株式会社FreelyTech

「自由な発想で最高の技術力を」というビジョンを掲げ、システムエンジニアリング事業を軸にSaaSの自社開発も行っている株式会社FreelyTech。2022年創業の同社は現在8名体制。経験5年以上、20代後半〜30代前半のエンジニアがフルリモートで開発に取り組んでいる。会社自体はまだアーリーステージではあるが、公共、金融、医療、物流の各種システムやECサイト、スマートフォンアプリの開発等、すでに様々な実績を積んでいる。また、2025年秋には初の自社サービスのリリースも予定している。システムエンジニアリング事業、いわゆるSESを運営する会社が多数存在する中で、自身も現役のエンジニアである代表取締役・内山卓哉氏はどのような差別化を図ろうとしているのか。システムエンジニアリング事業と自社開発の同時進行にはどのようなこだわりがあるのか。内山氏にお話を伺った。

同社の主軸事業であるシステムエンジニアリングでは、会計システム、オンラインバンキングシステム、医療画像管理システム、倉庫管理システム、大規模ECサイト、ソーシャルメディアアプリ等、様々なプロジェクトにエンジニアをアサイン。上流のコンサルティングから設計・開発、セキュリティ構築、運用・保守、データ分析まで幅広いニーズに対応している。

同時進行でオリジナルのSaaS開発にも取り組んでいる点に同社ならではのこだわりがある。そのこだわりについては次項で改めて紹介しよう。現在、2025年10月のリリースを目指して開発を進めているのがSES向けの営業支援ツールだ。すでに各種の営業支援ツールが存在する中で、同社はどのような差別化を図ろうとしているのか。

「起業前に培ってきたエンジニア視点と、起業後に行ってきた営業視点、両方をカバーするツールにします。注文書や請求書の作成・送付、未払い確認等の自動化はもちろん、エンジニアの稼働状況、活動報告だけではなくスキルセットのリアルタイムでの把握ができるようにするつもりです。『高機能だけどコストも高い』と『コストは抑えられるけど機能が限定的』という両極の中間を狙います」（内山氏）。

軌道に乗ったら外販の拡大を図っているかといえば、内山氏は別のイメージを持っている。そこでキーワードとして出てくるのが自社開発、および受託開発への橋渡しだ。

「営業支援ツールに限って言えば外販の拡大もあり得ます。でも私が考えているのは外販よりも仕組み作りです。今回データベースなどはGoogle Cloudを使っています。それ以外のフレームワークもつなげて1個作ってしまえば横展開できますよね。今後の自社サービスの開発や受託開発に繋げるという想定で、営業支援ツールを開発しながら一つの仕組みを作っているというイメージです」（内山氏）。

では、そもそもなぜ自社開発にこだわっているのか。まず、前職のシステムエンジニアリング事業で経験を積んだ内山氏自身が「自社開発をやりたくて会社を立ち上げた」というのが直接的な理由だ。そこで内山氏は2年ほど前に、先述の営業支援ツールの原型となるシステムの設計書とプログラムを作っていたそうだ。2年前といえば創業間もない時期。当時は2名体制で自社開発にパワーを割く余裕がなかったため、いったん棚上げに。その後徐々にリファラル採用でメンバーが増え、自社開発を再スタートすることになった。

そこで第2の理由として挙げられるのがメンバーの教育だ。オンプレからGoogle Cloudに切り替え、JavaのフレームワークをSpring Bootに刷新、デザインツールにFigmaを導入…というように、自社開発に向け環境を整備。その結果、特にローキャリアのエンジニアを実際の開発環境で指導できるようになった。さらに同社では全社員にMacBookを支給。システムエンジニアリングでは顧客の環境によってWindowsを使うケースが多いが、自社開発ではMacBook一択で進めている。

「私の個人的な趣味もありますが、MacBookの方が開発がスムーズだと感じています。よほどすごいスペックを載せたWindowsでない限り、MacBookの方が処理速度は速い。昔私が使っていたWindowsでは起動に1分かかりましたが、MacBookなら10秒です。もちろん理由はそれだけではなく、Windowsに慣れていたメンバーにMacBookを配ることで、新しい技術を学ぶ楽しさを味わってほしいと考えています」（内山氏）。

言い換えれば、新しいことを学ぶ楽しさを感じられるエンジニアが、同社では活躍できるのだろう。メンバーが増えることで自社開発を再スタートできたという経緯からも、実際に新しい技術を楽しみながら学ぶエンジニア集団であることがわかる。

冒頭で紹介したように、同社では「自由な発想で最高の技術力を」というビジョンを掲げている。メンバーの自由度を損ねないように、「良いものを作るためにこのツールを使いたい」という提案があれば、スピーディーに導入するようにしている。例えばFigmaはデザインが得意なメンバーが内山氏に提案し、即日契約を結んだそうだ。バックエンドのSpring Boot、フロントエンドのVue.jsなどのフレームワーク選定も同じようなスピード感で行っている。

「私自身が“使いたい”“この方が便利”と思ったらすぐにでも使いたいタイプだからです。当社は大きな組織ではありませんから、稟議書のようなものは使っていませんし、APIでも外部との契約はすぐに進めています。もちろん私の確認は必要ですが、基本的には自由にやってもらうことが最優先です」（内山氏）。

「自由」という意味では、先述の自社開発についても参加は義務ではなく、メンバー本人による挙手制を採用している。チャレンジしたければどんどん任せるが、システムエンジニアリング領域でのスキルアップを望んでいるメンバーには強制しない。

その背景には成果主義がある。自社開発の場合、1画面完成したら毎月の給与にプラスアルファで反映される。現時点ではメインはあくまでシステムエンジニアリングであり、自社開発は「通常業務外」という扱いになるからだ。仮に自社開発を時給換算で行ってしまうと、完成しなくても働いた分の給与が受け取れることになる。同じ時間を使って1画面も2画面も仕上げたメンバーと不釣り合いになってしまうため、成果で判断するようにしているのだ。もちろん「完成させられないかもしれないがチャレンジしたい」というメンバーは大歓迎である。

会社としての力を徐々につけていき、自社開発の実績も築きながら「2030年・100名体制」を目指している同社。「規模の拡大とともに受託開発もできるようにしたい」と内山氏は語る。

「自分がやりたいように動けていないと感じている求職者の方は多いと思います。ジョインしたい案件、使いたいツール、作ってみたいサービス…何でも提案してもらえれば、当社はスピーディーにフルサポートします。BtoBだけではなくBtoCのサービスにチャレンジしたい方も大歓迎です」（内山氏）。

自分の行動力に問題はない。そう言い切れる人は迷わず同社の門を叩くべきだ。