株式会社ICT-O

株式会社ICT-Oは、「かかわる人をハッピーに」という理念の下、働く人が誇りを持って成長できる環境づくりを重視するSES企業である。2018年、システムエンジニアとして現場経験を積んできた代表・小幡達也氏によって設立された。

小幡氏は商社系SI企業を経てフリーランスとして活動する中で、個人の裁量を生かして働ける自由を得た。その一方で、「一人でできることの規模感」に限界を感じるようになったという。プロジェクト単位で動く働き方は、役割が細分化され、歯車の一部として関わる実感が強まった。長期的なキャリア像を描く上でも、個人では挑戦できる範囲に制約があると感じたことが、法人化を決める一つの転機になった。
「仲間と組織として動くことで、提供できる価値は広がるのではないか」
そうした思いを起点に、エンジニアが継続的に価値を生み出せる場として同社を立ち上げた。創業当初は2名体制だったが、4期目以降は正社員採用を継続的に行い、組織は着実に拡大。案件依頼が増え続ける状況を踏まえ、3か年計画として10期目に100名規模の体制を目指している。

同社が掲げる「かかわる人をハッピーに」という理念は、社員との対話を通じて形づくられたものだという。エンジニアが自分らしく働ける環境を整え、その成長を支えること。誠実に顧客と向き合い、信頼を積み重ねること。こうした姿勢を制度や運用に落とし込むことで、理念を組織運営の軸に据えている。
例えば、待機期間であっても基本給を全額補償しており、不安が生じやすい業界特性に対応した仕組みを整えている。また、案件アサインの際は本人の希望やキャリア志向を丁寧にヒアリングし、無理な配属を避ける運用を徹底。短期的な利益よりも、社員の納得感と長期的な信頼構築を優先する方針が同社の特徴である。

小幡氏は、「エンジニアが安心して働ける環境でなければ良い価値は生まれません。まずは社員が不安なく業務に集中できる状態を整えることが、最終的にはクライアントへの貢献に繋がると考えています」と語る。理念と実践が地続きになっている点こそ、同社が持続的に成長してきた背景である。

同社が重視しているのは、エンジニア一人ひとりが「納得して働けること」である。そのために、案件アサインでは希望条件や技術領域、将来のキャリア像を丁寧にヒアリングし、本人の意思を尊重したマッチングを行っている。営業担当とエンジニアが密に情報を共有し、希望に沿わない案件は無理に提案しない方針を貫いている。
面談後には必ず本人の意思を確認し、納得できない場合は提案を見送ることもある。小幡氏は「本人が前向きに取り組めない案件をお願いしても、結果的に誰も得をしない」と語る。この考え方が、心理的安全性と信頼関係の基盤になっている。

働き方の柔軟性も特徴である。同社のエンジニアの約9割はリモートワークで勤務し、通勤負担を軽減しながら効率的に働ける。リモート中心でも孤立しないよう、社内チャットでのコミュニケーションを活発にし、代表への直接連絡も歓迎されている。営業やグループリーダーが定期的に面談を行い、現場での悩みやキャリア相談に対応する体制も整えている。

また、エンジニアが本来の業務に集中できるよう、事務作業の効率化にも力を入れている。プロジェクト側と社内で二重管理になりがちな勤怠管理や経費処理については専用ツールを導入し、スマートフォンのアプリから簡単に申請できるようにしている。日々の手間を削減することで、より価値の高い業務に時間を使える環境を実現している。

さらに同社では、報酬の透明性を高めるために「還元率」を重要な指標として開示している。
SES業界では還元率の定義が企業ごとに異なり、会社負担分の社会保険料や交通費を還元率に含めて数字を高く見せるケースも少なくない。
同社はこの点を明確にするため、表面還元率と実質還元率の2種類に分けて公開している。表面還元率は会社が負担する費用も含めた割合を指し、実質還元率は案件単価のうち「実際にエンジニアの給与になる部分」を示す数値である。エンジニアが知りたい“手元に戻る金額”を正確に把握できる仕組みだ。
また、案件単価と還元率を組み合わせた給与テーブルを全社員に公開しており、入社年次に応じて翌月から還元率が毎年1％ずつ上昇する制度を採用している。給与テーブルは公式動画チャンネルでも公開されており、同社の報酬体系が誰にとっても理解しやすい形で提示されている点は特徴的である。

こうした仕組みの根底には、一貫して変わらない誠実な経営姿勢がある。エンジニアが安心して働き、自らの意思でキャリアを選び取れる環境を整えること。それが結果的に顧客への高品質なサービス提供に繋がるという考え方である。

本社オフィスは落ち着いた雰囲気があり、必要なときに声をかけやすい風通しの良さがある。社員からは、小幡氏について「フットワークが軽い」「怒らない」「相談しやすい」といった声が多く挙がる。業務や相談に対してすぐに動く姿勢が信頼に繋がり、心理的な安心感を支えている。小幡氏自身も「同僚として接してほしい」と語っており、代表のフラットなスタンスがそのまま会社全体の空気を形づくっている。

コミュニケーションの取り方には個人差があるが、そのスタイルは尊重されている。交流を楽しみたい人も、静かに業務に向き合いたい人も、自分に合ったペースで働くことができる。オンライン・オフラインを問わず交流の場は設けられているものの、参加はすべて任意だ。Slackの雑談チャットや月1回のオンライン懇親会等、必要なときに気軽に利用できる仕組みが整っている。
半年に一度の全社会では全国の社員が本社に集まり、オンラインだけでは得られない繋がりを補完する場となっている。交通費や宿泊費とは別に出張日当も支給され、地方在住者からも好評である。

福利厚生では、社員の声から導入された「チケットレストラン」が支持されている。会社が月3,500円を補助する食事サポート制度で、働き方を問わず利用しやすい点が評価されている。また、同社の文化を象徴する取り組みの一つとして「クエスト制度」がある。有給休暇の取得、勉強会参加、資格取得、チームメンバーへのサポート等、前向きな行動を“クエスト”として設定し、達成内容に応じてポイントを付与する仕組みだ。行動が可視化されることで称え合う文化が生まれ、社員が挑戦しやすい環境づくりに寄与している。小幡氏は「制度は使われてこそ意味がある」と語る。
こうした取り組みの積み重ねが、直近3年間の離職率0％という結果を生み出している。制度面と文化面の両方から安心感が支えられていることが、社員の定着に繋がっている。

この安定した組織基盤を前提に、同社は今後、受託開発への展開も視野に入れている。個人として価値を発揮するSES事業に加え、チームとして成果を出せる領域への挑戦を広げることで、エンジニアが選べるキャリアパスを増やしたい考えだ。100名体制を見据え、組織としての成長と個人の成長が同じ方向に進む環境づくりを進めている。

小幡氏は最後にこう語る。「社員のハッピーを願って、会社として丁寧にフォローしていきます。興味を持たれた方は、ぜひ一度お話しできればと思います」
制度と文化の両面から成る安心感の中で、エンジニアは自分らしいキャリアを築くことができる。同社は、エンジニアの挑戦と成長を支える企業である。