アパレル業界からSES業界に転身した経緯、起業の経緯をお話しください。
アパレル商社を退職後、SES業界に転職したのは、父が似通った業界で働いていたことがきっかけでした。父からいろいろと教えてもらって、興味を持ちました。私は、人とおしゃべりをすることが好きで、長時間机に向かわなければならない仕事は性に合っていません。営業として外に出て、いろいろな業種のお客様と話ができるところに関心を持ち、SES業界に転職しました。 入社した会社は東京に本社を置く会社で、私が入社した時は、大阪に営業がいませんでした。また東京も大阪も、パートナーには頼らず、社員のエンジニアだけで売り上げを作っている状況でした。ただ、経営側の意向としては、パートナーを活用して事業を拡大したいという思いを持っていました。私がその意向に沿って、パートナーを開拓し、ご協力いただくようになると、業績も上がりはじめました。 私が以前勤めていたアパレル卸会社の仕事はお客様からの要求が厳しく、胃潰瘍になるほど、体力的にも精神的にもハードな会社でした。その経験がありましたのでSES業界の営業は、苦になりませんでした。5年間勤務して、この業界なら独立してやっていけるという自信を深め、起業しました。
社長が感じるSES業界の魅力をお話しください。
私が感じるSES業界の魅力は、人と向き合えることにあります。小売りや卸で扱っていた物とは違い、人は話をしますし、気持ちもあります。そして、人それぞれ考えていることが異なります。SESの営業は、エンジニア一人ひとりの気持ちや考えに合わせて、コーディネートする仕事ですが、エンジニアの多様な考え方に触れることで、私自身も成長できます。エンジニアたちは、自分が考えていることや、気持ちを伝えることで、私自身のモチベーションの持ち方や、会社のあるべき姿を考えるきっかけを与えてくれるのです。 私はシステムを作ることはできませんので、本当の意味でエンジニアの気持ちは理解することはできないと思います。しかし、みんながやりたいことや、勉強したいことに関してはアシストできると考えています。そして、それを実現できるようサポートすることに、大きなやりがいを感じます。サポートすることで、社員が育ち、その成果をお客様が評価してくだされば、私もすごく嬉しくなります。それがSESの会社を経営する楽しみです。
アグリビジネスも展開されているのですか。
私は以前、アグリビジネスをするために別法人を立ち上げていましたが今は保留しています。 アグリビジネスに関心を持ったのは、今のままでは日本の農業が崩壊してしまうという危機感があったからです。私は兼業農家を営む親戚を見て、野菜を育てることを含めて、食べ物を作ることの大変さを痛感しています。最近は、農業も担い手が激減する中、農業におけるドローン活用などが進んでいます。私も、機械でフォローできれば素敵だなと思い、工場のような場所で機械を使って水耕栽培を行えるようなシステムを開発したいと考えるようになりました。 ただ現在は、RSDの基盤固めに集中する時期です。RSDの営業が安定し始めた上で、アグリビジネスも再開したいと考えています。 現在、エンジニア不足が問題になっていますが、私はいずれ、案件に対してエンジニアが余る時代が来ると考えています。新卒採用をすると、当社のような設立間もない、小規模な会社にも応募が殺到します。業界全体でも、キャリア採用は苦戦していますが、新卒採用で苦戦しているという話は聞きません。今、大学を卒業する世代の人たちは、生まれた時から携帯電話が身近にあって、ITの存在が当たり前になっています。大学でもプログラミングを学ぶ機会が増えており、職業にしようと考える人たちが増えています。現在、就職率が最も高いのもIT業界です。その一方で、プログラム自体は機械学習が担い始めていますので、いずれエンジニアが余り始めることが予測されます。 そんな中でも社員を守っていくには、今の段階で基盤をしっかり作り、お客様から強い信頼を得る必要があります。まずは、「RSDなら大丈夫」と任せてもらえるような会社を作り上げた上で、新しい事業に手を広げていきたいと考えています。今求めているのは、その基盤を作る上でコアとなるメンバーです。
今後、どれぐらいの規模を目指しておられますか。
私はRSDを、20年ぐらいかけて100名の規模には拡大したいと考えています。私は一気に社員を増やそうとは思っていません。社員が増えれば意見も通りにくくなります。急激な成長により、負担を感じる社員も出てきます。みんなに無理や負担を強いることなく徐々に拡大していきたいと考えています。 今後、何十年も事業継続できる会社にしようと考えれば、お客様から必要だと思っていただける会社にしなければなりません。私は、今後どんなにAIが発達したとしても、人の手が不要になるとは考えていません。現段階ではSES業界は、案件数に対するエンジニアが不足しているため、1年間に10名、20名と大量に採用したとしても、アサイン先に困ることはありませんが、無理をして採用をしてしまうと、社員一人ひとりの成長には繋がりません。 当社は現在、会社のコアとなる人材を育てなければならないフェーズです。現在、在籍する社員に対しては、自分自身の考えや意見を持ち、自分の気持ちや意見を他者にしっかり伝えられる人材になってほしいと考え、指導しています。今在籍している社員たちが、RSDは自分の意見を発信できる会社だという認識を持てるようになれば、将来入社する社員たちも、「この会社は、自分の意見が言える会社だ」という認識が持てるようになるでしょう。それによって当社が目指す「みんなで作る会社」というイメージに近づけるのではないかと考えています。
皆さんの足並みをそろえるために取り組んでおられることはありますか。
特別なことはしていません。あえて言うなら、仲良くみんなでお喋りすることです。私は人とご飯を食べることが好きで、社員とも美味しくご飯を食べながら話す機会を作っています。「この頃、しんどいです」とか、「プライベートでこういうことがあって」など、相談できる仲でいたいと思っています。もちろんダメなことはダメですし、良いことは良いと、真剣に話す場は必要だと思いますが、私から見て様子がおかしいなとは思っていても自分から言えない社員もいますし、プライベートの相談まではできない社員もいますので、友達のように何でも話してもらえる関係は築いておきたいと思っています。 3か月に一度の帰社日も、堅苦しい会議はせずに、お昼ごはんを食べに行ったり、バーベキューをしたり、1日ゆっくり過ごしながら交流し、早目に帰宅するようにしています。私個人の経験として、社内会議が有意義な時間だと感じたことがありません。業務に必要な連絡は、普段、密に連携が取れていれば、特別な時間を取る必要はありません。私と開発部長、営業部長の3人がコミュニケーションを取って、方向性を一致させていれば、会社全体で話す必要はないと思っています。 会社はみんなで作っていけばよい。それが私の経営理念です。いつか社内で開発ができるようにしたいとも考えていますが、事業は後からついてくるものです。まずは人ありきだと思っています。みんながやりたいことをできる会社にしたいと思っています。