株式会社エーシーエス

栃木県足利市に本社を構える株式会社エーシーエスは、1978年の創業以来、地域に密着したITパートナーとして多岐にわたるサービスを提供し続けている。「地域の情報システム部」として、地元企業や公共団体のIT活用を支援してきた。

業務内容は極めて幅広く、業務システムにおいてはニーズに応じてスクラッチ開発・パッケージ導入の両方に対応。開発や導入だけでなく、運用・サポート・ネットワーク構築までワンストップで担うことで、「困った時はエーシーエスへ」という信頼感を地元に根付かせている。

ホームページ制作やホスティング、各種ハードウェア（サーバ、PC、LAN機器、OA機器）や業務用ソフトウェア（Office、Adobe Acrobat、CAD等）の販売・キッティング支援も行っており、企業のIT環境全体をフルサポートできる体制を構築している。

「1974年10月、足利商工会議所情報センターとして地元企業の給与計算をはじめとする各種電算処理業務を担う組織として設立され、1978年に『株式会社足利商工電算センター』が創業しました。それ以来、地域のITインフラを支える企業として、広範なサービス提供を続けてきました。パソコンが普及する以前から汎用コンピュータを備えて、IT技術の進化に合わせて地元企業の業務支援をIT面でサポートしてきました」（常務取締役・荒木哲也氏）。

業務システム領域に加えて、同社が強みを持つもう一つの柱が「医療向けシステム」の導入・運用支援。富士通製の医療事務システムや電子カルテ、介護事業者向けソリューション等を取り扱い、医療現場のIT化にも大きく貢献している。

「業務システム開発もソリューション導入支援も、エンドユーザーの直請け案件が大半です。お客様が欲しているシステムをただ開発するのではなく、当社の技術力で課題解決に繋がる提案を行うことで、地域のIT活用を推進しています。地元の病院や民間企業のみならず、市役所や学校の案件も数多く手掛けています。例えば足利市内の小中学校におけるGIGAスクール構想では、ネットワーク整備やタブレット納入を当社が担当しました」（荒木氏）。

地域に根ざした包括的なIT支援を通じて、同社は今なお、地元から頼られる存在であり続けている。

同社のグループ会社である両毛丸善株式会社は、栃木・群馬を中心に直営62カ所のサービスステーションを展開する、1954年創業の老舗企業。北関東で最大規模のネットワークを有しており、地域に根ざした事業基盤を持つ。

エーシーエスの起源は、隣接するグループ会社　両毛丸善のシステム部門にまで遡る。足利商工会議所や近隣企業が出資し、その部門を母体として会社がスタートしたという背景もあり、地元企業からは“気軽に相談できる安心の存在”として、高い信頼を得てきた。

「地方には保守的な考え方を持った企業もあり、IT活用に不安を感じている人達もいました。とりわけ、東京のIT会社に開発を依頼することに、心理的なハードルを感じる会社も少なくなく、地元の有力企業である両毛丸善のグループ会社である当社を信頼してくれています。特に、電話一本で駆け付けられる距離にあることは、お客様にとって安心できると聞いています」（荒木氏）。

そして今、同社は地域のIT活用をさらに進化させるためのチャレンジを本格化させている。2025年7月1日には研究開発部を立ち上げ、ノーコード／ローコード開発、RPA、BIツール、AIツール、プロンプトエンジニアリングといった先端技術の習得・研究をスタート。地域のDXニーズに対応するため、自社内に技術力を蓄積する体制を構築しようとしている。

「ノーコード／ローコード開発やRPA、あるいはBIツールやAIツール、さらにはプロンプトエンジニアリング等、これまで当社とは関係がなかった技術領域の研究を始めました。地域のIT活用をバックアップしてきた当社としては、近年の急速に進むデータ活用経営の技術力を社内に蓄積し、地元企業のDX推進をサポートできる体制を構築していきます」（荒木氏）。

深刻な人手不足が続く日本社会において、DXによる業務の省力化・自動化はもはや待ったなし。特に、地方の中小企業にとっては「事業の存続に関わる」重要課題となっている。一方で、都市部と地方の“ITリテラシー格差”は依然として大きく、技術導入を進める上での障壁となっているのも事実だ。

「地方の中小企業のDX推進には、地域のIT会社が大きな影響を与えると考えています。都市部のIT会社には任せられないという思いに応えられるのは、地域で一緒にIT活用を進めてきた私達のような地域IT会社です。ただ、これまでニーズが少なかったこともあって、新しい技術を積極的に追い求めてきませんでしたが、地域の明日を支えるために、当社は新しく大きなチャレンジを進めます」（荒木氏）。

同社は、地元企業のDX推進を牽引すべく、新技術への挑戦だけでなく、自社の組織改革にも本格的に取り組んでいる。外部から経験あるエンジニアを迎え入れ、組織に新たな風を吹き込もうとしている最中だ。

「創業から50年が経ちますので、どうしても組織に古い体質が残っているのは事実です。ただ、地域に新しい時代をもたらす先頭に立つためには、昔ながらのやり方だけに固執するわけにはいきません。これまでの良さを大切にしながらも、時代に合わせて必要な変化は柔軟に受け入れる。そんな組織を目指しています」（荒木氏）。

社内は、礼儀正しく温厚な人柄の社員が多く、清潔感のあるオフィスにはどこか懐かしい「昭和」の雰囲気が漂う。社員の居心地は良好で、平均勤続年数は15年以上。定着率の高さも、社風と働きやすさを物語っている。

「足利市でいわゆる組み込み系と呼ばれる生産設備密着型以外のIT企業と言える会社は、非常に数が少ないです。この土地で暮らしたいエンジニアにとって、当社は実質的に唯一の選択肢になっていることもあり、新卒で入社する若手エンジニアは毎年います。ただ、30～40代の中堅層が手薄で、これまで会社を支えてきた50代の社員が定年を迎えるに当たり、次の中核を担ってくれるミドル層のエンジニアを探しています。新しい風を吹き込んでほしいので、社外の経験や価値観を持ち込んでくれる方は大歓迎です」（荒木氏）。

また、生活の質を高めたいUターン・Iターン希望者にとって、同社は理想的な就業先でもある。都市部とは違い生活リズムが穏やかで、仕事もゆとりのあるペースで進められる。月の平均残業時間は10時間程度と少なく、ワークライフバランスを重視した働き方が可能だ。

「地域密着型の企業なので、他市への転勤は一切ありません。本社は両毛丸善株式会社の隣にあり、社員用の駐車場も完備されていて、みんな快適にマイカー通勤しています。資格手当や家族手当等の諸手当に加え、休暇や育児制度も整っていて、福利厚生面にも力を入れています。東京と比べれば年収はやや控えめかもしれませんが、生活コストが低い地方では持ち家も現実的な選択肢です。子育てにも最適な環境が整っていると自信を持って言えます」（荒木氏）。