセットが求められる。また、モチベーション向上策として、自社で納得のいくクリエイティブは広告賞への出展を検討する等、クリエイティブ好きの心をくすぐる工夫も凝らしているという。

同社は、今後も制作を軸としつつ、この組織づくりに興味があり、小規模な会社の成長を間近で見たいという人材のジョインを歓迎している。

「小規模な会社を大きくしていく成長の様を見ていきたい――そういう想いを持つ人がいらっしゃったら、特に弊社では相性がいいのではないかと思うので、ぜひ積極的にアプローチしてほしいと願っています」（藤井氏）。