株式会社キャラット

「あたらしい自分に会おう」というコーポレートスローガンを掲げ、フォトスタジオ事業を中心に幅広いサービスを提供している株式会社キャラット。2024年4月に創業30周年を迎えた同社だが、その始まりは代表取締役の佐野隆之氏がオープンした1軒のDPEショップだった。フォトスタジオ事業を展開するようになったきっかけを、人事課の太田優子氏は次のように語る。

「同ショップでは、現像のほか、幼稚園や保育園での写真撮影も手掛けていました。そんなある日、常連のお客様から『孫の七五三の写真を撮影して欲しい』と頼まれたそうです。最初、佐野は撮影に関しては素人であり、スタジオもないので丁重にお断りしましたが、『孫は、このお店だと楽しそうに笑うのです。どうか撮ってもらえませんか』と再度頼み込まれ、承諾しました。そして撮影した写真をお客様に見せたところ、非常に喜んでもらえたそうです。この実体験から“お子さんの、本当の笑顔を残したい”と思うようになり、フォトスタジオ事業を立ち上げました」

現在フォトスタジオ事業は、子どもの撮影を中心とした『スタジオキャラット』と『スタジオコフレ』、振袖と卒業袴の専門スタジオ『ラブリ』、ブライダルフォトサロン『クレール』の4ブランドを展開している。さらに、フォトスタジオで得た経験をもとに、衣装レンタルECサイトの運営やブライダル事業など、多岐にわたるサービスを提供。実店舗は関東、関西、東海、東北にあり、104店舗まで拡大している。

国内の子どもの数は減少傾向にあるが、同社に来店する顧客は減らず、むしろ店舗数も売上も伸びている。増え続けている理由について、人事課長の河野留美氏に伺った。

「スマートフォンやアプリを使えば、一般の方でもきれいな写真を撮ることのできる時代です。しかし、記念日などはスタジオに行って撮影したい、日本の文化として形に残したいという方が増えているのです。私たちが写真として形に残すのは大前提ですが、より大事にしているのは撮影中の空間の体験です。クオリティの高い写真はもちろん、より良いおもてなしや接客を通じて、お客様に満足していただくことを目指しています」

そんな同社の強みは、フォトスタジオ事業では珍しく一貫性業務を取り入れていることだ。一般的な写真スタジオだと分業制が多いが、同社ではお出迎えからプランニング、商品購入、衣装検討、写真販売、お見送りまで担当がつき、お客様をサポートしている。さらにスキルを身につけ次第、ヘアメイク、着付け、撮影までも手掛けるのだ。一貫してお客様に寄り添うことで信頼関係が構築され、そこで生まれた安心感は写真に写る笑顔にも表れてくるという。

同社のパーパスは「心はずむ体験を通して、人生を彩り、社会を幸せにするコミュニケーションを創造します」と示されている。特に“コミュニケーション”に重きを置いており、「お客様から相談に来てもらえる、話に来てもらえる関係性の構築」を全社員が目指しているという。

「こちらから一方的にお客様に話しかけるだけで、コミュニケーションがとれていると思う人がいるかもしれませんが、弊社はそうではありません。こちらが投げかけたことに対して、お客様が話し出してくれる、それこそがコミュニケーションであるという共通認識を持っています」（太田氏）。

現在は写真をベースに事業を展開している同社だが、2024年4月に株式会社ライフロムを完全子会社化した。ライフロムは、主に結婚式で使用する各種映像を制作している企業で、SEO対策をはじめとするシステムの自動化にも専門的な知見を持っている。特にDX化による動画の自動生成やChatGPT等のAIを駆使したマーケティングに長けているという。フォトスタジオ業界では、写真のみならず動画に対する需要が高まりを見せており、その期待に応えるべく、今回の完全子会社化に至ったそうだ。パーパスに示されている“心はずむ体験”として、写真だけではなく、より視野を広げたサービスの展開を目指す同社は、今後写真とDXを掛け合わせた施策を打ち出し、事業拡大を加速させていく方針だ。

また、2024年5月には『スタジオコフレ』が鹿児島にオープンし、初の九州エリア進出となった。これからはFC店舗も増やしながら、同社のサービスをより多くの人に体験してもらうべく全国展開も視野に入れている。

オフィスで働く社員と店舗スタッフの人数を含めると従業員数は890名と多く、その半数以上が20代だ。平均年齢は30.5歳で、女性が全体の86％を占める。管理職のうち65.2％が女性であり、その割合の高さは国内でもトップクラスと言えるだろう。

また、代表の「お客様を幸せにするためには、まず社員が幸せでなければならない」という考え方から、転勤のない準社員制度や時短制度などを整備。社員一人ひとりのライフプランに応じた多様な働き方ができる環境が用意されている。

そして、キャリアパスも幅広く描けることが特徴だ。元々パートとして働いていた人が正社員登用され、現在はエリアマネージャーを任されていたり、ヘアメイクとして現場で活躍していた人が、内部監査に抜擢されたりと、キャリアは人それぞれだ。希望のキャリアは、年に1回ある人事面談で相談可能で、適性や会社の状態によって最終決定する。

研修制度も充実しており、職種別研修やOJT・OFF-JT研修はもちろん、外部講師を招いての研修も実施。社員の成長を促進するため、コンプライアンスやアライアンス、プライバシーマークについては全社員が学べるようになっている。

そんな同社には新しいことに挑戦しやすい雰囲気が流れており、定期的に行われる会議では誰もが意見を発信しやすい環境が整っている。論理的な意見であれば、上層部にもしっかり声が届き、叶うこともあるという。

同社には「誰かのために何かしてあげたい」「人の喜びを一緒に喜べる」「相手のことを考えて行動できる」社員が多いそうだ。そのため、チャレンジ精神のある方、現状に甘んじない方は大いに活躍できるだろう。最後に河野氏と太田氏より、応募者の方へ一言メッセージをもらった。

「店舗での仕事を理解しつつ、アウトプットすることが求められます。先輩たちは店舗での経験をしてきた方がほとんどなので、お客様のリアルな声を共有できます。分からないことがあったらいつでも質問してくださいね」（河野氏）。

「キッズ、ブライダル、Z世代に刺さるデザインやメッセージを届けられる人と一緒にお仕事したいですね。お子さんの気持ちを理解しつつ、流行に敏感な方は活躍できると思います」（太田氏）。

写真という記録だけではなく、記憶にとどまる“心はずむ体験”を提供している同社。誰かを笑顔にするやりがいを感じながら、自分の仕事に誇りを持って働きたい方に、ぜひお勧めしたい。