株式会社STG | インタビュー | 転職サイトGreen(グリーン)

代表取締役社長鈴木大斗氏自身のSESエンジニアの経験を生かして「エンジニアのためのSES会社」にチャレンジする若き経営者。高校卒業後、公務員を目指し専門学校に進学。国家公務員資格を取得し、国税専門官にチャレンジするも不合格。内定をもらっていた他の職を全て蹴って、ITエンジニアのキャリアを選択。SESエンジニアとして順調にステップアップし、わずか3年で当初の目標であった独立・起業を実現する。

公務員志望からITエンジニアの道に飛び込んだ理由は？

国家公務員一般職の試験に合格し、東京入国管理局から内定をもらいました。しかし、私の本命は「国税専門官」でした。国税専門官は、一般職公務員よりも給与基準が高めで、勤続10年以上で税理士試験の税法3科目が免除される特典がある等、「最も潰しの効く公務員」と称されています。将来的な安定性と高収入の可能性を考えた時、魅力的な職業だと感じ、志望していました。しかし、二次試験の論文の出来が芳しくなく、不合格となってしまいました。専門卒の私にとって、高収入を得られるキャリアを築くことは大きな目標だったのです。そのため、航空局への入局を断り、ITエンジニアの道を選びました。学生時代から求人サイトで様々な職業や会社の情報を調べるのが好きで、高収入を期待できる職種として営業とエンジニアに着目していました。最終的に、技術を身に付けることで、腕一本で生きていけるエンジニアを目指すことに決めました。

未経験で飛び込んだIT業界で、どうやってキャリアを築きましたか？

最初に入社したのは、社員10名規模の小さなSES会社。全くの未経験で、情報系の専門学校を卒業しているわけでもなかったため、就職できるIT企業は限られていました。まずはIT業界に足を踏み入れることを目的とし、経験を積んでステップアップ転職を目指す心構えで入社しました。入社直後からJavaの案件に配属されましたが、現場の先輩エンジニアからの指導はなく、仕事を通じて開発の基本を自分で学びました。プログラミングも独学で習得しましたが、最初の数カ月は非常に苦労しましたね。現場で飛び交う専門用語が全く分からず、昼休みや終業後に分からなかったことを調べながら、徐々にエンジニアの基礎を築いていきました。努力を重ねた結果、1年後にはエンジニアとして十分に活躍できるスキルを身に付けました。そこで計画通り、案件終了のタイミングで退職し、次は規模の大きなSES会社に転職。この転職だけでも月収が10万円アップし、それまでの努力が報われたと感じました。その会社ではさらに1年間、Javaの開発案件を経験し、スキルを磨きました。そして満を持して独立し、フリーランスのエンジニアとしての道を歩み始めました。

フリーランスエンジニアから起業に至った背景は？

未経験からIT業界に飛び込み、最初に入社した会社でエンジニアとしての基礎を築き、次の会社でさらに経験を積み、独立へと進む。このステップアップの筋書きは、私が最初から描いていたキャリアの道筋でした。その先に見据えていたのは、会社の設立です。フリーランスとして1年間働き、売上を証明することで法人として銀行口座を開設する準備を整え、当社を立ち上げました。未経験でIT業界に参入してから約3年で起業を実現し、最速でステップアップした自負があります。これまでステップアップ転職でお世話になった企業には感謝していますが、エンジニアが努力してスキルアップを果たした際、それに見合ったリターンを提供することが大切だと考えています。当社を創業した背景には、エンジニアがステップアップ転職をしなくても、スキルアップを通じて自然と年収が上がるような組織をつくりたいという思いがありました。エンジニアがキャリアアップを意識して働くことは、適正な収入を得るために必要だと考えています。そのため、当社では所属するエンジニア達のキャリアアップを全力でサポートしています。独立後にフリーランスとして活躍したい方や、起業してSES会社を経営したい方にも、しっかりと支援する体制を整えています。当社はただの職場ではなく、エンジニアとして夢を実現するためのフィールドでありたいと思っています。

日報や帰社日がないのは、なぜですか？

SESは、システムインテグレーション業界において、欠かせない存在だと考えています。特に未経験でエンジニアを志す人にとっては、SESを通じて様々な現場で経験を積むことで、短期間にスキルアップを図れるのが大きな魅力です。一方で、システム開発業界は歴史が長いため、仕事の進め方や制度面で時代に合わない部分が残っているのも事実です。当社では、エンジニアが快適に働ける環境を整え、「新しいSESの形」をエンジニアと共につくり上げていきたいと考えています。その取り組みの一環として、当社では日報や帰社日を設けていません。これは、時代に即したSESの在り方を追求する試みでもあります。私が最初に働いたSES会社では、定期的に会社の飲み会が開催され、その後に飲み会のレポートを書くことが義務付けられていました。このような開発業務とは関係のないタスクには当時から疑問を感じていましたが、逆らわずにこなしていました。起業する際に、当時の経験を振り返り、当社では理不尽な制度を排除しようと決意。帰社日や日報の廃止は、エンジニアが本来の業務に集中し、より良い環境で働けるようにするための一歩です。

STGの今後の展開を、どのように思い描いていますか？

現在、当社の売上の100%はSES事業によるものですが、今期は受託開発にもチャレンジしたいと考えています。長期的にはSESを主力事業として位置付ける方針に変わりはありませんが、受託開発のプロジェクトを行うことで、経験の浅いエンジニアの育成がより効果的になると期待しています。私自身が未経験から最短で起業に至ったように、当社を通じてエンジニアがキャリアアップし、SI業界で活躍する姿を見たいですね。また、当社から独立することも歓迎しており、当社を活用して望むキャリアを手に入れてほしいと願っています。SES業界では横の繋がりが重要であり、独立したメンバーとも良好な関係を築き続けることで、双方にとって多くのメリットがあると感じています。現在は私自身も現場に出ていますが、社員が増えたらエンジニアの業務からは身を引き、会社経営に専念しようと考えています。私がエンジニアを選んだ理由は、開発の仕事がしたかったからではなく、キャリア構築に適していると考えたからです。だからこそ、時期が来ればエンジニアの業務は社員に任せ、私は経営に集中することで、エンジニアが快適に働ける会社づくりをさらに突き詰めたいと思っています。