株式会社ネットサポート

2004年に設立された株式会社ネットサポートは、技術提案、人材アウトソーシング、サーバ監視請負サービス、ITコンシェルジュサービスを行っている企業である。
大手SIerなどから大規模プロジェクトを引き受ける。優秀なエンジニアによる高い技術力、豊富なノウハウ、丁寧な業務に対して評価を得て、大手企業からSIerまで、さまざまな業界・業種から依頼が増加している。

代表取締役の鵜嶋昭男氏は、60歳で同社を創業。地方銀行に勤務後、外資系企業で20数年にわたり人事部門を経験。その後大手アウトソーシング会社の取締役管理部長を経て、中堅ソフトハウスに入社。営業部長として勤務したのちネットサポートを立ち上げたという、異色の経歴の持ち主である。
「人事経験が長かったため、ネットサポートを立ち上げた際も、『IT技術者の育成に全力で取り組む企業』ということを、もっとも重視しました」と鵜嶋氏は語る。

さらに50歳を過ぎてから、今まで携わったことがなかった営業にチャレンジ。
「管理部長のとき、営業に同行営業の動きや提案の仕方を見て、『営業をやってみたい』と思ったのです。とはいえ、50歳を過ぎて営業の経験はゼロ。当然、最初は断られましたが、粘り強く意思をピーアールしたところ『そんなに言うなら、やってみては』と採用してもらいました。実際にやってみて、非常にやりがいを感じました。新規開拓も楽しくてしかたなかったです」と鵜嶋氏。困難と捉えるようなことでも、チャンスと捉えるそうだ。このときに多くのクライアントを発掘、信頼関係を築き、ネットサポートで継続的にお付き合いをしてもらっているのだという。ある企業のIDC（インターネットデータセンタ）の立ち上げに携わり、以前勤務していた会社が撤退してしまい、同社がサポートすることになった、という事例もある。

同社では、社員のスキルアップを徹底的にサポートする。「人材」を「人財」と捉え、人財の育成計画、育成の実践、その過程でのフォローアップと評価、人物像としての事象の捉え方などに取り組んでいる。

たとえば、資格取得時の受験費用の半額を会社が負担。結果が出れば、資格取得月から6か月間資格手当が支給される。

勉強会の講師には、大手SIerや官公庁などで外部研修を担当するベテランが在籍。仮想化技術やセキュリティ、クラウドといった最新技術の研修も実施している。さらに、ヒアリング力やトーキング力、プロジェクトマネジメント、コンサルティングについても実践的に学ぶことができる。また、資格を取得したら講師を務めることも可能だ。
「人前に出て話すためには、さらに勉強が必要。その点でもスキルアップすることができます。技術者はお客さまに納得いただくために、多くのプレゼンを行います。そのときにしっかり話せると、説得力が増しますよね。加えて、これからIT技術者に求められることは、技術的なスキルだけでなく相手との強いコミュニケーション能力。講師を経験することは、さまざまな場面で役立つ力を得るチャンスなんです」と鵜嶋氏。

また、勉強会は座学ではなく、実機をもとに学ぶことができる環境が整っている。社内には、UNIX(Solaris)サーバ5台、Windows2003サーバ1台、Linuxサーバ3台、FreeBSDサーバ1台、HP-UXサーバ1台、Ciscoルーター5台、Catalystスイッチ5台、Ciscoバーチャルラボ2台、WindowsクライアントPC10台を用意。
「学んだことを即実践するので、『とても効果がある』と受講者からの評価も高いですね」と採用担当のアウトソーシング営業部SE管理室マネージャーの飯塚貴紀氏は説明する。理想とするのは、専任講師が旗振りをしなくても、興味ある技術者どうしが「土曜に勉強会をしよう」となるのが一番良いこと。そういう風土をいかに作るかが課題、だという。

「企業は人財で成り立っています。人財をどう磨きあげていってスキルアップすると共に、会社の力になってもらおうかというのが一番背骨になっている。私は、社員は会社そのものを構成する財産であり、社員にとって会社は自己育成の場であると思っています」と鵜嶋氏。さらに、会社の財務諸表は社員に公開。売上でもうかったことは、社員に還元することが一番重要なことだと思っています、と語る。

ネットサポートの選考は、一次面接のみ。エントリーを受け付けた後、すぐに面談日を設定。面談後も、当日に合否の連絡をするように心がけているという。
「求職者の方が、忙しい仕事の合間をぬって転職活動を行っていることは、私たちもよくわかります。応募された方からは『御社は対応が早く、とてもありがたい』と言われますし、選考はスピーディーに行うことを大事にしています」

また、同社はITが好きで将来性があれば、未経験でも採用の可能性がある。
「スタートに差があっても、本人の心がけと努力で縮めることはできます。社内でもまったく違う業界にいて、『IT業界に進みたい』と決意して30歳過ぎで入社した人もいますが、努力を続け、今やプロジェクトリーダーになっています。会社にたくさん置いてある参考書をもとに勉強したり、実際に中古の実機を買って、自分の家で再現したりしてみるなど、自分の知恵で努力した人です。私は環境の入り口だけサポートして教えただけで、あとは本人が貪欲に努力と経験を積んでいった結果ですね。まさに『好きこそものの上手なれ』です」と鵜嶋氏は語る。

同社の場合は、同じ仕事を2年くらいやっていたらローテーションをかける。より広いスキル分野を経験して頂くため、他社で新卒入社の社員が8年くらいかけて身につけるスキルを、3年ほどでクリアしてしまうのだという。さらに現在は、1人1人の技術だけでなく、ネットサポートのチームとしてお客さまに評価していただくことに力を入れている。そのため、チームでも育成している。

鵜嶋氏は今後の同社の人財育成について、こう語る。
「IT業界でやりたいという人を育成して、このIT業界でやってよかったと感じてもらえるようにこれからも企業活動を続けていきたいと思います」