パーソナル情報システム株式会社

1972年4月に設立された、ITソリューション企業のパーソナル情報システム株式会社。創業者は、コンピュータを活用したシステム導入の可能性に早い段階から着目し、将来性を確信して会社を立ち上げた。2023年6月には現代表の森本晋司氏が就任し、50年以上の歴史と実績を受け継ぎながら、新たな成長フェーズに突入している。

同社の事業は、大きく分けて二つのコアビジネスに分類される。一つは農水関連ビジネス事業、もう一つはERPビジネス事業である。

農水関連ビジネス事業では、水産・花き・青果等、生鮮流通に関わる中央・地方卸売市場の卸売会社や仲卸会社に向けた基幹業務システムの提供を行っている。創業当初は、顧客ごとにフルオーダーでのシステム開発を行っていたが、現在は自社開発による複数の業種特化型パッケージを展開。必要に応じて柔軟にカスタマイズを行い、よりスピーディーかつ高品質なソリューション提供を実現している。同社のSIエンジニアは、生鮮卸売業のビジネスモデルや現場業務に深く精通しており、顧客よりも顧客の業務を熟知しているメンバーばかりだ。その専門性の高さこそが、最大の強みとなっている。

もう一方のERPビジネス事業では、GRANDITやBiz∫、SAP、OBC奉行シリーズ等、複数のERPソリューションを扱ったシステム導入を支援している。コンプライアンスやガバナンスの強化といった企業課題の解決にも貢献している点が特徴である。ERPの導入に当たっては、業務そのものを見直し、より正しく効率的な姿へと再構築するBPR（ビジネスプロセス・リエンジニアリング）の視点が欠かせない。同社では、生鮮流通業界で培った現場ノウハウと業務理解を生かし、流通卸売業向けERPの領域で他社にない優位性を発揮している。

現在、この二つの事業は、売上規模・組織規模共にほぼ同等のバランスで成長しており、相互にシナジーを生み出しながら事業基盤を拡大中だ。専門性と柔軟性を兼ね備えた同社のソリューションは、顧客の業務効率化や経営課題の解決に直結している。その推進に携わることは、極めて高い達成感と貢献実感を得られる環境であると言えるだろう。

同社が掲げるITソリューションの要は「業種特化×Web×ERP」である。生鮮流通卸売業に強みを持つ同社は、創業以来、業界に寄り添いながら現場視点のシステムを提供してきた。その中で、近年は顧客のニーズや環境が変化してきたという。

「お客様が変革期を迎えていると考えています。膨大な情報を自ら収集し、“自社に最適なシステムとは何か”を主体的に模索する時代になってきました。従来のように“合うものを提案してほしい”といった受け身の姿勢ではなく、明確なビジョンとともに相談を受ける機会が増えてきたのです。ITに明るい経営層が台頭する中、提供側である私達も自社の得意分野を押し出すだけでなく、時代や顧客ニーズに合わせて柔軟に変化することが求められていると感じています」（森本氏）。

その潮流を受け、同社では従来の個別開発型SIから、ERPソリューションへのシフトを加速させている。業務が複雑化・高度化する現代において、個別開発だけで顧客の要望に応えるには限界がある。そこで、全社的な業務最適化を支援できるERPを中心に据えた統合ソリューションの提供を進めている。複数のERP製品を扱うことで、多様な業界ニーズに応えられる体制を整備しているのだ。

また、単なるITベンダーに止まらず、業界の未来を見据えた取り組みも重視している。その一例が『全国生鮮流通フォーラム』の開催である。年に複数可、全国の卸売業者や業界関係者、時には農林水産省の方々も迎え、業界の課題や展望を率直に語り合う場を設けている。基本的に自社製品の売り込みは行わず、純粋に情報共有と意見交換を目的とする姿勢は多くの支持を集め、現在では140～150社が参加する一大イベントに成長した。このフォーラムがきっかけとなり、市場間の連携が始まる等、業界全体を巻き込んだ変革の起点ともなっている。

「今、私達は第二創業期を迎えています。業界に精通した少数精鋭の技術者達が事業を牽引してきましたが、より多くの仲間と共に、次のステージへ進む準備を始めている段階です。高い専門性とノウハウを持つメンバーが中心となる体制は、確かに高収益体質を生み出してきました。しかし、未来を担う新たな人材と共に成長し続けるには、変化を恐れず、受け入れる土壌が不可欠でしょう。今いる人材が未来の礎を築き、次の担い手がその上で羽ばたいていく。その循環を生み出すために、今こそ新しい風を迎え入れたいと考えています」（森本氏）。

2025年4月時点で社員数は60名。同タイミングで新卒社員が8名入社し、平均年齢は34歳と、若手と経験者がバランス良く在籍する構成である。創業時に掲げた理念「情報システムの開発・販売を通して豊かな情報化社会の実現のために貢献し、会社の健全なる発展と社員の幸福、福祉の実現を図る」は、今なお会社の核として息づいている。30年以上経ち、時代の変化とともにその解釈は変わっても、この理念の本質は色褪せていないのだ。

企業風土は一言でいえば「風通しの良さ」である。入社間もない新卒社員からは「上下関係なく話ができる」「部門を超えてフラットに意見交換ができる」といった声が多く寄せられたという。実際、役職や所属にとらわれずに議論ができる文化は、他社から転職してきた社員からも高く評価されている。いわゆる硬過ぎず、柔らかく温かみのあるカルチャーが根付いているのだ。

とはいえ、組織が事業部制を採用している以上、ある程度のセクショナリズムは生まれる。だからこそ、マネジメント層が積極的に部門をまたぐ関係性の構築を意識し、組織全体を一体化させる努力を惜しまない。その結果、部門間の壁を感じにくい、協力体制の強い風土が育まれているという。

これまで少数精鋭で築いてきた土台の上に、次の時代を担う新たな仲間達が加わり、会社として一段階成長するフェーズに入ったと語る森本氏。「何を誰がやっているか」が社内で把握できる状態を維持しながら、事業規模を拡大していく。少数の精鋭だけでなく、多様な仲間達が集う「大人数の精鋭集団」へと進化していくことが、今後のビジョンである。

事業の拡大とともに、人材の拡充、教育制度の充実、そして企業文化の継承と進化が求められる。技術や知識はもちろん、創業から続く理念や志をしっかりと伝えながら、誰もが生き生きと働ける場を創っていく。それが、これからの同社の挑戦であり、新たに仲間になる方々と共に実現していきたい未来である。

共に業界の未来を創り、ITの力で社会に貢献していく――そんな思いに共感いただける方との出会いを、同社は楽しみにしている。