株式会社ワールドエッグス

東京・赤坂にある株式会社ワールドエッグスは、「物語で社会課題を解決していく」ことを目標に、2019年6月に設立されたコンテンツ・クリエイティブファームだ。
【事業内容】
1.プランニング・コンサルティング
2.アニメ制作事業
3.マンガ制作事業
4.映像・番組制作事業
5.書籍・編集制作事業
6.イベント制作事業

強みは、さまざまなセクターにまたがるキーマンとのネットワークだ。主な取引先は、大手広告代理店、大手メディア、大手公益財団、金融機関など。社会課題をエンターテインメントコンテンツに仕立て上げ、ムーブメント化して解決に導く。売上高の推移を見ると、2020年5月期の約1億円→2021年5月期の約1億6300万円と、飛躍的に拡大している。

代表取締役を務めるのは、ソーシャルムーブメントの第一人者として知られる波房克典氏だ。2005年4月に大手広告代理店・株式会社博報堂に入社し、在職中は「チーム・マイナス6％」や「クールビズ」を仕掛けたことでも有名だ。

そんなワールドエッグスが掲げるミッションは「物語をつくる」。人や地域、社会をソーシャルグッドに導くシナリオづくりを目指す。ビジョンは「ムーブメントをデザインする」で、人の心を揺り動かし、幸せな社会現象をつくり出していく。バリューは「想像は創造する」という言葉で表現され、圧倒的な熱量とやり込みで、ワクワクする未来を描くことに情熱を傾ける。

バリューにもあるように、熱狂的な活動は、時に世界や時代を変革させる可能性を秘めている。一人ひとりが行動し、地域や社会を巻き込んで社会現象にしていくためには、人の心を揺り動かすメッセージを込めた、良質なエンターテインメントが必要だ。

想像力は無限の可能性を秘めた“たまご”であり、想い描いた世界は現実化できる。ワールドエッグスは新しい価値化や経済感覚、職業観、そして想像力を働かせ、人や地域、社会を動かす“何か”＝ソーシャルグッドなエンターテインメントを創出していく。

ここでは、ワールドエッグスが展開する各事業について簡単に見ていこう。

（1）プランニング・コンサルティングでは、地域課題や社会課題の明確化や、言語化によるソーシャルイシューの開発、その解決のプロセス自体を事業化するムーブメントプラニングの設計をおこなっている。

（2）アニメ制作事業では「本物のアニメエンターテインメント」をつくり出し、主に若年層へソーシャルイシューへの共感を拡散していく。

（3）マンガ制作事業では、スマホに最適化された新しいメディア「webtoon」を通じて、ソーシャルグッドなエンターテインメントを創出し、ソーシャルイシューへの共感を拡げていく。

（4）映像・番組制作事業では、練り込まれた企画構成、キャスティング、シナリオメイキングによるソーシャルグッドな映像・番組エンターテインメントにより、ソーシャルイシューを伝えていく。

（5）書籍・編集制作事業では、ソーシャルイシューへの緻密なリサーチと編纂を繰り返し、雑誌、書籍、音声コンテンツなど、わかりやすく、明確な”読み物”の編集制作をおこなう。

（6）イベント制作事業では、ソーシャルイシューへの共感や関心を寄せるためのソーシャルグッドな舞台や催事、興行などのエンターテインメントコンテンツを制作する。

ワールドエッグスの代表作に、オリジナルファンタジー作品「ラトニアサーガ」がある。マンガ、小説、ゲームなどのマルチプラットフォームで展開され、キャラクターデザインは代表・波房氏と、映像監督として著名な糸曽賢志氏が監修。2019年11月には主要キャラクターの一人、リサ・キャンデールをバーチャルYouTuber（Vtuber）としてリリースし、今後もさまざまな媒体で作品などを発表していく予定だ。

また、「燈の守り人」は日本全国の「灯台」を擬人化し、マンガ、ボイス、ライブなどのフォーマットで描き出していく海洋歴史エンターテインメント。現在はwebtoonや音声コンテンツ、ライブ形式声劇の配信などをおこなっている。

従業員の平均年齢は35歳で、男女比は男性：女性＝6：4の比率。新卒・中途の割合は、新卒1：中途9となっている。現場は20代～30代が中心で、デジタルネイティブ世代が多く活躍。組織体制は、ストラテジープランニング部門とIPコンテンツ開発部門の2部門体制だ。

残業は会社として推奨していない。それでも必要最小限な残業はあるが、可能な限り減らせるよう、体制づくりや合理化を目指してアクションが進んでいる。教育制度は、ラーニングエージェンシーによる人材育成や社員研修を利用可能。階層ごとの課題や能力に応じたテーマを受講できる。

主な福利厚生は、各種社会保険完備はもちろん、健康診断・人間ドッグ、eラーニング・通信教育の提供・補助など。産休・育休の取得実績は対象者がいないためゼロだが、制度は整っている。手当の項目は通勤交通費、出張手当などがあり、ユニークなところでは新型コロナウィルス対策支援手当や、インターネット光回線導入奨励金（一時金）などがある。

ワールドエッグスのバリューとして、「圧倒的な熱量とやり込み」を先述した。これは次の5つの要素（偏愛的にやり込む、緻密に設計する、スピード is キング、ゴールイメージはブレない、信じてやり切る）により構成される。この5つはワールドエッグスの組織風土でもある。

また、「利己的なモチベーションで利他的なことをすることも大切だ」と代表・波房氏は語る。まず個人的に実現したい未来があり、今やるべきことが決まり、その積み重ねが成果となって社会を動かす。「だからメンバーには、実現したいことをまず決めてほしいと思っています」。

マンガ、アニメ、ゲーム、イベントなど独自のメディアミックスを展開しているワールドエッグス。さまざまな手法を通じてコンテンツの送り手も受け手も楽しみながら社会課題に触れ、それぞれが自分ごととして解決へのアクションを起こしていく。そんな物語をつくっていく経験が積める会社だ。