プロダクト本部長 沖田 誠司氏 IIJにて約25年間、ネットワークおよびアプリケーション領域のSI業務に従事。うち後半の10年間はSI部門の責任者を務める。2024年10月、株式会社ディーカレットDCPの1号案件にプロジェクト側として関わったことを契機にプロダクト開発に参画。2025年1月、プロダクト本部長に就任。

プロダクト本部のミッション、そして今後どのような展望を描いているかについて教えてください

プロダクト本部では、デジタル通貨プラットフォームの開発と運用を担っています。開発チームは五つあり、それぞれの役割を明確にしつつ、密に連携してプロダクトを育てています。 現在のミッションは、『DCJPYネットワーク』を“完成形”に近付けること。重要な機能はいくつか残っているものの、全体として95%ほどまで到達し、ようやくスタートラインに立てる段階です。その先に目指すのは、『DCJPY』を活用した決済サービスのビジネスメリットを、社会にしっかり訴求していくこと。 本質的には、銀行システムに変革をもたらし得る力を持っていると考えています。現在は、銀行間のやり取りの裏で現行の銀行ネットワークに依存しますが、その構造を今後変革するポテンシャルがある。現行の銀行ネットワークを否定するのではなく、金融業界と新たな仕組みを共創していくというスタンスです。 10年後には、こうした仕組みが社会に当たり前のように浸透しているかもしれません。だからこそ、我々が先んじてその未来を描き、道を切り開いていきたいと考えています。

プロダクト開発において、品質面やチームとしての向き合い方で大切にしていることは何ですか？

金融という領域の特性上、一つのミスが信頼の喪失に繋がりかねません。だからこそ、私達はプロダクトを社会インフラとして捉え、品質については“怖いくらい丁寧に”、意識高く取り組むようにしています。 もちろん、現場ではスピードや効率も求められますが、それ以上に大切なのは「こうあるべき」という正しさの軸を持ち続けること。時には細かすぎると思われるかもしれませんが、メンバーには「なぜそれが必要なのか」をセットで伝えるようにしています。そうしないと、知らず知らずのうちに楽な方に流れてしまうこともあるからです。 律する姿勢を保ちつつ、時に背中を押し、チーム全体で目線を合わせていく。そうした積み重ねが、長く信頼されるプロダクトを育てていくのだと思います。 この姿勢は、私自身というより、元々プロダクトを立ち上げたメンバーや前任者がつくってきた文化。私もそれを大切にしながら、次の世代へと継承していきたいと考えています。

これまでのプロダクト開発の中で、印象的だったエピソードがあれば教えてください

印象的だったのは、やはり昨年の1号案件ですね。私達が初めてお客様に直接提供するプロダクトで、その規模も大きかったんです。スケジュール通りに進めること自体が品質として見られるような状況で、まさに「佳境」でした。 チームとしては、初めての経験が多く、不慣れな点も正直ありました。様々な困難に直面しましたが、金融機関という非常にシビアな領域を相手に、ベンチャー企業としてその高い要求レベルに応えようとするのは並大抵のことではありません。それでも、メンバー一人ひとりが一丸となってこの大きなチャレンジを乗り切ってくれたんです。 振り返ると、チームは信じられないほどのスピードで成長しました。その時の苦労があったからこそ、今、私達はもっと大きな案件にも自信を持って取り組めています。来月からは新しいお客様導入に向けたテストフェーズに入りますが、去年の経験と、あの時培ったチームの強さがあれば、きっと乗り越えられると確信しています。

共に働く仲間に求めるマインドや、仕事をする上で大切にしてほしいスタンスは何ですか？

最も大切にしているのは、事業に対する強い興味です。世の中の「普通」になっていない私達のビジネスはまだ道半ば。順風満帆なことばかりではありません。この事業を社会に定着させたいという強い思いを根底に持ち、会社の規模が小さいからこそ、メンバー全員が共通の目標に向かって進む意識を持ってほしいと考えています。 求める能力は金融知識や開発経験に限りません。もちろん、金融開発経験は歓迎しますが、それだけでなくテクノロジーへの理解が深かったり、特定の言語やクラウドに強かったり。幅広い知識とバランス感覚を持ち、多様なバックグラウンドを持つ方が集まることを期待しています。 仕事をする上では「自分を律する」のが理想です。とはいえ、堅苦しく考える必要はありません。大切なのは、前に進もうとする強い意志です。今のままで満足せず、常に変化を恐れず、プロダクトも事業も成功の形を常に問い直していく。そんな、しなやかさと柔軟性を持った仲間と働きたいと願っています。

最後に、株式会社ディーカレットDCPでの挑戦に関心をお持ちの方に向けて、メッセージをお願いします。

当社は、金融システムそのものを変革し得るポテンシャルを秘めた企業であり、その事業自体が未来の金融を形作る“新しい仕組み”だと考えています。ただし、それは既存の枠組みを否定するものではありません。私達が目指すのは、共存しながら、より良い形へとアップデートしていくことです。 この変革は、短期間で成し遂げられるものではありません。だからこそ、明確なビジョンを持ち、粘り強くチャレンジを続けられる方にとって、ここにはこれ以上ない活躍の舞台が広がっています。 私達は、デジタル通貨という新たな領域から、金融の「当たり前」を再定義し、より安全で効率的な社会の実現を目指しています。この壮大な未来を共に描き、形にしていく意欲溢れる仲間との出会いを楽しみにしています。 少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ一度、私達の話を聞きに来てください。