金融業界からIT業界へ転身されて起業までされました。ご苦労はありませんでしたか。
もちろん証券会社の営業とは全く違いましたのでギャップはありましたが、猛勉強して克服し、営業部長を任されるまでになりました。前職の会社は、私が入社した当時20名ぐらいでしたが、退職時には百数十名の規模にまでなっていました。 営業する上で意識してきたことは、エンジニアの思いを汲むことです。IT業界の営業が扱うのは人です。向き合うエンジニアがどのような仕事をしたいのか、どのようなキャリアを積んでいきたいのかといった意向を把握しながら、現場で困っていることは早めに吸い上げて、問題を未然に防ぐようにしていました。 ただ、会社自体は、私とは正反対の考え方でした。そのため採用から管理まで全て私自身で行っていましたが、リーマン・ショックを機に限界を感じて起業することにしました。元々は、前職の会社に骨を埋めるつもりで働いていましたが、それができる環境ではないことが分かったからです。私自身、家庭もありましたし、安心して長く働ける環境でなければ良い仕事はできません。みんなが長く働けるような会社をつくりたいと思い、2013年10月に起業しました。
創業から12年、どのような発展をされてきましたか。
当社は2名のエンジニアと一緒に立ち上げた会社です。自社のエンジニアだけではなく、パートナーの営業をして、営業手数料をもらいながら少しずつ拡大していきました。 当時から規模を追求する意識はありませんでした。何百人、何千人の会社にしたい、あるいは上場させたいといった気持ちになったことはありません。個人的にも、大金持ちになりたいといった欲求は全くありません(笑)。普通の生活ができればそれで良い。 今の日本は、その普通の生活をするのも大変な国ですが、それがずっと続けられる環境をつくりたいと思ってきました。少数精鋭で全員の名前と顔が分かる規模感と繋がりの中で、大儲けはできないかもしれないけど、全員がちょっと良い暮らしができ、それが長く続けば良い。 みんなが安心して長く働ける会社にしたい、という思いで会社を運営していて、気が付いたら社員が70名を超える会社になっていました。
エンジニアの皆さんにはどのように成長してほしいとお考えですか。
エンジニアは専門技術職なので、誰にも負けない最高の技術力を身に付けてほしいと考えています。ただ、最初はどういうキャリアを積んでいけばいいか分からないといったエンジニアも多いので、その場合はどんなプロジェクトにも貪欲に取り組み、幅広い経験を積みながら成長の道筋を見つけていってほしいと考えています。 それと同時に、お客様に寄り添って、お客様の問題を最高の技術力でしっかりと解決できる技術者になってほしいとも思っています。時折、お客様から開発のご依頼を頂いた際に、自身の技術的な興味や欲求を優先して、流行りの言語を使おうとするエンジニアを見かけます。しかし、それはお客様とは全く関係ありません。お客様には予算もスケジュールもありますので、自分が興味のある技術で作るという発想は許容できません。 どちらかというと、そこは会社が考えることです。エンジニアが将来どのようになりたいのか、どのような経験をしたいのかは、会社が吸い上げることが大事だと考えています。会社は“社員第一主義”で考えて環境を整えますので、社員は“お客様第一主義”で仕事をしてほしいと思っています。 エンジニア個人のキャリア形成は会社が寄り添って考えます。エンジニアは目の前のお客様に寄り添って最高の技術力で課題を解決する。この繋がりが大切だと考えています。
『きゃりぽ』や、アウトドア・レジャー事業等の新規事業に取り組む理由をお話しください。
日本は、人口が減り続け、少子高齢化が進行しています。人材不足や採用難といった問題が解消されることはおそらくないでしょう。そう考えると人材ビジネスからの脱却は意識せざるを得ません。その中で生まれたのが自社サービス『きゃりぽ』とキャンプ事業です。 『きゃりぽ』は、元々私がキャリアコンサルタントの資格を取ったことがきっかけでスタートしたサービスです。キャリアコンサルタントの資格を取るまでは、自分の経験した範囲の引き出しでしか社員の成長を支援できませんでした。しかしそれでは限界があります。社員が悩んだり困ったりしていることを、自分の経験だけではなく、理論的、客観的にサポートしたいと思っていた時に、キャリアコンサルタントという資格を見つけて取得しました。ただ、取得して感じた事は、残念ながらキャリアコンサルタントの認知度はまだまだ低く、キャリアコンサルタントだけで生計を立てている方が少ない事。これほど社会的意義の高い仕事なのに。そこで、弊社の得意分野であるITを活用して、キャリアコンサルタントの支援や普及活動のお手伝いが出来ないかと考え、このサービスを立ち上げました。 アウトドア・レジャー事業は、2025年夏にキャンプ場を買い取ってスタートしたばかりの事業です。キャンプ場は、極端に言うと、場所さえ提供すれば何もする必要がないサービスです。お客様がキャンプ場に来て、テントを立てて、料理を作って、楽しんで帰ってくれます。人の手はあまりかかりません。人材難、人材不足の中で、効率的な収益源の一つとなり得るでしょう。 また、キャンプ場の運営は福利厚生の一環にもなり得ます。将来的には、キャンプ場の施設を使って、テレワーク、リモートワークができるように整備していく方針です。セキュリティをはじめ、解決すべき問題があるため、すぐには実現できませんが、検討する価値は十分にあります。社員のストレス解消やメンタルケアに活用できればとも考えています。
中途採用のエンジニアに期待することをお話しください。また、メッセージもお願いします。
当社は新卒中心の採用を行っているため、20代の若いエンジニアが多い会社です。その一方で、若手を引っ張って、指導教育ができるマネジメント層が少ないことがウイークポイントです。キャリア層には、当社の弱い部分を補っていただきたいと考えています。人と接することが好きな方、当社の価値観やビジョンに共感できる方のご応募をお待ちしています。 現在は、転職が当たり前の時代ですが、転職には労力がかかりますし、必ずしも成功するとは限りません。結果的に転職なんてしなければ良かったと思っている人も少なくないはずです。 私は、採用する方には、骨を埋める気持ちで来ていただきたいと考えていますし、実際に当社は、“終の会社”として骨を埋められる会社だと思います。現状の3倍、4倍といった年収アップは無理かもしれませんが、エンジニアが良い人間関係、良い雰囲気の中で、やりたい仕事ができる。安心して長く働ける環境づくりをしてきた自負は持っています。それでもまだまだ不足している部分はありますので、社員の力も借りながら改善し続けたいと考えています。私達と一緒に、誰もが転職したくないと思える会社をつくりましょう。
