株式会社アロウズコンサルティング

株式会社アロウズコンサルティングは、中堅・大手企業を対象に業務プロセス・ITシステム導入などを行う独立系のコンサルティングファームだ。

1998年10月、現代表取締役社長松井晴彦氏が、数名の同僚と共に大手外資系コンサルティング会社から独立して設立した同社。独立の背景には、コンサルタントとして、クライアント企業の経営により近い立場で提案し、実行し、貢献したいという想いがあった。そのためには、個々のコンサルタントが専門分化してプロジェクトの一部だけを担当する大手ファームのやり方を離れ、プランニングからデリバリーまで一貫して実行できる環境を作る必要があったのだ。

設立メンバーが製造・流通分野に長けていたことから、同社の現在の得意領域もこの周辺分野が多い。とはいえ、時代の流れとともにコンサルティングニーズも変化しており、最近ではこれら以外にもサービス業や一部金融業などに対して積極的にサービスを提供している。

同社のサービスは3本の柱に分類される。中心となるのがコンサルティング事業で、R&D、調達、製造、流通、販売などのライン系、および財務、会計、人事などのバックオフィス系がある。もうひとつの柱が、SAPを中心としたERPコンサルティング事業。SAPの適用が不可能な企業に対応する独自のERPテンプレート「BizSupport」も展開している。最後のひとつが、同社から2006年に独立したアロウズテクノロジーズが提供する、BI、DWHなどを中心としたSI事業だ。

能力の高い経験豊富なコンサルタント達が2～3名の小規模なチームを組み、一貫してプロジェクトを実行・コントロールするところが同社の最大の特徴だ。各分野の専門部隊を大掛かりに編成し投入する大手ファームとは対照的に、少数精鋭の人員が最短の期間で成果を出すことに価値を置いている。

同社のコンサルタントは、アクセンチュアのディレクタークラスのメンバーが中心となっている。「経営により近い立場からクライアントに貢献できるコンサルティングを」という創業の想いに共感して同社に移籍しており、コミットメントも強い。また、若手に対しても、担当する業務分野について勉強すべきことを明示し、自己学習を促した上で、現場でベテランコンサルタントの指導を受けさせることで、成長のスピードを加速している。

昔から付き合いがあるクライアントを大切にし、できる限り直接契約でサービスを行うというポリシーは、ダイレクトに経営に貢献するために不可欠なものだと、松井氏は語る。

「最初は小さなマーケットでも、私どもとの付き合いを通して、だんだんと成長していくクライアントが多くいらっしゃいます。本当に能力の高い少数のコンサルタントが短期間で成果を出せれば、トータルでコストを圧縮する効果があることは明らかです。」（松井氏）

アロウズコンサルティングと、子会社であるアロウズテクノロジーズは、互いにシナジー効果を出している。アロウズコンサルティングではコンサルティングに集中し、開発・SI領域はアロウズテクノロジーズが担当する。アロウズテクノロジーズでも、短期間で最大の効果を出すため、方法論やアロウズフレームワークと呼ばれる開発フレームワークを確立し、さらにMicrosoftのオープン系技術に特化している。

「今後、ターゲットとなるマーケットは大手ファームとは同じ領域にはならないでしょう。大手ファームにはできないようなソリューションに特化した専門集団を目指したいと考えています。」と松井氏は独自の路線を強調する。ここ数年で特にコンサルティング領域や技術領域を広げてきたという同社。これからも新規事業などを視野に入れながら、着実に地固めをしていくという。

アクセンチュアからの移籍者が多いが、他ファームから入社した者もいる。また、それ以外の事業会社からもコンサルタントを志向して入社の実績がある。新卒採用は行っておらず、社員すべてが中途採用だ。平均年齢は30歳代半ばだが、ベテランから若手まで年齢の幅が広い。しかし、組織はできるだけ階層化しないようにしているため、風通しよく、やりたいことや意見をストレートに伝えることができるという。むしろ、自ら発信していけなければ、この会社で存在感を示していくことはできないだろう。というのも、普段はクライアント先に常駐しており他のチームとの交流は少ないし、その中でクオーターごとにジョブパフォーマンスが評価されるからだ。

男女比は7対3。女性のコンサルタントも在籍している。出産、育児などの際にはコンサルタント業務と両立することは困難なため、本人の希望にそって配置換えや短時間の勤務も認めている。
また、アロウズコンサルティングとアロウズテクノロジーズは案件の共有だけでなく、人的な交流もあるため、コンサルタントとエンジニアのキャリアチェンジも可能で、自分のキャリアパスの選択肢の可能性を多く持つことにもつながるだろう。

「採用においては、経験よりも意志を重視します。短期間に確実に成果を出すという当社の姿勢に共感してくださるかどうか、そして自分が中心となって小規模なプロジェクトを推進していくことを望んでいらっしゃるかどうか。勝負の意志がある方には、そのための環境を必ず用意します。例えば大手ファームで、自分の本当にありたい姿を見失いそうになり、挑戦したいという気持ちをお持ちの方などは、是非、当社に来ていただければと思います。」と、松井氏はメッセージを送っている。